第17話 四天王から語られる真実

「もう1人の四天王は…、異世界からきた勇者です。」


「え!?

 どういうことっすか!?」


「…ちょっと長くなりますが、最初から話しましょう。」


「お願いするっす。」


「おい、光。

 なんだって?」


「全部聞いてからまとめて説明するんで、ちょっと待っててください!」


「あ、ああ。」



「今の魔王が君臨する前、この世界には別の魔王がいました。

 その魔王を倒すために異世界から勇者がやってきて、魔王を倒す。

 しばらくしたら魔王が復活する。

 また勇者がやってくる。

 それをずっと繰り返していました。


 ですが、今の魔王が気づきました。

 『勇者が召喚されてすぐなら、簡単に殺せる』と。


 それを思いついた時には、もう勇者が育っていた後でした。

 四天王の1人はすでに殺されていたので、残り3人を魔王城に招集しました。

 そして、魔王と四天王3人がかりで勇者を倒しました。

 『なんでバラバラで戦わなきゃいけねえんだ』と言っていましたね。

 もっとも、それでも苦戦しました。

 向こうもパーティ組んでましたからね。 


 その後四天王の3人を勇者が召喚される城の近くに配置しました。

 私たちです。

 それからは勇者が召喚されたのを感知すると、すぐ殺しに行きました。

 より磐石な体制にするため、召喚される城自体を壊したかったのですが、『神の加護』があり手が出せませんでした。

 

 そこで魔王は1つの方法を思いつきました。

 勇者を捕獲して、『神の加護』を壊させようという作戦です。

 捕獲して言うことを聞かせるため、魔王は【奴隷契約】というスキルを覚えました。

 そして、召喚されて間もない勇者を捕獲し、奴隷にした後に強く育てました。

 その後、『神の加護』を破壊し、城を破壊したのです。

 その勇者が最後の四天王です。」


「ま、まあ勇者が育ち切るまで待ってるっていうのは馬鹿だな〜って思うけど…。」


「おい、光。」


ここまで蒼真は全然話についていけていない。


だが、四天王が続きを話し始めた。



「ここからが重要です。

 

 実は…


 今の魔王も……



 異世界からきた勇者なんです。」



「ええっ!?」


「な、なんだ!?」


「彼は前魔王を倒した後、元の世界に戻るより、この世界を征服することを選びました。

 魔王を倒したらこの世界には本来居続けられないルールらしいのです。

 居続ければ次の勇者を召喚する必要はないですからね。

 魔王はこの世界に残るために、神との契約、繋がりを断ち切りました。

 それはどうやったのかわかりません。

  

 いつの間にか、彼が新しい魔王になっていたのです。」



「なんでそんなやつ勇者に選んだんだよ…。」


「…光。」


「あ、すいません!

 話します。」



光は本気で怒り始めた蒼真に四天王の話を伝えた。



「…なんなんだよ、それ…。

 俺らと同じ世界の人間がこの世界の人たちに迷惑かけてるってことか…。」


「そういうことっすね…。

 どうします?」


「余計ほっとけなくなったな…。

 でもなんか殺すのは気がひけるな…。」


「う〜ん。

 元の世界に戻せたりするんすかね?」


「どうだかな?

 でもそんなやつ元の世界には戻したくないな。」


「とりあえず、最後の四天王に会ってみます?」


「でも、奴隷にされてるんだろ?

 無理矢理戦わされたら嫌だな…。

 元に戻せないのかな?」


「四天王さん、魔王の【奴隷契約】を解除する方法はないんすか?」


「魔王が死ぬか、魔王が契約解除するしかないですね。」


「そうっすか…。

 魔王に解除してもらうのは無理っすよね。

 兄貴、魔王を殺すしかなさそうっす。」

 

「まじか〜。

 とりあえず向かうか…。

 案内頼めるかな?」


「聞いてみるっす。

 四天王さん、魔王のとこに案内頼めるっすか?」


「魔王の城の外までなら…。」


「さすがに中の案内は無理っすよね…。

 じゃあ外までお願いするっす!」


「わかりました…。」



4人はドラゴンに乗り、魔王城へと向かった。

 


「ここです。」


「あざっす!

 あとは2人で行くっす!」


「じゃあ行くか。

 あの指輪もらっといてよかった…。

 同じ世界の人間を問答無用で城ごと倒すのはちょっとな…。」


「あれは鬼畜っすからね…。」


「鬼畜ってことはないだろ…。

 とりあえず城の中もおんぶしてくれる?

 めっちゃ広そうだから。」


「はいはい。

 わかりましたよ。」



2人の勇者による魔王城攻略が始まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る