第27話 最終会議
これが最後の作戦会議。
けど、もう作戦なんかとっくに決まっていて、ただみんなの意思が揺らがないようにお互いの気持ちを固め合ってもらうために今日は集まってもらった。
結心「道具は決行日の前日に届くよう設定してるから後はみんなそれぞれ好きなように過ごしてくれ。」
俺は証拠品が残らないように携帯で作戦をまとめたものや道具リストを送り、部活動の時間を終える。
結心「じゃあ、次は当日に。」
「「はい。」」
そう言って、俺が集めた仲間たちは教室の扉からではなく窓からいつも通り出て行き、いつも最後の1人で残る湊 健吾の友人だった
結心「湊がまだお前のことを嗅ぎまわってるけど、どうする気?」
深雪「んー…。あいつ、鈍感だからほっといてもいいと思うけど…。」
結心「お前が犯罪者としてこれから生きてくことを知ったらどうするんだろうな。」
深雪「…そんなこと言わないでよ。」
結心「大丈夫。俺が会員全員を殺したカルト教団の親になるだけだから。」
俺はまだ体が強張る深雪の肩を軽く叩き、気持ちを落ち着かせてもらう。
深雪「結心は本当にいいの?こっちに戻って来れる可能性なんてないでしょ。」
結心「戻る事なんて初めから考えてないよ。そうじゃなきゃお前らを集めなんかしない。」
深雪「けど…」
結心「お前は俺の父親が憎い。俺は自分の父親が憎い。お互い母親を殺されたもの同士であいつを殺そうって決めたじゃん。」
まだ渋りを見せる深雪に俺はしっかり決心を固めてもらおうと決まり文句を吐いた。
深雪「そう…、だけど。なんで結心だけ罪を被るんだよ…。」
結心「深雪たちは俺に洗脳されてたって言えばバレても元の場所へ戻れる。けど、俺は自分でその場所を壊してないものにする。俺たちは似てても同じじゃないんだよ。」
深雪「新しく作るのは…?」
結心「それは、唯一神としてあるまじき行為だから出来ない。俺がいなくならないと負の連鎖は終わらないよ。」
深雪「結心の父親がいなくなるだけで終わると思うよ…。」
結心「それで終わるなら今まで我慢してないよ。」
俺はどうしても自分の罪を自分で被ろうとする優しすぎる深雪を抱きしめ、今俺の息吹を精製している深雪のお兄さんの代わりをする。
結心「穢れた血はもう誰にも受け継がないから。もうこの世界に神の御神体なんか産み落としはしないから安心して。」
深雪「…結心は結心で生きていいと思うよ。」
結心「俺は俺が嫌いだから生きたくない。次、この世界に産み落としてもらえたなら蝉になって思うがままに生きようと思うよ。」
俺は嬉しい事を言ってくれた深雪をぎゅっと少し抱きしめてから腕を離し、作戦をしっかり遂行をしてもらうために決意を固めさせる。
結心「深雪が元の場所へ戻れたならまた湊とバンド始めてよ。それで夏フェスでもして蝉になった俺に聞かせて。」
深雪「…蝉は見つけにくいからカブトムシになって来て。」
結心「努力する。」
俺はどうやったって叶いっこない来世の約束をしてから深雪と別れ、新聞部の部室になっている資料室に戻ると居眠りしている愛と必死で何かをノートにまとめている湊とそれをじっと見ているとと丸がまだいた。
結心「はかどってる?」
健吾「…仲間って、お前も親いないの?」
と、やっぱり鈍感な湊は母親が殺されたとも思いもしないのか、少し気まずそうに聞いてきた。
結心「俺を生んだ人間は死んだ。俺の元を生み出した人間は新しい女と一緒に新生活を楽しんでる。」
健吾「…いないって言う程ね。」
結心「元からいない。」
健吾「そう…。」
俺の解答はあまりいい情報じゃなかったらしく、湊はまた自分なりに情報を集めたノートを見て頭を抱える。
結心「来週の新聞、もう出来てるか?」
健吾「…え?」
結心「学内新聞。あのくそ面白くないやつ。」
俺は外の掲示板に張り出されている新聞を頭で指して一度俺から気を逸らしてもらう。
健吾「…やりたくてやってる訳じゃないから。」
結心「活動してる示しだけってやつね。」
健吾「しょうがないじゃん。そうしないと教室の鍵、貸してもらえなくなるだもん。」
結心「1回だけなら埋めてやってもいいけど。」
健吾「…え?情報くれるってこと?」
結心「その代わりに頼みごとがあるからそれを必ず聞いてくれるならあげるよ。」
健吾「頼みごとって…?」
俺はどうしても足りなかったピースを湊で補い、作戦決行の準備を全て整えた。
環流 虹向/桃色幼馴染と煙気王子様
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます