第24話 秘密活動

「したいですっ。」


プリッと頬を膨らませながら俺に部活に参加したいと100回言った愛は拗ねた顔をして俺が神の仕事へ行こうとする足を止めるために腕を掴む。


結心「ダーメ。あれは参加資格がないと入れないの。」


愛「んー…ぅ。なんでその参加資格を教えてくれないんですか?」


結心「それは俺だけが知ってて、メンバーは誰も知らないから。」


愛「メンバーさんはなんで入れたんですか?」


結心「俺からのスカウト。あの学校の教室借りてるだけで学生じゃない奴もいるから。」


俺は愛がどうしても納得してくれない様子なので、家を余裕持って出ようとしていたのを辞めて携帯でニーナに車を出してもらうようメッセージを送る。


愛「私もスカウトしてください。やりたいことリストにも書きました。」


そう言って、半分以上達成シールがついたやりたいことリストに新しく『結心さんの部活に入る!』と書かれていることを見せてくる。


結心「参加資格があったらするけど、今んとこない。」


愛「えー?ととくんは?」


結心「とと丸は愛のスパイになるからダメ。そんな駄々こねても入れないもんは入れないから。」


愛「じゃあチョコ返してください。」


結心「ダメ。もう俺のもんだもん。」


俺は自分の胸ポケットに入れている愛手作りのチョコが入った箱を取られないようにブレザーの胸元を締める。


愛「入りたいぃ…。部活入ったことないから結心さんと一緒にしたい…。」


と、愛はしょぼくれた顔で俺の足元にしゃがみ、涙目で上目遣いしてくる。


俺はその破壊力に動悸を感じていると、電話が鳴った。


結心「もう行かないと。既存してる部活だったら一緒に入るから選んどいて。」


俺は自分の財産と言える情報が詰まったノート1冊のページをちぎり、そこに書いてある部活動を見て愛にあと1ヶ月もやらない部活を選んでもらうことにした。


愛「……今日も朝ですか?」


と、愛はまだふてくされた顔で俺を見つめてそう聞いてきた。


結心「うん。寂しい?」


愛「…ちょっと。でも、ととくんいるので大丈夫です。」


俺は初めて『ちょっと』と言ってもらったことに嬉しくなり、愛と抱かれているとと丸ごと抱きしめて頬にキスをする。


結心「なるべく早く帰れるようにするから。寝てればあっという間に朝になるから布団でゆっくり寝てな。」


愛「…は、はいっ。」


愛は顔も耳も真っ赤にして小さく頷き、俺を玄関先で見送ってくれた。


俺はそんな愛がしっかり戸締りした音を確認してニーナが持ってきてくれた車に乗り込み、本家に行くと父親が玄関先で新顔の女と楽しげに話しているところに出くわしてしまった。


陽旦「お、ちょうどいいとこに来た。」


そう言って父親は親しげに女の腰に腕を回し、抱き寄せた。


陽旦「今日から俺の妻になった信実 和子しんみ かずこ。これは俺の息子の結心に会計士の凛 青藍りん せいらん。」


父親は今までのタイプにはいなかった少し枯れている女に俺とニーナを紹介して握手をさせた。


陽旦「和子はこれから奥の蓮の間に住むことになったから。」


結心「そこは…」


陽旦「和子も了承済み。いい加減、前に進まないとな。」


思ってもないことを言った父親は人前でニーナを自分の部屋に誘う時に使うペンをニーナのブラウスの襟元に挿し、妻になった女と一緒に俺を産んだ母親が使っていた部屋に向かっていった。


凛「…結心、大丈夫?」


結心「胸貸して。」


凛「うん。」


俺は玄関に座り、その膝の上にニーナを座らせてたわわな胸に顔を埋めさせてもらい、苛立ちを性欲で沈めさせてもらう。


結心「…なんで、今?」


凛「分からない…。私も今知ったからなんの情報もないよ。」


結心「あいつ、若い奴ばっかり食ってたじゃん。なんで今更あんなババァと結婚すんの?」


凛「んー…、やっぱり気持ちが落ち着くのかな。陽旦さんは見た目年齢若いけど50でしょ?だから波長が合うのかも。」


結心「絶対、なんかある。調べといて。」


凛「分かった。」


俺は薄れた香水の匂いがする胸で心の平穏を取り戻してもらい、そのままいつもの営業に向かった。



環流 虹向/桃色幼馴染と煙気王子様

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