413日目 惑いの夜の学園パーティー(1)
ログイン413日目
●役職一覧
・フレンズ:7人。普通の学生。スパイとアンフェアの正体を当て、平和で楽しい夜を取り戻そう。
・スパイ:2人。【変身薬】を使って学院に紛れ込んでいるツェツィーリアのスパイ。最後までパーティーに居座って、みんなを惑わそう。どちらか1人でも残ればミッションコンプリート。相棒が誰なのかを君は最初から分かっている。
・クレイジー:1人。スパイに惑わされ、少しおかしくなってしまった子。【友情の証】を渡した子の陣営を勝たせてあげよう。相手の子の正体は自分で推理しないといけないぞ。たとえ自分が追い出されてしまったとしても、証を渡した子の陣営が勝てば君も勝利となる。
・アンフェア:1人。スパイに惑わされ、少しおかしくなってしまった子。トゥルーと一緒に最後までパーティーを楽しもう。君だけ【真実の友情の証】と【偽りの友情の証】を所持している。【真実の友情の証】を渡した相手はその時点で【トゥルー】となり、【偽りの友情の証】を渡した相手はその時点で【ライア】となる。トゥルーと君は一蓮托生、君が追い出されればトゥルーも追い出されることとなり、トゥルーが追い出されれば君も道連れになるぞ。
・トゥルー:1人。アンフェアに惑わされ、少しおかしくなってしまった子。アンフェアと一緒に最後までパーティーを楽しもう。アンフェアと君は一蓮托生、君が追い出されればアンフェアも追い出されることとなり、アンフェアが追い出されれば君も道連れになるぞ。
・ライア:1人。アンフェアに惑わされ、少しおかしくなってしまった子。渡された【友情の証】が偽りであることを見抜き、君の本来の任務を全うせよ。
――――――激むず~~~~っ!
ゾエ君が企画してくれたパーティーイベントの当日、私はゲームのルールを読み返しては苦悩していた。
ワールドイベントの概要が発表されたのは一週間前なんだけど、細かい説明が送られてきたのは一昨日だったんだよね。ここ2,3日空いた時間で何とか頭に詰め込もうとはしているものの、これ実際にやってみないと完全には分からないやーつだと思う。
せめて役職だけでも把握できればと、今ぎりぎりまで奮闘しているところ。
でも無理め色濃厚。うあ~、トロールしそうで怖い~。
イベントが始まったのは昨日の午後なので、まだ攻略情報なんかも充実してないんだ。それにまずは新鮮な気持ちでパーティーを楽しみたいっていうのがあるから、敢えて公式お知らせ以外の知識は入れないようにしていた。
けどこの状況あんまりよろしくないんじゃないか?って、今になってドキがムネムネしてきている。
いやだってさ、当初はゾエ君、こんなことを言ってたんだよ。
『俺フレから人集めて部屋建てるんで、エンジョイめにゆるーくやりましょ。初めてだと長くかかると思うし、3時間2試合コース予定でいきますか。余裕あったら追加でもう1戦2戦って流れで。まあメインはロビーでの撮影会みたいなとこありますけどね~』
って。だから対人ゲームとはいえ一昨日まではそんな気負わず、やりながらルール覚えるくらいのかんじでいいか~って思ってたの。
そしたらだよ。昨日彼からこんなメッセージが送られてきたのだ。
[ゾエベル]
明日のパーティーのメンバーになります(敬称略・順不同)↓
[ゾエベル]
ゾエベル、KUDOU-S1、ヨシヲwww、リンリン、ビビア、陰キャ中です、レナ、モシャ、狂々、ササ、エルネギー
前半までは良かったけど、最後3人の名前を読むごとに震え上がったね。何このめっちゃエンジョイじゃなさそうな人選!って。
何ならこの3人の名前があることによって、他のメンバーの印象だって変わってくる。
だってゾエ氏含む結社の人達って本来、遠征イベントでは上位ランク当然なレジェンド冒険者極めちゃってるガチのガチ勢でしょ。もう私みたいなゆるゆるプレイヤーのことなんてころっと忘れて、しれっと議論バトル大戦争おっぱじめそうだよね。
そんなわけで、学院に向かう私の足取りは重かった。でも――――――。
「ビビア! ちゃんと時間通り来れて、お利口さんね。さあ会場へ向かいましょう。シャンタもあなたのこと待ってるわ」
――――――ロビーに降り立つと共に出迎えてくれたシエルちゃんを目にして、一旦全部吹き飛んだけどね~~!
衣装の設定は既に済ませてあるので、現在のシエルちゃんは私お手製のスペシャルなドレス姿だ。
やーーーーん、もう、眩しいっ! 可愛過ぎだし美し過ぎ!
鮮やかなシアンブルーに可憐な【アモネモ】の花冠、お菓子のごとく愛らしく、蝶のごとく優雅に着飾ったシエルちゃん。控えめに言って最強です!
断言しましょう、今日のパーティーの主役は間違いなくシエルちゃん!
どんなご令嬢もお姫様も敵いません。目が合う御曹司ことごとくイチコロに違いないんだから!
と、思った直後のことだった。
「あら、ビビアじゃない、ご機嫌よう。……ふふ、なあに、その物欲しげな目。私のドレス姿に見惚れちゃった? でもザンネンでした、今日の私のパートナーはあなたじゃないの。恨まないでよ、私を選ばなかったあなたが悪いんだから」
言って子どものように口を尖らせる美少女の姿に、私の視線は引き寄せられる。勿論、シャンタちゃんだ。
彼女が纏うは華やかで妖艶なマゼンタピンク。ポップでチャーミングなシャンタちゃんの個性を素晴らしく引き立てている。
私は心の中で平身低頭の構えを取った。
「今日の主役はシエルちゃん!」などという軽率な発言、大変失礼いたしました。今すぐ訂正いたします。
今日の主役はシエルちゃんとシャンタちゃん! これがファイナルアンサーです!
などと脳内お花畑にて小さいビビアさんを数匹躍らせていると、ふいにシエルちゃんが私の腕を取った。
「やだあ、シャンタったら拗ねてるの? 私のビビアに選ばれなかったからって」
『
ありがとうございます! ありがとうございます!
「やめてよ、子ども扱いしないで。それにシエルだって、そんなこと言いつつ私のゾエベルにちらちら色目使ってるでしょ。だあーめ。これは私のモノなの」
うわああああーーーー、『私のゾエベル』は目の前で言われると少しショックかもおおおおーーーー!
おまけに『私のモノ』ですって!? ちょっとゾエ氏、あなた良い思いし過ぎじゃない!?
羨ましい! 妬ましい! 憎らしい!
うう、こんなことならシャンタちゃんにこんな魅惑的なドレス作るんじゃなかった……。
いやそれは違うか。それは違うな。
っていうかゾエ氏、あなた何クールに静観決め込んじゃってるんですか。シャンタちゃんが今すっごい殺し文句言ったんだよ?
よもや「聞いてなかった」だなんてほざいた日にはもう、剥奪です! シャンタちゃん剥奪!
ゾエ氏、失格! シャンタちゃんのパートナーたる資格なし!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます