289日目 あるかりめんたる(1)
【きまくらゆーとぴあ。トークルーム(公式)・総合】
[椿ひな]
去年秋頃のアプデでネーム変更は課金必要になった
同一ネーム不可になったのはもうちょっと前だった気がするけど
[吉野さん&別府]
ようやくきまくら。も治安改善に重い腰を上げたか
[YTYT]
ネームコロコロ害悪君がいなくなったとて、ネームそのままサイコちゃんが普通にのさばってる時点でお察しだがな
[ヨシヲwww]
運営「ウホッ、害悪商売キタコレwww」
[バーボン]
まーでもコロコロしないとイキれないような小物なら尚更、わざわざ金払って名前変えようとは思わないだろ
悪くない判断だと思う
[くるな]
しかしリセットは課金必要ないわけだろ
それにコードも変わる
[ロッタ]
ユーザーコードはリセット後も基本変わらないよ
但しアカウント消去後から復帰までに期間が空いてる場合はその限りではない
インしてない期間、別の新規ユーザーに使ってたコードが割り振られてることがあるから、そういう場合はコード変わるとか何とか
[ミルクキングダム]
コードを確実に変えるにはVRセットを別物にする必要がある
[御影]
何おまえらこんな話で盛り上がって
そんなにばれずに害悪行為がしたいのか
漢なら堂々やったれ
[千鶴]
害悪云々でなくとも、稀にリセットしたプレイヤーについて
「コードが同じだからこの人○○さんの生まれ変わりですね!」みたいなこと言ってる人いるからゾッとする
ほっといたげて
[ハロー]
コードなんて気にしたことなかったなあ
どんな理由にせよ粘着こわあ
[バーボン]
eeという存在がある以上コード問題は重要案件
[否定しないなお]
eeはコード変わってても特定してきそうだけど
[鏡の国のチェシャ]
今週の週刊ee↓
>サークルクラッシャー・ブティックの暗躍~ねじコの指示のもとクラン[Clione]を解散させた疑惑浮上~
[ミルクキングダム]
Bさんeeのいいオモチャになってら
やりたい放題で草
[武脇真紀]
さすがにもう属性盛り過ぎで零れてきてるのよ
これ以上載らないのよ
[鳥]
確かに今更「サークルクラッシャー」とか言われても感w
武器商人とか悪女とか雷帝とか散々ゴツい二つ名付いてるのに、随分チープになったなと
[追い付く人]
ネタ切れee
[狂々]
つかクリオンてどこ
知らんて
[yuka]
ねじコさんが元所属してたところですかね!
だとしたらきまくら。始めたてのほやほやクランだったはずですが
[名無しさん]
別にそんな弱小クランの一つや二つ蒸発させてたところで何とも思わねーっつーの
勝手にやってくれ
[コハク]
あ、でも確か劇団てブティックさんの息がかかったニュービークランだったよね
アレの新人とは思えない暴れっぷりを見ると、サークルクラッシャーのあだ名は伊達ではないのかもw
[否定しないなお]
なるほど、色んな意味でサークルクラッシュさせてんのね
言われてみれば無職なんかも被害受けてるよねw
あと一時期結社はブティックさん絡みで不和が生じていたと言うしw
[ウーナ]
あれはヨシヲが勝手に拗ねてただけでしょ
[ホクロウ]
ニート君はすぐ拗らせるから
[マリン]
あれ、でもそういや竹取も昔、ブティック産の服が原因で。警察が脱退寸前だったとか何とか…
[YTYT]
情報屋はブティックに脅され徹夜でミラクリ検証を行った結果、数人のメンバーが過労で倒れることになったと聞くし…
[明太マヨネーズ]
春の陣もブティック服が原因でパンが一時ソロ活動に追いやられ…
[スペード]
あるかるのめめこ脱退も、服の金支払うためにもも金の力借りたことが切っ掛けだったわけだろ
しかもめめこはその後もも金からごっそりメンバー連れ去ってくっていう
[つららE]
……あら?
[おろろ曹長]
………………さーくる……くらっしゃー……?
******
ログイン289日目
その日もいつもと同じように、私はログインするとまずショップエリアのカウンターへ向かった。
売上と在庫、リクエストボックスを確認して、簡単に作れるリクエストアイテムや欠品を作って補充して、シエルちゃんシャンタちゃん、ミコト君、最近よく来るようになったテレジアちゃんなどのお得意様NPCのお相手をして。
そんな平常通りのきまくら。ルーチンを楽しんでいるときのことだった。
カランコロンとベルが鳴ったので顔を上げると、二人のプレイヤーが入店してくるところだった。
一人は羊の角と耳を持つ可愛らしい女の子で、モスグリーンのコートの下に白いワンピースを着たお洒落ガールだ。もう一人はカジュアルなジャケットとシャツに、チェックのネクタイを締めた青年で、こちらも今風な若者ってかんじ。
私は「いらっしゃいませー」とだけ告げて、カウンターのパネルに再び目を落とした。
二人は知り合いのようで、楽しげにお喋りしながら店内を見回っている。雰囲気的にカップルっぽい。
ちぇー、いちゃいちゃしやがってよお。と、しょっぱい気持ちにはなるものの、まあこういうことは時々ある。
お金はかからない手間もかからないお洒落や化粧にも気を遣わなくていいってんで、昨今じゃ
私のお店は男女双方のアイテムを取り揃えてるし、人気のスキル付きも出してるしで、こうやってアベックで買い物に来るお客さんもそう珍しくはなかった。
まあその辺は寧ろ誇ってもいいところよね。[ブティックびびあ]はデートに使われるほど素敵な場所なんだから!って。
だからね、絶え間なく呪詛を送りたい気持ちを押し殺し、努めて気にしないよう作業を続けてたんだけど――――――。
「えーっ、どっちも似合うんじゃない? いいじゃん両方買っちゃえば。買ってあげるよ、俺」
「も~、そゆことじゃないの~。ねね、じゃ、今から試着してみるから、感想聞かせて。スクショ送るから」
「分かった分かった。行ってら」
「……はい、お待たせ! どうどう? テト君はどっちが好み?」
「いやどっちも好みー!」
「も~~~~っ」
――――――きゃいきゃいとした話し声は、どうしたって響いてくるのよね。
別に二人が特段うるさいっていうんでもないのだが、うちのお店そもそもが同時入店可能人数六人だからね。
最近入れる人数ちょっと増やしたとはいえ、それでも店内は基本的にいつも静かだ。聞き耳を立てずとも声はすっと入ってくる。
作業に集中できないし、ここは一旦裏に引っ込もっかな。
因みに最近の私はショップエリアのカウンター内にも【作業台】を置いていて、簡易的なクラフトがすぐできるようにしてある。
リクエスト依頼をするお客さんや店頭に置いている品数が増えてきたから、納品作業も結構複雑になってきてて、何を作り足せばいいのか覚えるのが大変だったんだ。
こうすれば、カウンターからショップ情報を確認しつつ、すぐに商品補充ができるから便利なのだ。唯一の難点はお客さんと同じ空間にいる時間が長くなるので、まあ今回みたいなことも起こりがちってところか。
そんなわけで私は椅子から立ち上がったのであるが、そこで声をかけられた。
「あのお……」
なんと声の主は、きゃっきゃとはしゃいで私を追い立てたカップルの内の片方、羊角の女の子であった。
「ブティックさん、ですよね?」
「はい。そうです」
最近はこの呼び名にもすっかり順応してしまった。……いや、『雷帝』だとか『ザコガリーズ』だとか呼ばれるよりかは大分マシだなって思えちゃって。
だから自然ノータイムで頷いてしまうと、彼女はぱっと顔を輝かせてカウンターの前まで歩いてきた。その手には二着のアウターがある。
あ、お会計かな? と思いきや、彼女は手にしたアウターを掲げ、真剣な目で私を見つめてきた。
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