第24.75話 『でびるず・いんたーるーど!③』

「ギャハハ!マズ、冥崎誠一郎!コイ…」

「おい、いつもの話し方だと解説わかりづらいぞ。本当の姿になったらどうだ?」

「…ソレモソウダナ!」

 ベルゼブブの口から何か出る。

 ─いや、口が裏返って、細身の銀髪の男が現れた。

「うし、これでいいか?」

「…す、姿が…変わった!こんなに格好良かったんだね、知らなかった…羨ましい。」

「まぁレヴィアタン様はですからね。知らないのは仕方ないことです。」

「古参of古参のアスタロトちゃんからしたら常識ッスけどねー!」

「いつも思うが、何でそんな変な格好を普段している?」

「省エネ」

「…よくわからん」

「じゃあ解説すんぞ。まずは暴食の魔王様、冥崎誠一郎。料理一筋60年の世界的料理人だな。一日50食限定、値段も高い、テレビ番組にも出演しない。それでいて店の予約は何と一年待ち!更に頼めばどんな物でも作ってくれるそうだな。」

「うわぁ凄く羨ましいッス!アスタロトちゃんも冥崎ちゃんの料理食べたいッス!」

「…ただ本人はあまり料理を振る舞うことは好きじゃなさそうだがな。で次は戦闘能力。契術は触れた物や自分の形状や性質を変化させるモノ。まぁ触れたら一撃必殺だ。加護は…これかなりトリッキーなんだよなぁ。タネがわかると単純なんだが。老人ではあるが毎日鍛えてるから身体能力はそれなりにあるぜ?」

「正直今の状況でその加護はあまりにも強すぎますわ。」

「まぁアドバンテージはデカいな。複数人で纏めて挑んでも、それはそれで助かるし。次は保中慎一…改め本名、禍供犠早贄の解説に移るぞ。」

「え、あれ偽名だったんですの?」

「まぁそっちの名前は捨ててるけどな。アイツはプロの殺し屋だ。しかもそん中でも上澄みって奴だな。特に身体能力や隙を見抜く能力に優れている。契術は水を操る…ただそれだけだ。」

「単純な能力程エグいとはよく耳にするでございます。」

「まぁ実際そうだ。特に保中の手に渡っちまったからなぁ、魔王でもコイツを倒すのには苦戦するぜ?ホント、顔もイケメンだしギャグセンスも一流だし最強だぜ。」

「…」

「なんで皆急に静かになったんだ?まぁともかく最後は…アスタロトだな。じゃあ俺は元に戻るわ。」

 そう言うと、ベルゼブブの体はまた裏返り、口のような姿に戻る。

「はーい、トリはアスタロトちゃんッスね!ドッキドッキッス!まずは龍崎綾ちゃん!普通の女子高生だったけど、ある日虐められてた子の味方をしたことで虐められちゃうンスよ。」

「まぁ、よくある話だな。」

「ちなみに龍崎ちゃんは無意識の内に計算してやったンス。自分を追い詰めるスリルを愉しみたかったンスよねぇ。」

「一気によくある話じゃなくなったぞ!ドMなのか!?」

「Mっ気はあると思うッスよ!でもとりあえず試しにでいじめっ子を殺すノリの良さもあるッス!契術は氷を操るモノ。…ぶっちゃけ中堅クラスの強さはあると思うンスけど、いかんせん他のメンバーが強過ぎて気負いしちゃってるッスね。最近は改善傾向にあるッスけど。」

「…他は強いのか?」

「両方ヤバいッスよ!次は宮藤愛蘭ちゃん!趣味は色んな物を解体することッス!普段は色んなバイトを転々としてるッス。契術は血液を操る能力ッスね。」

「待て、私は知っている。あの女、一瞬の躊躇も無く他者を殺して血液を奪い、自らの武器へと変えていたぞ。」

「それはまぁこの子の性格なんッスよ。しかもありとあらゆる能力…特に人間の感情を読み取る能力が高いッス。過去を見る限り特に何もないし…まぁ所謂いわゆる天性の才能って奴ッスね!」

「オイマテ!オマエ、ウソツ…」

「はいはーい!最後は憂鬱の魔王で、みんな大好き米沢乱流ちゃん!」

「主語が大きいでございますよ。」

「元々は非日常を愛する普通の高校生だったンス。けど今は…最も存在ッスね。」

「お前が太鼓判を押す程なのか?」

「当然ッス!憧れも強さもピカイチッス!顔は普通なのにイケメンに見えちゃうッスよ!」

「…」

「加護は指定した一つの方向に力をかける能力、契術は触れた物を任意のタイミングで爆破させる能力ッスよ。破壊力も利便性もかなり高いッスけど…まだ十分使いこなせていないンスよねぇ。まぁこの辺りは今後に期待ってとこッス!以上ッスね!」

「…さて、これで全員のプレゼンが終わりましたが、どうでしたか?」

「中々強そうだが…まぁ俺達の勝ちだろうな!」

「…ふん、弱い犬ほどよく吠えるとはよく言ったものだ。」

「まぁ客観的に見ても唯一3人生き残ってるウチはかなり有利ッスね。逆に一人の所はかなり厳しいんじゃないッスか?」

「どうだろうか、人間が死ぬ時はかなりあっさりだからな。」

「さて…そろそろ4日目も終わり。5日目に入りますが…ここで一つ提案があります。」

「な、何でしょうか…?」

「なぁに、心配することはありません。ただの追加ルールですよ。」

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