学園転移の先はただの地獄!?
@kimkai
第1話 学園転移
その日、俺は普通に授業を受けていた。
俺の名前は
ただの天才だ。
俺が通っているのは日本でも有数の進学校。
進学実績も高く、中高一貫で、寮生活。
俺は高校2年として通っている。
そんな普通の生活だったが、この学校が30周年を迎えようとする間近に起こった出来事だった。
俺が気づいた理由は単純に授業がつまらなかったからだ。
この学校では基本的にテストの点数や実績があれば、授業態度のことなどは余り言われない。
だからこそ授業中は校庭で体育をやっているのを眺めている。
俺が眺めた風景に一瞬の揺らぎが生じた後、外の風景が都心から森へと変化した。
俺は声を上げるまでもなく、授業中ということを忘れ教室を出て校門を目指す。
「ちょっと!?木村君!」
俺はそんな声を無視して進む
外の現象に気づいたのは俺だけのようで、外では呑気に体操をしてる。
この学校は鉄格子などではなくレンガで囲われているので、外を見るには校門をよじ登るしかない。
そして俺が見た外の風景は──────
──────俺が普段見ている風景とは全く異なっていた。
今までで見たことの無い種類の木に、これまた見たことの無い種類の生物が徘徊している。
俺が知らない種類の動物がいるだと?
その時、俺と近くを徘徊していた角が生えてる緑色の人型の生物と目が合った。
何故か背筋に悪寒が走り、この場から逃げでしたくなった。
しかしそいつは身長が小さく目測でも150もない。
しかしその手には凶悪なほど伸びきった爪が生えている。
俺は一旦下に降りてから手頃な石を探して、再度昇る。
そして力いっぱい石をぶん投げる。
それはこちらを見失ったあいつの頭に綺麗に突き刺さり、見てわかる程頭が凹んでいる。
そのままあいつは倒れた。
────────────────────────
個体名【ゴブリン】の討伐を確認
対象の討伐ランクE-
経験値10獲得
レベルが上がりました
レベルが上がったことで、システムを獲得しました
天職【無限術士】を獲得しました
スキル【無限成長】を獲得しました
───エラー、エラー、システムに介入されました
───により取得職業制限撤廃
───により取得スキル制限撤廃
───によりシステムに一部調整されました
システムよりご確認ください
────────────────────────
「なっ、どういうことだ」
こんなこと生まれてこの方1度だってなかった。
目の前に半透明のボードが現れ、書いてあるとおりの声が頭の中に響く。
隣を見ても先生に聞こえている様子はない
これが初めてだ。
「おい!木村、降りてこい!」
下から先生の声が聞こえる。
「一体どうした?授業から抜け出すなんて。らしくないぞ」
まさか、気づいてないのか?
「先生は気づいてないんですか?外を見てください」
俺はそう言って先生と上に上がる。
「な、何だこれは!?ここは東京じゃないのか!?」
「なので僕も気になって降りてきたんです。それに見てください。あの妖怪みたいな生物を」
俺がさっき殺した緑色の人型生物以外にも、二足歩行の犬いや狼、二足歩行の人間の2倍のサイズをはるかに超えた豚、獰猛な瞳で牙が鋭くて下半身が異常な程発達した兎。
上げればキリがない。
「こ、これはどうなってるんだ······?」
「先生、一先ず降りて説明しましょう」
「あ、ああ、そうだな」
俺と先生は降りて、レンガの壁の上で見た光景を説明する。
すると、話を聞いていたひとりが目を輝かせてぽつりと呟いた。
「異世界転移······」
俺はそいつを特定して近づいてから胸ぐらを掴む。
「ひぇっ!」
「お前、何か知ってそうだな?」
中高一貫で座学は教えるのが違うので無理だが、体育はたまにだが交流授業として中学生と一緒にやる。
だが俺はこの顔を見た事がないので、今年入ってきた新入生か?
「何も知りません!ただ、この状況が小説の話に似てたので······」
「分かった。ならその小説の話をしてみろ」
「は、はい。先生が外で緑色の角が生えた僕達よりも低い身長の生物がいたと言っていましたが、それを小説の中だと【ゴブリン】って言うんです」
そういえばさっき聞いた不明な声も同じようなことを言ってた気がするな。
「犬の頭をした生き物を【コボルト】、豚の頭をした生き物を【オーク】兎の方は分かりませんが、僕がよく読んでいるラノベの世界に似てるんです」
「ラノベ······?」
「ライトノベルの略です。そこでは異世界というものがあって、そこに転移したり転成したりする物語なんです」
「そういえばそんな本があったような気がするな」
先生が中学生クンの説明に信ぴょう性を持たせる。
「それで?」
「え、それで?」
「日本と何か違うところは無いのか?例えば俺らが今立っている大地はどのような形をしているか、とかだ」
「えーっと、そんなことは書かれてなかったのですが、異世界には魔法って文化があって、魔物······【ゴブリン】【オーク】を討伐する力として使われているんです」
「ほう、その魔法とはどんな力だ?」
「火を起こしたり、水を出したり、風を起こしたりします」
「っ!?それは何かを代償として使うのか!?」
「は、はい、魔力という力を使って使います」
やはり等価となるものがあるのか
等価がなければエネルギー保存がこの世界では成り立たなくなる。
となれば永久機関を作れるということにままならない。
となれば何もしなくても金を稼げることになる。
まぁ、そんな簡単に事が運ぶはずはなく
「魔力ってなんだ?」
「魔力ってのは少し曖昧で誰でも持ってることもあれば、選ばれた人しか持ってない場合もあるんです」
「それは矛盾してないか?」
「あ、いえ、ラノベは本のタイトルではなくジャンルなので本によって差があります。なので魔法がある本もあれば無い本もあります」
「そうか。これまでのは全て予想の上に成り立っていたのか······」
「───ねぇ、ここはどこなの······?」
そんな時1人の女子生徒がそう言った。
「どうやらここは異世界らしいぞ」
俺は淡々と答える。
「私たちは······家に帰れるの?」
「そうだな、そこら辺はどうなんだ?」
俺はそっくりそのまま聞く。
「普通召喚されたなら術師がいるはずなんですが、いましたか?」
「いなかったぞ。辺り一面森だったし、その先も見えなかった」
「······ならもしかすると時空の裂け目みたいなことが起こって学校ごと転移しちゃった、とか?」
俺の様子を伺いながら聞いてくる。
「一理あるな。可能性の話としては有り得なくはない」
俺はは3次元の世界の住人だが、それより高い次元4次元や5次元などの生物が俺らに気付かれずに学校ごと操った可能性は十分に有り得る。
そんな存在確認されてないので、あくまでも可能性の話だが。
「で、帰れるのか?」
「こういう話なら術師が帰れる方法を教えてくれるのですが、見当たらないし辺鄙なところなので帰れる可能性はないと思います。例えあったとしても限りなく低いと思います」
その生徒がそう答えた瞬間、質問をした女子生徒は呆然とし、涙を流し出した。
現実は容赦なく他の生徒にも突きつけられ、外での騒動を見てやってきた生徒や教師にもその波紋は広がる。
そして嘆きの声は大合唱のようにも聞こえた。
俺はその場を離れようとする。
「木村君」
呼び止められてしまった。
声の方を向くと、好々爺の空気を纏う校長先生の姿が
「君はあんな話を聞いたのに動じてませんね」
「だいたい予想は着いてましたので。それに家に愛着なんてものはありませんので」
「······そうでしたね。私としてはこの場にとどまってくれた方が嬉しいのですが」
「面倒だし却下ですね。これから起こることは校長先生でも予想が着くでしょう?半狂乱となった生徒が騒ぎ出す。外にいるのは1種の獣です。中学生クンは魔物がと言ってましたが、まさにその通りですよ。動物園にいる快適な動物とは目力からして違いますので」
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