第19話 和解、そして死

シルキーsaido

「ではさらばだ....シルキーよ」

そう言ってロボさんは獣化して私に背を向ける

その背中は歴戦の戦士のような威圧感を放っていた

「はい...もう会うことはないでしょうけど、」

正直に言ってもうこの人には会いくないって感じ。

あぁ暫定お父さんのフロンシアさんの手紙を渡してくれたことはありがたいと思っていますけどね

「ははは、違いない...」

笑い事じゃねぇんだよなあ...ティアナさん重症だし

この辺り一面焼け野原だし!まぁ、私達も関わってるんだけどさ!

その事はもう良いけど。ティアナさん頑丈だからもう動けるから

「それじゃあ、お元気で、ロボさん」


「あぁ、また今度...」

そう言ってロボさんたちブラックドックの皆さんが村を去ろうとしたその時

村の入り口400メートル先に何かの集団がこちらに向かってくるのが見えた

「おい!何か来るぞ!」

何?誰が来るんだ?

「....なんてことだ!あれはこの辺の領主の騎士団じゃないか!」

マジで!?どうしようかなぁこの村の人達は良い人だったから翅隠してないけど、

今の反応からして、ろくな人じゃないと思うから翅隠しとこ

「シルキー...後ろに隠れているんだ...」

はい...ティアナさん

「子供達を隠せ!」

ティアナさんのその掛け声を聞き、親達は戦闘の音が気になって出てきてしまった。子供達を家の中に入れる

そして

「ついにきたか...というかなんで領主一向が.此処へ?」

そういえば、たしかに気になるね、何でこの村に来たんだろ?

ブラックドックが無断で国境を渡ったからか?多分違うと思うけど

「貴様ら!」

到着した領主はみんなに聞こえるくらい大きな声で怒鳴ってきた。

「貴様ら!この辺に盗賊が出たそうだな!貴様ら知っているのか?盗賊は何処にいるかを知っているな!」

「たしかに出ましたが、そこの人が討伐してくれましたよ...というか遅いんですよ!」そういってティアナさんを村人達は指す。

「めちゃくちゃ怪我を負ってるんだが本当なのか?」


「なにぉ?私に逆らうのか?何だったら貴様らを反逆罪で死刑にしてやっても良いだぞ?」それはちょと横暴が過ぎるのでは?それをしたら、もしかしなくても領主じゃなくなるんじゃないか?あまり横暴がすぎるとティアナさんに行って

報告してもらうことになるけど...

「それは...横暴ではないですか?」


「ん?」

やべぇ!気づかれたか?

「おい!その娘は何だ?何故妖精族がこの村にいる?」

え?私!何でわかったの!?翅は隠してあるのに!

「ふん、何故わかったのか...と言った顔だな」

!?心が読めるのか!この男!


「心が読める訳ではない...だがその服装のお陰でわかったと言ったところか...」

あ!そういえば!蚕妖精には民族衣装みたいなのがあって

女の蚕妖精はみんな同じ服をしているんだった!?

「そういうことか....面白い」

何を?言っているんだ?こいつ

「???」

うわっ...こいつ殺してぇ...

「貴様ら!さっきから王様の悪口を好き勝手言いやがって!」

よせ!ブラックドックA!殺されるぞ!あとブラックドックと人間の関係が悪化するぞ!それだけはやめてくれぇ

「なぁ!?ブラックドックだと!?」

突然の襲撃で領主の部隊に動揺が広がり

隊列に乱れが生じた。

「何ぃ!?魔族が出たのか!どういう事だ...なぜこんな所にいるんだ!」

いや、普通に緩衝地帯だからでしょ。

というか、表向きには魔族と人類は冷戦状態見たいなかんじになってるんだっけ。

あまりにどちらとも種族の個体数が減りすぎちゃったんで、今は停戦中だったはず。と言う事は...この現場はどう見ても売国行為だった....これは大事だぞ...

「貴様ら、魔族を匿っていたのか!」

たしかに私は魔族だ...

「貴様ら...その子が我が友フロンシアの子であり最後の蚕妖精であるを知ってのことか?」言っちゃっていいんか?それ。隠さなきゃ行けないもんなんじゃ

「蚕妖精だぁ?その子供がか?」

本当かどうか半信半疑な目でこちらを見る領主一向

「ふむ...我が家に連れて行くのも良いかもな...」

えっ...今なんて?

「おい!こいつを屋敷に連れて行け」

連れていかれる...そう思って身構えたその時、周りを囲んでいた領主の私兵達は驚きの言葉を口にした。

「「「「えー嫌でーす」」」」」

連行させるのを拒否する私兵達...お前らここの領主の私兵だろ...従わなくていいのか...。そう思って

いやまぁ..敵対してくれないのならこっちとしてはありがたいけどさぁ...

「えーじゃない!早くしろ!給料減らすぞ!」

もう威厳がカケラもないが、気まずい空気になったので威厳を取り戻そうと必死に命令しているが

誰一人聞こうとしてくれない...それどころか反論しだす私兵たちも現れ始めた。

「いいや、嫌だね!あんたも分かっているでしょう!蚕妖精に攻撃したりすると王家に逆らうことになるんですよ!だから私達は貴方に従いません!」

なんか仲間割れしてるんだけど...

「シルキー伏せろ!!!」

え?

パァン...辺りに乾いた銃声が響き

バタリと倒れるロボさん。それを見て驚く私達

突然のことでパニックになって悲鳴をあげてしまい

ちょっとした騒ぎになってしまう

「「「主様!」王様!」ロボさん!」

ブラックドックのみんながロボさんに駆け寄り

魔法で蘇生をしようとする...その光景を見て

一瞬頭が真っ白になっていた。

「ロボ...さん?」

掠れた声で呼びかけるが彼はピクリとも動かない。

それどころか、体はどんどん冷たくなっていく

「嘘ですよね...死んじゃわないですよね!!」

あんなに私達が戦っても敵わなかったのに!?

「シルキー....彼は...もう」

ティアナさんは俯きながらさすってくる

うう...ロボさん...死んじゃやだよぉ〜

「シルキー....」

誰だよ....こんな事をしたのは!!

「やったぞ!仕留めた!」

後ろの方にいた私兵の一人がマスケット銃を構えていた。

そして銃口からは煙が上がっていた。

「お前か!!」

「何やってんだ!テメェ!魔族連合との国際問題起こす気か!」

もう...遅いんだよ...そんなこと言ってもね

もう...殺しちゃったんだから...

やったら...やり返される...それがこの世の常である以上。

お前達は...

「だまれ....」

え?サラさん?何を...

「ふん...手こずらせやがって...魔族風情が...人間様の糧となる事を喜ぶと良い」

そう言って近寄ってくる

貴様.....貴様貴様貴様ぁ!!!

よくもロボさんを!!ブッコロだぞ!お前!

確かにロボさん達とはそんな交友関係なかったけども!

「シルキー...いや何も言うな...どの道あいつらは...」

あ...そういえば、倒れたのはロボさんだけ....つまり...

「何をボソボソ言っている?女」

「我らの王を撃つという事は....こういう事だ!」

その声に反応して周りにいたブラックドック達が鋭利に尖った爪を目の前の敵に向かって振り下ろす。

つづく

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