第7話


「いきなりそんなこと言われて私たちが従うとでも思ってるんですか?」


いつもは比較的温厚な愛莉だったが、今回ばかりは流石にカテリーナの主張が一方的すぎたためだろう。


かなりきつい口調でカテリーナに詰め寄った。


「…」


カテリーナはすぐには反応しなかった。


スゥッとその目が細まった。


じぃっと青い瞳が愛莉を見つめる。


「な、なによ…」


圧を感じたのか、愛莉が一歩後ずさった。


その様子を見守る恵美はなんだか嫌な予感がしていた。


殺気のようなものがカテリーナから放たれていたからだ。


「そう…ですよね。確かにちょっと突っ走りすぎましたね。こんなこといきなり言われても困りますよね…」


と思ったらカテリーナは突如しゅんとして俯き、弱々しい口調でそう言った。


「そ、そうよ…!いきなりすぎるのよ、あなたは…!」


それを見た愛莉が再び強気になってカテリーナに詰め寄る。


その次の瞬間。


「じゃあ、もっとわかりやすくしましょうか」


不意に顔を上げたカテリーナがにこりと笑った。


そして徐に上げた右手を横に凪いだ。


斬ッ!!


「へ…?」


切断音のようなものを恵美は聞いた気がした。


ボトリ、と。


愛莉の首が胴体から離れて地面に落ちた。


ブシャァアアアアアと断面から鮮血が飛び散る。


「「「きゃぁああああああ!!!」」」


「「「うゎあああああああ!!!」」」


一瞬遅れて生徒たちの悲鳴が周囲に響き渡った。


そんな中、カテリーナが自分の喉に指を当てながら行った。


「煩い、黙れ!!」


「「「……っ!?」」」


カテリーナの声は拡声器を使ったかのように周囲に響き渡った。


全員がしんと静まり返る。


先ほどとは打って変わって鬼のような形相を浮かべたカテリーナが怒気を孕んだ声で忠告する。


「今からお前たちに幾つかの指示を出す。お前たちは指示にただ従え。異論も質問も一切受け付けない。抵抗すれば殺す。わかったな?」


「「「…」」」


静寂が辺りを支配していた。


もはや誰もカテリーナに逆らうものはいなかった。





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