キューブ
ネムネムZzz
第1話 出会い
「あぁーやっと学校終わったぁぁ」
机に突っ伏してうなだれる
テスト期間は普通の学生には問題ない事だが、神崎蓮には過酷な期間なのだ
だがそんなテスト期間も終わり肩の荷が軽くなる
「おい蓮テスト終わったからさ駅前のカラオケ行こうぜ」
神崎蓮17歳・高校2年の空手部に所属しており、全国大会出場もしているが勉強だけは残念な状態だ
蓮をカラオケに誘ってきたのは、運動は苦手だが勉強は学年トップの秀才の金井一輝
「おい?蓮大丈夫か?」
一輝は机にもたれる蓮を見て半分笑いながら聞いてきた
「一輝は相変わらず余裕そうだな」
「テストは授業を聞いていれば問題ないからね?」
「俺は聞いてるのに怪しいぞ!」
「蓮が勉強まで出来たら怖いよ!そんな事よりカラオケ行って発散しよう」
「今日は歌うぞー!」
蓮と一輝は2人は廊下に出て下駄箱に向かっている時に担任の山井先生が前から来た
「おい神崎!お前テスト大丈夫か?赤点補修に付き合うのも辛いから今回は頑張ったよな?」
「先生何言ってんの俺だよ?安心してよ!」
「お前の言葉は空手の時だと安心出来るのに、テストで言われると不安しかねーよ」
山井先生は空手部の顧問でもあり、蓮が全国大会に出た時も何もの心配して居なかった
「じゃあ先生!一輝とカラオケ行くから練習休むね!」
そういうと蓮は階段を降りていった
2人は話ながら学校から少し離れた駅前の交差点に居た
「一輝あの漫画読んだ?」
蓮は今話題の漫画の話をしていた
「読んだよ!めちゃめちゃ凄かったよな」
「来週どうなるんだろうな!仲間を裏切るのかな?」
信号が青になり歩き始めた2人、向かいから歩いてくる女の子を避けて
すれ違う時に女の子と蓮は目が合った
蓮は一輝と話ながら交差点を渡り終わろうとした時に後から男のうなり声がした
蓮と一輝が驚いて後を向くと
大男が暴れていた、蓮は一輝に鞄を預け大男に向かって走り出した
「蓮!危ないから止めておけ!」
一輝は蓮に危険だから近づく事を止めたが、蓮は既に走っており襲われそうになっている女の子を抱えて大男の殴り掛かってくる攻撃をかわした
「何だよ!道路を壊したぞ!どんな拳してんだよ」
蓮は男の攻撃に驚きつつ、女の子を安全な場所に連れて行った
「一輝!女の子を頼んだ!」
蓮は一輝に女の子を預けると男のに向かっていった
「もう止めとけよ!ただじゃ済まなくなるぞ!」
一輝が声を上げて止めようとするが、蓮は大男に向かっていった
すると女の子も蓮を止めようと声を出した
「貴方危ないから止めなさい!それに私の知り合いが近くに居るから」
「それじゃいつ来るかも分からないから皆が危ない!なら俺がコイツを倒して皆を守る!」
蓮は大男の前に立った、男を前によくよく見てみると、男の額には見慣れない四角く黒い刻印があった
男の表情は何かに怯えるかの様に見え、ひたすらに暴れ回っていた
蓮は男の攻撃を腕で受け、突き飛ばされた
「パワーがおかしいだろう!どんな筋肉してんだよ!」
建物の壁まで突き飛ばされた蓮は下を向きながらぼやいた
「うぉぉぉぉ」
大男がうなり声を上げながら、一輝と女の子に向かって走っているのが目に入った
「一輝!逃げろ!」
蓮が叫んだ!だが男のスピードが早く一輝は逃げる事が出来なかった
一輝は女の子をかばい男に体当たりされたが女性は無傷で済んだ
「一輝!」
女の子を守った一輝は気を失って倒れていた
その姿を見た蓮は一瞬何が起きたか理解出来なかった
何で一輝が倒れてる?大切な友達が
知らない男に襲われた
俺が一輝を守れなかったから!
俺が己惚れて男に挑んだから
友達を傷付けた
自分への怒りが込み上げて来た
「よくも!俺の大切な友達をぉぉ!」
すると蓮の手の甲に黒く四角い模様が現れ不思議な感覚を感じた
「なんだ?これは?」
体の内から湧き出てくる何かに困惑したが
感覚的に力が強くなったのが分かった
「覚悟しろよ!お前!」
「うぉぉぉ」
大男は蓮の方を向いて構えて突っ込んできた
突っ込んで来た男を軽々と受け止め、蓮は確実に自分の力が強くなったのを理解した
「オラァァァァ!」
蓮は大男を空中に投げ、自分自身も飛んで大男の上に回り込んだ
「もう終わりにするぞ!」
連打の攻撃を繰り出し落下しながら男にダメージ次々と入れていった
蓮は最後に渾身の力を拳に込め大男を殴った
大男は道路に叩きつけられ動かなくなった
着地した蓮も意識を失いその場に倒れた
暫くしてサイレント音で蓮は目を覚ました
目を開くと一輝が守った女の子に膝枕をされていた
驚いた蓮は飛び起きたが、男と戦った時のケガで体中に痛みが走った
「いっ!」
「安静にしてなさい、もう時期救急車も来るから来たら病院で診て貰いなさい」
同い年ぐらいに見える女の子は冷静に話していた
「これを付けて今日は寝て」
首にネックレスを付けられた蓮は何を言ってるのか理解出来なかった
「なっ!何してんだよ!」
恥ずかしくなり女の子を後に押してしまった
「あっごめん」
女の子を押してしまった蓮は申し訳無さそうに謝った
「私こそ急にごめんなさい、私の名前は東条カレン、貴方のあの力の事を知ってたからごめんなさい」
力の事?蓮は男と戦った時の力が自分の力以上に漲って来た事だと直ぐに理解した
「あれは何なんだ!あの男も関係あるのか?」
蓮は女の子を鋭い眼光で睨んだ、女の子は下を向き口を開いた
「あれは」
女の子が言い掛けた時に救急隊員が駆け寄って来た
「大丈夫か?意識はハッキリしてそうだな、とりあえず病院に搬送するから!歩けるかい?」
「すいません、自分の力で歩くのは難しいです
それよりも友達の方を見て貰って良いですか!」
一輝を心配した蓮だが一輝は既に意識は戻っており警察に事情を話していた
「彼は大丈夫よ!貴方より先に起きて到着した警察官に説明してくれたわ」
「そうか」
一輝が無事で安心したのか蓮は手で目を覆い人目を憚らず静かに涙を流した
「アイツ学校だといつも俺の事ばっかり心配して勉強教えてくれてさ、なのに俺はアイツを友達のアイツを守れなかった」
友達を傷付けられた悔しさと、自分の勝手な正義感のせいでケガをさせたのが悲しく悔しかった蓮は涙を堪える事が出来なかった
「大切な友達なのね?でも大丈夫よ?友達も貴方の事を心配していたもの、私にコイツを少し寝かしておいて欲しいっ言って来た優しい友達じゃない」
大切な友達も守れなかった不甲斐なさから、涙が溢れ出てきた
「あなたが友達を守りたいなら、そのネックレスは付けて寝るの!」
理由を聞こうとした時、救急隊員がタンカーを持って来て蓮は寝かされた
「絶対に付けて!」
救急車に乗せられた蓮は天井を見ていた
「あれは何だったんだ?空中に飛べるなんて俺はどうしたんだろ?それにこのネックレスは?」
「蓮大丈夫か?」
救急車に駆け込んで来たのは一輝だった
「お前があの男を倒したって聞いた時は驚いたけど、お前ならやるな!って思ったけどな」
一輝はどこか興奮気味になっていた
疲れて眠くなっていた蓮に話かけ続けていたら救急隊員に怒られてしまった
病院に着いた2人は検査を受け
一輝は手足に打撲と腕の骨折
蓮は両手両足の骨折に全身打撲をしていたが驚異的スピードで回復していた
医者には互いに1週間の入院が命じられた
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