【書籍化!】優等生のウラのカオ 〜実は裏アカ女子だった隣の席の美少女と放課後二人きり〜【web版】
海月くらげ@書籍色々発売中!
第一章
第1話 優等生は裏垢女子
「あ、今見えてるでしょ」
「……見えてない」
「嘘。見えるようにしてるし。隠さなくていいよ。それより……どう? 女の子のパンチラを見た感想は」
「エロ過ぎて今すぐやめたい」
「正直でよろしい。じゃあ、早く撮らないとね」
悪戯っぽく笑っているのは、確認するまでもなく口調でわかった。
自分の心が読まれているようで悔しく、同時に目を離せずにいるのを「仕方ない」と肯定されていて恥ずかしかった。
黒いタイツ、
上履きを脱いでいることで露わになっているつま先。
そして――机にぴたりと密着して僅かに押しつぶされたようになっている太もも。
その奥、黒いレイヤー越しに見え隠れする水色の布地。
思わず視線が釘付けになってしまうくらいには煽情的で、どうしようもなく性欲を刺激する光景に、身体の温度が少しずつ上がってくる感覚があった。
俺だって男だからさ、そりゃあ見えたら見ちゃうよ。
ましてそれが間宮ユウ――普段は優等生で隙のない、可愛いと称して差し支えない女の子のパンチラなら、特に。
放課後の教室で始まった、ちょっとエッチな写真撮影。
どうしてこんなことになってしまったのかと頭の片隅で考えながら、俺は昨日の放課後の出来事を思い返す。
■
俺――
羽織っただけのブレザー。
ブラウスの第二ボタンまで外して大きく胸元を露出させながら、スマホの画面に視線を寄せている。
角度を気にしているのか、スマホを持つ手を頻繁に動かしていた。
俺は当然、同じクラスの彼女のことを知っている。
成績優秀で、物静かな隣の席の優等生――
整った顔立ちで、クラスの男子に可愛いか可愛くないかで聞けば「可愛い」と返ってくるような、髪の長い女の子。
けれど、間宮は色恋に全く興味がなさそうな雰囲気をいつも漂わせている。
誰にでも丁寧に対応するし、頼まれごとをしても嫌な顔一つとしてしない、模範的な学生の間宮がどうしてこんなことを……?
思いもよらない光景に驚き、つい立ち止まりながら考えこんでしまっていると、写真を撮っていたはずの彼女と目が合う。
あ、バレた。
そう思ったときには遅く、彼女は俺の方を見て――ぞわりと背に走った震え。
逃げようにも、どうしてか足が動かない。
「……どうして藍坂くんがここに?」
「ああいや、その、忘れ物を取りに来て」
「そっか……」
薄く笑みを浮かべながら、間宮が近づいてくる。
外したブラウスのボタンを直していないせいで、普段は隠されている谷間と……白いレースのブラが見えてしまっていた。
……意外とあるんだな、なんて考えてしまって、慌てて吸い寄せられていた視線と意識を逸らす。
しかし、間宮は俺の視線に気づいていたのだろう。
口元に手を当てて、くすりと笑う。
「別に見ても怒らないよ? 男の子だもん。しょうがないよ」
「……じゃあ隠してくれ。目に毒だから」
「それはできない相談かなあ。途中で中断させられちゃったし」
「何してたんだ?」
「見たらわからない? 自撮りだけど」
当然のように言うものの、納得できるはずもない。
普段は丁寧な口調だが、今は話しやすく気安いものだ。
それはそうと……どんな理由があったら教室で制服を脱いで自撮りをするのか。
まさか学業優秀な優等生が露出狂……なんて話でもないだろうし。
「えっとね、理由はちゃんとあるんだよ? でも、それを話す前に――」
間宮の手が俺の右手首を掴んだ。
そして、
「――これでもう、私に逆らえないね」
優しい笑顔のまま、自分の胸に重ねたのだ。
手のひら全体に感じる、薄いブラウス越しの柔らかな感触。
間宮のほんのりと温かい体温。
何をされているのかわからなくて、頭が真っ白になった。
途切れた思考を引き戻したのは、カシャというシャッター音。
「うん、よく撮れてる。ほら、藍坂くんの顔も入ってるよ? 表情硬いなあ」
どう? と見せられたスマホの画面には、俺の顔と俺の手が間宮の胸を触っている様子がしっかりと収められていた。
言い訳なんてできそうにない、状況証拠としてはこれ以上ない写真。
身体から何かが抜けていくような感覚に襲われ、言葉が何一つ出てこない。
「……あれ、もしかして脅かしすぎた? ごめんごめん、そんなに怖がらなくてもいいよ。藍坂くんが秘密にしていたら、私も秘密にしてるから」
理不尽だ。
俺はただ忘れ物を取りに来ただけなのに……どうして脅されているのか。
しかも俺が圧倒的に不利な証拠まで握られて、逆らえない。
目の前の女の子が、俺が知っている間宮ユウという存在とは違うのではという疑問が湧いてくる。
「俺、何も悪いことしてないと思うんだけど」
「女の子のおっぱいを触るのは悪いことじゃないの?」
「お前が触らせたんだろ!?」
「あー声大きいよ。そんなに騒いだら誰か来ちゃうよ?」
「っ」
廊下を確認、足音は一つも聞こえてこない。
心から安堵の息を吐いて――いやそうじゃないだろと間宮に向き直る。
「そろそろ手、離してくれよ」
「あれ、触りたくないの?」
「………………」
「あ、凄い葛藤」
「うるせえ。男子高校生の理性なめんな」
「我慢してるんだ。えらいえらい」
そりゃあ思春期真っ盛りの男子高校生、それも非モテの非リアとなれば、こんな機会はそうそうない。
できるだけ堪能したい……と思わないでもないけど、この状況でそんなことを考えられるのは余程神経が図太いやつだけだと思う。
間宮が手首を解放したので手を引き戻し、二歩後ろに下がっておく。
「警戒しても無駄じゃない? だって、もう写真撮っちゃったし」
「……そうだったよ畜生」
「そういうことだからさ、ちょっとお話しようよ。私がどうしてこんなことしたのか……知りたいでしょ?」
手近な席に座った間宮。
対面に、渋々別の席から椅子だけを借りて座る。
その間に間宮は外していたブラウスのボタンを直して、羽織っていたブレザーにも袖を通していた。
制服に一つたりとも乱れのない、いつもの優等生然とした間宮がそこにいる。
そこでようやく、記憶にあった姿かたちと雰囲気が重なった。
「……ほんとに同一人物なんだな」
「疑ってたの?」
「どっちかと言えば別人であって欲しかった。夢だとなお良かった。口調も雰囲気も違うし」
「残念ながら現実だよ。口調も雰囲気も、いつもは変えてるから。というか、私のおっぱい触っておいて夢の方が良かったなんてよく言えるね」
「……それはそれだ。で、なんだよ。あんな格好で写真撮ってた理由は」
心からの疑問を伝えると、間宮はスマホの画面を俺に見せた。
そこには、下着すら見えている写真がアイコンとして登録されたSNSのアカウントが表示されている。
顔は写っていないものの、それが意味する名称は一応存在として知っていた。
含みのある……決して明るいとは呼べない、影を感じる笑顔を浮かべて、
「私、俗に言う裏垢女子ってやつなの」
クラスの優等生、間宮ユウは自分の秘密を告白した。
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