第9話 借金 5080万8305ゴル
ミオスドニツ王国首都を出発したニクラス。
隣町へは徒歩で3日ほどかかる。
王宮で生活していたことろ一度行ったことがあるのだが、その時に聞いた覚えがある。
もっとも、11歳のニクラスの足では、それ以上の日数がかかるだろう。
しかしニクラスは辿り着ける自信があった。
マジックバッグにはまだ数日分の食料があり、強力な装備もある。
それに、モンスターに襲われるとしたら【予知者】の能力で予知できているはず。
そう考えていたのだ。
しかし…。
「ゴケッ。」
ニクラスの前にモンスターが現れた。
(くそ!
【予知者】の能力は襲われるのを察知することじゃないのか!?)
ニクラスは “旋風刃” と “風障の盾” を構える。
相手は<イワトリ>。
トサカが岩みたいにゴツゴツした…、ニワトリだ。
最弱と言われるモンスターだが、成人した人間と同じくらいの強さはある。
その半分のステータスしかないニクラスにとっては脅威だ。
(落ち着け…。
この装備なら余裕で倒せるはず…。)
ニクラスは “旋風刃” をイワトリへ向け、魔力を込める。
(”旋風刃” は風の刃を飛ばす特殊効果がある!
近づかれたら危険だから、これで倒したい。)
フッ
“旋風刃”の先から息を吹きかけたようなそよ風が発生した。
「え?」
「ゴケーーッ!!」
ニクラスに向かってくるイワトリ。
全くダメージを負っていない。
(そうか、魔法攻撃の威力は魔力の1/3。
今の僕の魔力じゃだめか!)
急いで迎撃の体勢を整える。
手に汗が滲む。
王宮でのレベリングではトドメを刺すだけで、命をかけて戦ったことはない。
剣術も習ったことがないため、見様見真似だ。
「やっ!」
“旋風刃” をイワトリへ向けて振り下ろす。
しかし、腰が引けている上、恐怖で間合いが全然掴めていない。
イワトリの目の前で空を切り、地面に刺さる。
イワトリは飛んできて岩のように固いトサカで頭突きを繰り出した。
「わっ!」
咄嗟に ”風障の盾” で防ぐニクラス。
「…ん?」
当たったことがわからないくらい、少ない衝撃だった。
(さすがBランクの盾。
でも、やっぱり風の防護壁はまともに機能しないか。)
”風障の盾” は使用者の周りに風の防護壁を発生させることができる。
ダメージ軽減だけでなく、攻撃した相手にダメージを与えることもできるのだが、やはり魔力依存のため今のニクラスでは機能しない。
ただ、純粋な防御力もイワトリの攻撃力に比べて圧倒的に高いため、ダメージは全くない。
ダメージどころか、衝撃も和らげてくれるらしい。
格下とみて思いっきり突っ込んできたイワトリは軽く脳震盪を起こしている。
「今だ!」
再び “旋風刃” を振り下ろす。
スパッ…
固いとさかごと、あっさりイワトリを両断した。
「うおっ!
すごい切れ味…!」
(この剣と盾があれば…、なんとかやっていけるかも。
冒険者さん、ありがとうございます…。)
その後進んでいくと、イワトリが2匹まとめて出てきたが、さっきと同じで頭突きしてきたところを盾で防御し、フラついたところを問題なく倒すことができた。
「スライムか。」
次に遭遇したのは<スライム>2匹。
(スライムは脳震盪起こさないだろうな…。)
イワトリと同じ戦法は使えない。
だが、イワトリを倒し、ニクラスのモンスターへの怯えはかなり少なくなっていた。
間合いも掴めてきた。
1匹目のスライムが体当たりしてきたところへ、”旋風刃”を合わせる。
”旋風刃” は非常に軽い剣なので、ニクラスでも片手で扱えている。
スライムはあっさりと真っ二つになる。
続くスライムは戸惑っているところを走り寄って倒した。
倒したイワトリやスライムはマジックバッグに収納した。
倒したモンスターは素材として買い取ってもらうことができるのだ。
Gランクのモンスターなので微々たるものではあるが、薬草採集をするより実入りがいい。
さらに街道を進むと、ツノの生えたウサギ、<ホーンラビット>が2匹現れた。
素早い動きとツノでの攻撃が脅威のモンスターだ。
イワトリやスライムならいい武器を持った【ノービス】でも倒すことができるが、ホーンラビットくらいになってくると難しい。
その素早い動きについていけなくなるのだ。
なおかつ、その攻撃力はあたりどころが悪ければ即死してしまうほどの威力。
ニクラスはというと、”旋風刃” と ”風障の盾” に素早さ補正の特殊効果があり、全く問題なく倒すことができた。
『レベルが上がりました。』
************
名前:ニクラス
Lv:1→2
HP:50→100
MP:5→10
体力:5→10
力:5→10
素早さ:5→10(+80)
器用さ:5→10
魔力:5→10
************
「え!?
レベルが上がった!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます