満腹


 もっと、もっと食べたいの

 大蒜の香りで酔わせてよ

 鳴らせフォークとスプーン

 皿のうえ何にも無くなるまで

 イヤなこと全部忘れられる


 まるで魔法の薬みたく

 私のココロ奪うディナー

 魅了の味わい無上だわ

 赤、白、緑のオードブル


 もっと、もっと食べたいの

 胡椒の刺激が足りないわ

 焦がせスープとジャガイモ

 お腹ごとぷちんと破れるまで

 なにもかも全部忘れられる


 まるで悪魔の唾液みたく

 私のアタマ溶かすディナー

 記憶にしまった慕情さえ

 朝、昼、晩まで出てくるから


 もっと、もっと食べたいの

 パプリカぶちまけてたまンない

 汚せワインと肉汁

 くしゃくしゃにナプキン畳むまで

 君のこと全部忘れられる


 あの蜜月の思い出も

 この冷めきった苦しみも

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