第8話 私には何も無かった

酷く落ち着かない心の行き場がない。


ある時には全能感


違う時には無能感


才能なんてなかった


できることなんて何も無かった


私には何も無かった


そんなこと、とうの昔から知っていた


全能感が間違ってたなこと


自分が無能なこと


ただ人より劣ってて優れてることなんてないこと


そんな事、誰よりもわかってた


認めたくなかった


何も無かったら、私がここにいられる理由なんてない


権利なんてない


認めて欲しかった


でも、誰も認めてなんてくれない


所詮、私は縋り付くしか能が無い


役立たずの道化でしか無かった


ならば一生躍らせて欲しかった


なぜ、気付いてしまったんだろう


どうして


もう、戻れない


何も


最初から何も無かった



ただ、ただ、それだけの話

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