第16話 人員募集
教会司祭ハーデンとの問答のあと。
セリムは1階にて食事をとっていた。
「その、ここ座ってもいいかな?」
「ん?」
野菜やスープ、木のジョッキを持った男女が立っていた。
以前帰らずの森で助けたラッツとメルだ。
「別に俺の席でもねぇんだ。好きに座れよ」
安心したようにセリムの対面に腰を下ろす2人。
今日に限って冒険者の数は少ない。兵士が居るからだ。
それなのに何故一緒に座るのか。
セリムの疑問は直ぐに解決した。
「そのさ、この前はありがとな」
「私からもありがとうございました。森でも助けて頂いたそうで。早くお礼を言わないとと思ってたんですけど… 中々会えなくて」
2人は冒険者になって間もない。
教育係としてついたのがオード達、剛力丸だった。
日々無茶な要求。セクハラ。暴力。
セリムに助けられたあの日も無茶な要求を飲まされ金を稼ぎに行ってた。
セリムやメルクが駆けつけていなければ死んでいた。
「オードとかいう奴にも言ったが結果的に助けただけだ。お前らを助けようと思ってやったわけじゃない。だから礼とか要らねぇよ」
「それでも俺たちは助けられた。2度もだ」
この2人にはセリムの行いが美化されて映っているようだ。
セリムはゴブリンを倒したのは経験値のため。
オードと対立したのは自身を否定されたから。決して2人のためではない。
「あのままオードさん達の元にいたら私達いつか死んでたと思います。だからあなたがなんて言おうと私達は救われたんです」
メルの言葉にセリムは興味なさそうに頷いた。
「前々から指導員を変えてもらうようには言ってたんだ。けど中々人が居ないからって言われて…」
「興味ねぇよ。話はそれだけか?」
「え、あ、うん…」
まさかこんな対応を取られるとは思っていなかった。
2人はそんな顔だ。
「えっとその、なんか怒らせるような事言ったかな? そのごめんなさい?」
2人は悪くない。
セリムの口調はいつもこんな感じだ。
ただ今はいつもよりぶっきらぼうではあるかもしれない。
(あのクソが)
教会関係者には嫌悪感しかない。
思い出すだけで吐き気が湧いてくる。
「関係ねぇから心配すんな」
昼食を食べ終えるとそそくさを席を立つセリム。
何か言いたそうな2人を背に食器を返却口に返した。
いつの間にか兵士の数が減っていた。
要件を済ませて詰め所へ戻ったのだろう。
ストレス発散を兼ねた運動をしたい。セリムは依頼ボードを眺める。
――帰らずの森混成魔物部隊掃討作戦人員募集。
数日前に確認された500近くの魔物。
その掃討戦の人員を募集する旨が書かれている。
「参加するのか?」
「かもな」
知らない冒険者の問にぶっきらぼうに答える。
今回の掃討戦はセリムにとって悪い話ではない。
不謹慎だが寧ろ都合がいい。
ここ最近は面倒事に巻き込まれて碌に魂を吸収できていない。
自身で巻いた種を回収しているとも言えるが。
面倒ごとの連続で面倒な連中に目をつけられている。現状は監視などないが監視が付けば自由に動く機会はなくなる。
先程のレイニーたちとのやり取りも完全にセリムが犯人だと思っている節があった。
(これ以上あいつらに振り回されてたまるか)
受付に行き掃討戦参加の旨を伝えた。
掃討戦が開かれるのは2日後の明朝。
魔物も生き物だ。
当然食事も睡眠も必要になる。
奇襲という形で就寝している所を襲う算段になっている。
回復薬や包帯。魔物の討伐部位を運ぶ荷車。そういった者はギルドがある程度用意することになっている。
参加する冒険者はほとんど自分の準備だけすれば良い。
剣は修理したばかり。
薬類はお金が無くて買えない。
出来ることはステータスの確認くらいだ。
丁度オードやその他の魂を吸収して以降確認していない。
森に入って適当なモンスターを狩り確認する。
名前:セリム=ヴェルグ
種族:人族
年齢:11歳(見た目15歳)
冒険者ランク:F
1次職:異端者
レベル:43
体力:3800
魔力:3200
筋力:3600
敏捷:3200
耐性:2700
体力強化 LV8
魔力強化 LV5
筋力強化 LV7
敏捷強化 LV8
耐性強化 LV5
嗅覚上昇 LV3
反射速度強化 LV4
跳躍力上昇 LV4
命中率上昇 LV5
知覚範囲上昇 LV4
見切り LV4
剣技 LV8
拳技 LV4
短剣技 LV4
鑑定 LV3
硬化 LV4
夜目 LV3
彩色 LV4
咆哮 LV3
罠師 LV2
火魔法 LV2
水魔法 LV3
風魔法 LV3
土魔法 LV2
雷魔法 LV3
光魔法 LV1
闇魔法 LVを1
魔力操作 LV4
範囲拡張 LV1
気配遮断 LV3
気配感知 LV3
気配
遅延発動 LV2
二重発動 LV2
職業専用スキル
――異端職
――戦士職
――盗賊職(暗殺系統)
数日前に比べ劇的なステータスの上昇。
スキルの数も増えている。
冒険者の魂を喰らったことが大きい。
特に専用スキルは冒険者特有のもの。オーダーメイドのように換えは効かない。似たようなスキルはあってもまったく同じ効果を発揮することはない。
専用スキルを集めることが今後目的に近づく一歩になる。
「出来るなら高位の冒険者がいいが…」
現状のステータスは精々がCランク程度。
一気に強くなるにはBないしAランクの魂がほしい所。
「今の状態じゃ勝つのは無理だな」
地道に上げるしかない。
掃討戦に期待をすることにした。
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