三人の統合失調症当事者

野口マッハ剛(ごう)

テーマは、カッとなった時

 嬉しいことがあると、人は気分がワクワクしてフワフワとなる。他のことは考えられないような。とにかく楽しい時間だ。

 ユウトは今日誕生日を迎えた。二十歳の誕生日だ。ユウトは統合失調症当事者である。毎日が生きづらさの連続だ。けれども、今日は誕生日。何か特別な感じがしているユウト。

 同い年の友人に、ユウトは自分が誕生日であることを話した。すると、ふーん、あっそ、と友人から言われるユウト。カッとなったユウトは、思ってもいないことを勢いで友人に言った。ユウトと友人は口喧嘩。せっかくの誕生日、ユウトは何だか気分が沈み込んだのだ。ユウトは友人の言葉に傷付いた。けれども、二十歳であるのだ。それに、ユウトとしては友人からお祝いの言葉が欲しかっただけ。それ以上は何もいらなかったユウト。

 しばらくして、ユウトは友人とまた仲直りはした。


 しつこい、幻聴がしつこい。どこに居ても脳に直接話しかけては悪口を言う存在が幻聴。タケオはお薬を飲んでいる。幻聴の再発症を抑えるために。けれども、幻聴がしつこい。タケオは友人に助けを求めた。

 そんなの、気にするなよ? 気のせいだ。と雑にアドバイスされて、タケオはカッとなった。友人と口喧嘩のタケオ。タケオの思っていたような言葉とは違ったから。けれども、タケオは幻聴で心の余裕がなくなっていた。思ってもいないことを勢いで友人に言ったタケオはあとで後悔をする。タケオとしては、友人から同情のような言葉が欲しかった。それなのに、雑にアドバイスされて、ついカッとなったタケオ。

 タケオは友人と徐々に仲直りをした。


 トモヒサは統合失調症当事者で妄想が激しい。友人に片思いをしている。そして、自分に好意を寄せていると思い込むトモヒサは友人に告白をする。結果は、やっぱりトモヒサの妄想でもあった。フラれたトモヒサはカッとなって友人と口喧嘩に。結局は友人がトモヒサを言い負かした。けれども、トモヒサと友人には微妙な空気が流れる。トモヒサは統合失調症当事者ではあるが、その友人のことは本当に好きなのである。仲直りまでは、半年間の時間が。

 今では、トモヒサと友人は、よい元通りの関係に戻った。


 大事なことは、障害の有無にかかわらずにコミュニケーションは難しい。けれども、話したら、きっとわかり合えるはず。

(他にも、いろんなコミュニケーションでのトラブルがあると思います。話し合いは大事なことですね)

 統合失調症当事者、妄想や幻覚や幻聴等の症状があります。ここに書いてある小説が全てではありません。

 いろんな人に、正しく関心を持ってもらえたらなって思いました。障害の有無にかかわらずにコミュニケーションが出来ればなと思いました。

 読んでくださって、ありがとうございます。

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