第9話 風景色
「風景色」
風が吹いている
寒いというよりは冷たい風だ
悲しい過去を思い出すような
凍えた風だ
雲が包んでいる
灰色というよりも暗色の雲だ
寂しい町にふさわしいような
暗色の雲だ
それでも生きてきたのは
そうするしかなかったからだ
それでもしがみついているのは
それしかできなかったからだ
風が吹いている
木枯らしというよりは絶望の風だ
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