第4話 最終列車

「最終列車」


最終の鈍行列車で

僕はやっとの思いで

ふるさとにたどり着いた

僕が捨ててしまったふるさとだ


行くあてもないので

僕は仕方なく

生まれ育った家に向かって歩き始めた

父と母はもうとっくに眠ってしまっただろう


凍えるような

真冬の夜だった



最終列車を降りて

どこにも行くところがない僕は

深夜の道を

とぼとぼとと

とぼとぼとと歩いた

寒い寒い夜だった


黒い川を渡りながら

どこにも居場所のない僕は

漆黒の川を

のそのそと

のそのそと渡りきった

みじめなみじめな夜だった


ポケットの中で

最後の千円札を握りしめていた

それだけが最後の糧だった

今までのことを思い出した

凍った涙が溢れ出した

星が瞬いていた

灯り一つない空だった


どこにも行くあてがなかった

僕は必要とされていない人間になってしまったんだ

これまでの報いなんだ

自分でも十分にわかっていた


もうどうしようもない

もうどうしようもない

何度も繰り返すだけだった

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