怖いの種類

でずな

 髪食い帽子





 俺は先日ネットオークションで運命の出会いをした。

 相手は帽子。

 どこにでもありそうな帽子だが何故か惹かれ買った。


 先程届いたダンボールを開け必要以上に個装された帽子を手に取り鏡の前で被った。

 やっぱり良い買い物をした。


―――


 あの帽子をかぶり始めてから一ヶ月が経った。

 今日も鏡の前で自分を見ようとしたら異変に気づいた。

 頭のてっぺんから光を反射してたのだ。

 気にになりスマホで写真を取ったが、間違いない俺はハゲている。

 でも一ヶ月でこんなにハゲるものなのか?


―――


 ハゲが確認され始めて1週間経った。

 今日も恐る恐る鏡を見たら髪の毛がなくなっていた。

 そうツルツルになっていたのだ。

 おかしい。

 毛が抜けるのはわかるのだが抜け毛が無い。

 帽子に抜け毛があるのかと覗いてみたら


「くちゃくちゃ」


 俺の髪の毛を食べていた。

 すぐさまネットで〘帽子 髪の毛 食べる〙と検索したが記事はなかった。

 怖いのでお祓い師をネット予約した。


>>>


 予約の日が来てお祓い師の所にきた。


「すいませーん」

「はーい」


 すぐ返事があり扉を開けてきた。


「あなたがご予約の佐藤さんですか?」

「はい」

「ではこちらへ」


 殺風景な部屋に案内された。


「こちらに払うものを置いて少々お待ち下さい」


 5分程経った時全身黒ずくめの怪しい人が来た。

 帽子の前に立ち


「ではお祓いを始めます」

「よろしくおねがいします」


 ポケットから紙を取りだした。

 そして


「たぃちょんぶんちょぼんちんじゃん」

「は?」


 思わず声を出してしまった。

 だがそんな俺に構わずお祓いは続く


「ハゲここにあり。ハゲここにあり。ハゲここにあり。ハゲここにあり。ハゲここにあり。ハゲここにあり。ハゲここにあり。ハゲここにありり。ハゲここにあり。ハゲここにあり。ハゲここにあり。」


 ジジィ……。


「ハゲ………大丈夫だ!なんか成功してそう!」



 さっきから何言ってんだよ

 この調子で小一時間続いた


 

 






 













  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

怖いの種類 でずな @Dezuna

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ