第214話 レベルアップ完了?のわんちゃん
「一目でやられたぜ・・・激マブだ・・・」
マサシの眼差しには、そのまま見ていたら燃え出すのではないかと思う程の熱量があったので、これがガチで本気だという事が伺えた。
そんなガチのマジ告白だ、真剣に返さなければ女が廃るというものだろう。
「マサシ・・・」
「おう・・・」
「・・・良く思い出せ。俺は男だ!」
だがしかしだ、俺は男なので、真剣に現実を突きつけてやった。
「・・・ぁ?・・・あ、ああぁっ!そうじゃねぇか!」
するとマサシは一瞬呆けたようにポカンとなったのだが、何かを思い出す様な感じで視線を上へとやり、その後俺が男という現実を思い出したのか思いっきり叫んだ。
しかし直ぐには諦めきれなかったのだろう、マサシは何かを考えたと思ったらハッとなり、再び俺に問いかけてきた。
「実は男勝りなだけで女とか・・・そんなことねぇか?」
「ねぇわ。ガチのガチで前世は男、今世は雄だわ。証拠見せてやろうか?」
「おお・・・見せて見れるんなら見せてくれや・・・」
「解った。じゃあ『シェイプシフト』といて俺の一狼ジュニアを・・・って見せんわっ!」
適当に話していたら俺のジュニアを見せる事になってしまったが、何が悲しくてDQN馬人間に息子を見せなくてはならんのかと思い直し、俺はノリツッコミを入れてそれを拒否した。
だがそんな事でも解ってくれたのだろう、マサシは『神は死んだ・・・』と言いつつ項垂れた。・・・『解ってくれた』というより『解らされた』か。
「まぁあれだマサシ・・・俺はこのスキルを使って変身、そして出来上がった2本の手を自由自在に使って作業をするわけだ。けどいくら変身先の体を自由自在に使えるからと言っても中身は俺のままなので、心まで女になるとかは無いんだ。すまんな」
「・・・おう」
だがこれだけだと再び復活してくるかもしれないので、俺は更にトドメを刺してみた。頭の中で誰かが『もうやめて!マサシのHPはすでに0よ!』とか言っていたが、オーバーキルも時には必要なのである。
・・・とまぁ、マサシを虐めるのもこの辺にしておこう。
俺は変身を解き、マサシの肩をポンポンと叩く。
「ま、気合入れて良い感じの将棋盤と駒作ってやるから元気出せよ。それに、また機会があったらエルフ村にでも連れてってやるからさ。ソコにもしかしたら俺が変身したエルフとそっくりの人いるかもしれないしさ、な?」
「・・・おう。・・・あんがとな」
「ああ」
適当な慰めだったが若干でも効果はあったのか、少し持ち直した様だ。・・・尚、エルフ村に連れて行っても攻撃されるだけだと思うが、それは黙っておこう。
しかしだ、若干持ち直したとはいえ、このまま食事会が終わって解散となると微妙なしこりを残してしまうかもしれないので、俺はごぶ蔵の力を借りる事にした。
「まぁこういう時は美味いもんでも食べてパァーっと忘れようぜ、な?」
「・・・おぉ」
「おっし、それじゃぁ・・・ごぶ蔵ぉ~!何か飛び切り美味い奴追加ぁ~!」
「ごぶ!うけたまわりごぶ~!」
その後、ごぶ蔵のスペシャル飯を食べた事により、マサシは最初位のテンションにまでなんとか戻った。
そしてその後は和やかな雰囲気のまま食事が終わり『解散!』となる所だったが、折角なのでマサシとチャーリーには泊まっていってもらう事となった。
こうして俺とごぶ助、それにマサシとチャーリーの休日は終わりを迎え・・・
・
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「うっし!今日も元気に狩りを頑張ろうぜ!」
「ごぶ!」
「ぉう!」
「ガァッ!」
翌日からは再び、レベルアップ作業へと戻る事となった。
「んじゃ、『充足』エリアへ出発だ」
・
・
・
こうしてレベルアップ作業を続け1月程経ったある朝、どれくらいまでレベルが上がったのかが気になったので、確かめてみる事にした。
「今日は狩りを始める前にステータスの確認をしようと思うんだが、いいか?」
「ごぶ」
「いいぜ?」
「ガアッ」
一応許可を取ったところで、俺は皆へ『鑑定』を使いステータスを確認する。
名前:一狼
種族:人面犬
年齢:1
レベル:18(12↑)
str:1286(228↑)
vit:1102(216↑)
agi:1400(264↑)
dex:1438(456↑)
int:1672(492↑)
luk:898(144↑)
スキル:雄たけび 咬みつき ひっかき 鑑定 氷魔法 念話 守護の壁 火魔法 集中 調理 統率 教練 黒風 レモンの入れもん 魔導の心得 索敵 隠蔽 シェイプシフト 話術 騎乗(被) 色香 合魔
ユニークスキル:ワンチャン 神つっこみ
称号:元最弱犬 転生者 ダンジョン1階層突破 特殊進化体 群れの長 軟派者・改
名前:ごぶ助
種族:ゴブリンオリジン・覇種
年齢:4
レベル:20(2↑)
str:1639(120↑)
vit:1301(96↑)
agi:1378(96↑)
dex:1234(76↑)
int:923(60↑)
luk:1075(72↑)
スキル:パワーアタック 覇王剣術 アイテムボックス 一点集中 調合 武具同調 チャネリング 察知 精霊術 オーラブレード 騎乗
ユニークスキル:覇王
称号:ダンジョン1階層突破 特殊進化体 世界樹の同調者 迷宮『ポンコ』の守護者 覇王(仮)
名前:マサシ
種族:マケンタウロス
年齢:2
レベル:54(1↑)
str:2065(30↑)
vit:1921(28↑)
agi:1950(29↑)
dex:1833(27↑)
int:296(5↑)
luk:321(6↑)
スキル:パンチ キック 癒し撫で 消化 威嚇 魔剣術
ユニークスキル:魔剣召喚
称号:転生者 ダンジョン1階層突破 愛されご主人 目覚めた男(仮)
因みにだが、チャーリーはマサシとステータス値が同じ、且つスキルや称号も変わっていない為割愛だ。
で、ステータスを改めて見ていくのだが・・・色々突っ込みどころ満載である。
というかだ、いの一番に突っ込みたいのは・・・
「んで、どうやってステータスってのを見るんだ?おぉん?触る必要とかあんだったら、どこ触ってもいいぜぇ?」
「いや・・・触る必要もないし、もう確認できてるから大丈夫だ」
「クハハハハッ!そうかそうか!ぉ?今日もいい毛並みしてんな」
「・・・ああ、サンキュー。でも撫でまわすのはそれ位にしといてくれ」
「クハハッ!すまんすまん!」
このマサシの行動に突っ込みを入れたい(切実)。
この男、最近仲が良くなったからなのか、何故か距離が近いのである。
(まさかとは思うが・・・)
俺はステータスの詳細を見るにあたって、先ずはマサシのを確認する事にした。これは一番変化が少ないのと、
『称号:目覚めた男(仮)
・色々な意味で目覚めた男(仮)。』
(うむ・・・う・・・むぅ・・・?)
確認をしてみたが、何に目覚めたとも書いていない且つ(仮)となっているので、俺はこれを見ていないことにした。深淵を覗くと深淵も覗き返してくるというし、深く知ってはいけない事もあるのだ、うん。
という事でだ、俺はマサシの事はさらっと流し、次を確認する事にした。
(ごぶ助は・・・ステータスの上り幅がやばいな!後はスキルが地味に増えているな)
次にごぶ助のステータスを確認する事にしたのだが、ごぶ助は何といってもステータス値の上り幅が物凄かった。ざっと計算してみても、確実に俺以上は上がっている計算だ。
これは恐らくだが、称号が関係しているのだろう。
『称号:覇王(仮)
・覇王種の覚醒した証(仮)。ステータス値、スキル習得等に補正がかかる。』
(仮)となっているが、恐らく補正は掛かっているのでこのステータス値の上りなのだろう。しかもだ、その補正も仮のモノかも知れないので、(仮)が取れると更に凄くなるかも知れない事が伺われた。
(『騎乗』は・・・まぁそのまんまだな。何かに騎乗時、補正がかかると・・・)
スキルの方も見たのだが、こちらは見たままだった。
だがこのスキルは地味に嬉しいかもしれない。何故なら、このところごぶ助は大体俺に乗って戦っている。つまりだ、ごぶ助の攻撃性能がさらに上がるかも知れないのだ。
(意識していなかったけど、言われてみれば確かに最近動きやすかったような気もするしな。この後意識して以前と比べてみよう)
このスキルは昨日今日取ったモノではないだろうが、ごぶ助と再会したてのころと比べてみると解るかも知れないので、俺は後で効果の程を確認する事に決め、最後に突っ込みどころが満載の俺のステータスを見ていく事にしたのだが・・・俺は泣きたくなった。
(酷い・・・酷すぎるっ!なんだよ『色香』に『軟派者・改』って!俺は何もしていないっ!)
泣きたくなったのは上記に上げたスキルと称号の所為である。
だがしかしだ、泣きたくなったからと言って確認しないのも駄目だろうと思い、俺は確認をしてみたのだが・・・
(うん・・・何もしていない・・・よな?俺の所為じゃないよな?)
よくよく確認し、更に何故こうなったかを思い出してみた所、恐らくだが俺が『シェイプシフト』により変身した姿に男が群がり『軟派者・改』を獲得、そしてその影響でか『色香』を習得したと思われると考えられた。
つまりだ、俺が悪いわけでなく、不可抗力だという事だ!・・・よね?
(・・・よし、これも流そう。えぇ~っと・・・わぁ~、ステータス値が爆上がりだぁ~。すっごいぞぉ~)
『わしゃぁしらんばい!』との精神でその2つはスルー、俺は残りの新スキル『合魔』を確認する。
『スキル:合魔
・魔法を合成する時に補正がかかる。』
(・・・イイネッ!)
俺は思わずボタンを押したくなったがそれも仕方ないだろう。なんせ新スキルの『合魔』は俺が最近よく使っていた水蒸気爆発等の魔法併用技、あれの使用時に補正がかかるというモノだったのだ。
(溜めの時間とか無くなると最高なんだが、どうなんだろうか?)
魔法併用技は使用時に少しの溜めや集中を必要とするため、気楽には使いづらい。だがこのスキルがあればその問題もクリア―出来るかもしれないのだ。
(うっしうっし・・・後は・・・)
少しテンションの上がった俺は、最後にステータス値を確認した。
(・・・おぉ)
ステータス値は物凄い爆上がりをしており、数値だけ見るならごぶ助のステータスと同等位にまで上がっていた。勿論マサシ達よりは下だが、ごぶ助と俺が協力して戦えばあるいは・・・
「ふむふむ・・・」
「ごぶ?」
「ぁ?どうしたよ?」
「ガァ?」
俺は全てを確認し、『もしかしたら』と考える。
その為に目を瞑り、更に何かを呟きながら首を傾げていたのだが・・・それが気になったのだろう、ごぶ助達も首を傾げ始めた。
「・・・ん~・・・」
しかし俺はそれに応えず、思考を続ける。
そんな感じに全員で首を傾げ始めて5分程経った時だ、俺は考えがまとまったので、目を開けて皆へと呼びかけ注目を集めた。
「なぁ皆」
「「「?」」」
そして・・・よくよく考えた末に出た答えを口にした。
「今日この後、グラスランドドライアド討伐に挑戦してみないか?」
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
「面白い」「続きが気になる」「何に目覚めたんですかねぇ?」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。
☆や♡をもらえると 一狼が アーッ!と叫ぶ事になります(意味深。
こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』
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