第180話 群がる鳥とわんちゃん
「今日も元気に鳥の解体頑張るごぶ!」
「いや、解体はおまけというか・・・まぁいいや」
「ごぶ?」
俺達は昨日1日かけて4階層を攻略し、現在は5階層を攻略しようとレモン空間内で集合している最中である。
「おはよーごぶー」
「おはごぶ。ごぶっ!お前鎧の前と後ろが逆ごぶ!」
「あ、本当ごぶ」
未だ集合しきるまで時間がありそうなので、俺は大きく伸びしたりして体をほぐしながら昨日の事を振り返る。
「しかし予想通りと言うかなんと言うか・・・敵がわんさか襲ってくるようになったから、攻略スピードが一気に落ちたよな」
初日は一気に3階層分を走り抜けた訳だが、2日目は1つの階層を進んだ時点でゴブリンとウルフ達が疲れてしまい、それで1日が終わりとなってしまった。一方的にやるばかりではあったが、やはり命のやり取りをすると疲れてしまう様である。
「ごっぶ~ごっぶ~」
約1名は敵を食材としか見ていないサイコシェフなので例外だが。
「恐ろしい奴だぜまったく・・・んん~・・・っと、ストレッチ完了っと」
「ゴブ。一狼様、全員揃った様ですゴブ」
「お、了解」
俺が体をほぐし終わると同時位に長老が声を掛けて来たので、俺は先日に引き続き軽いミーティングを始める。
「集合したみたいなんでミーティングを始めるぞー」
「「「ごぶ」」」
「今日から5階層に入る訳だが、4階層であんな感じだったから今日も忙しいと思う。けど焦らず、なるべく怪我をしない様に頑張ってくれ」
「「「ごぶ!」」」
「戦い方は昨日と同様にするつもりだが、大丈夫か長老?」
「昨日の感じならばイケますゴブ。ですが昨日も2,3度ありました通り、一度に30体くらい来られると厳しいので、その時はエペシュ様、また援護をよろしくお願いしますゴブ」
「うん、任せて」
「うっし、んじゃあ基本はそんな感じで。あ、それと階層主が戦えそうな奴なら一回俺とエペシュ抜きで戦ってみてくれ。やばそうならすかさず割って入るからさ」
「解りましたゴブ。皆の者聞いたゴブ!?儂等だけでもやれるという事を見てもらうゴブ!」
「「「ごぶっ!!」」」
「ナイス気合だ皆!よし、それじゃあそろそろ出発だ!」
ミーティングも終わったところで外へと出ると、昨日と同様に肉眼で見える距離に敵が飛んでいた。
しかし昨日より数は少ないみたいで、俺の目には3匹しか見えなかった。
「遠くて良く見えないけど初めて見る奴かな・・・?どれどれ・・・」
名前:
種族:ホイッスルバード
年齢:-
レベル:3
str:33
vit:25
agi:160
dex:45
int:41
luk:30
スキル:警戒音 大声
ユニークスキル:
称号:
「まだまだ弱いか。・・・ん?でもこいつのスキルって・・・」
ステータスを確認し、4階層の敵とあまり変わらないなと思ったのだが、スキル部分を見て俺は嫌ぁ~な気がしてしまった。
そしてそれはどうも当たっていたようで・・・
「「「ピョロロロロロロロロロ!!!!」」」
ホイッスルバードはその名の通りの甲高い笛の様な音を発した。
「うるさっ!」
「ゴブっ!?これは一体!?」
その音はかなり大きなもので、耳がいい俺やウルフどころかゴブリン達も五月蠅く感じる程の様だった。
そしてそんな音が草原に鳴り響いたとなれば何も起こらない筈もなく・・・
「うおっ!?大量に来たっ!」
四方八方から鳥系魔物が集まって来た。
「「「ピョェェェエエ!」」」
「「「キョェェェエエ!」」」
「「「クゥアアアアア!」」」
4階層に居た羽矢鳥や硬羽鳥、1~3層で見たビッグクロウという名前のカラスに似た魔物達が100匹・・・いやそれ以上に集まって来た。
「ゴブっ!エペシュ様!」
「うんっ!」
だがそんな状況でも長老は冷静だったのか、直ぐにエペシュへと声を掛け、直後に自分は拘束魔法を唱えた。
それにより敵は次々に地面へと落ちていき、あっという間に数を減らしていった。
「おぉ・・・すげぇ・・・」
そして気が付くと空を飛んでいる敵はいなくなり、ラッシュは終わりをつげ・・・
「って、トドメ差さなきゃ駄目じゃん!行くぞ皆!」
あくまで地面へ落としただけなのを思い出し、俺は皆へと声を掛けてトドメを差して回る。
そしてそれが終わると漸く本当に終わりとなった。
「終了っと。・・・中々嫌な敵だなホイッスルバード」
「だね。長老に声を掛けられて速攻仕留めたけど、そうじゃなかったら延々と敵が寄って来ていたかも」
ダンジョンと言えど敵の数に限りはあるので何時かはラッシュが終わるのだろうが、そうでなかったらホイッスルバードがホイッスルバードを呼び延々と・・・なんて事になるところだったので、速攻仕留めたエペシュにはナイスと言わざるを得ない。なので俺はエペシュを褒めておく事にした。
「凄い弓の腕前だったな!弓の神様かと思ったわ!」
「そんな事・・・あるかもしれない!」
「ははは!こやつめ!っとと、急いで動かなきゃまた襲撃されるかも知れないから、さっさと行動するか」
「だね」
今は周囲に居た敵が一掃されているので安心だが、のんびりしているとまた寄って来るかも知れない。なので俺達はサッサとドロップアイテムを拾い移動する事にした。
・
・
・
その後、何度か同じように『ホイッスルバードに遭遇、敵を大量に呼ばれ一掃』という事があって長老がちょっと辛そうになって来た頃、『索敵』に少し強めの反応を捕らえた。
「ん・・・?これって階層主か?」
「ゴブ?見つけましたゴブ?」
「多分。こっちに進んだらそいつがいるな」
100%階層主かは判定できないが、感じた強めの反応の方向へと進路を変更し進んで行く。
すると何やら視界に大きな樹が見えて来た。
「樹?」
「木型の魔物ですゴブ?」
「んー・・・いや、唯の樹だな」
『鑑定』を掛けてみると魔物ではなく設置物と出たので、恐らく根元に次の階層への道があるとか、階層主の住処だとかそんなのだろう。
そんな事を推察し注意しながらその樹へと近づいて行くと、樹の枝に少し大き目の魔物が居るのが見えた。
「うん、ボスの住処っぽいな。どれどれ・・・」
『とにもかくにもステータスチェックだ!』と思いその大き目の魔物へと『鑑定』を掛ける。
名前:
種族:コマンダーバード
年齢:-
レベル:5
str:88
vit:63
agi:203
dex:129
int:73
luk:37
スキル:指揮 鼓舞
ユニークスキル:
称号:階層主
「コマンダーバードね・・・。スキルと名前からして直接戦うタイプじゃなさそうだな・・・っとと、長老!」
「ゴブ?」
自分だけ確認してうんうんと言っているのではなく伝えなきゃと気づいた俺は長老へとコマンダーバードのステータスを教える。
すると長老も直ぐにコマンダーバードがどの様な魔物か気づいたみたいだった。
「ゴブ・・・この階層の傾向からするに、中々に厄介な敵ですゴブ」
「だよなぁ・・・ん~・・・」
長老の言う通りコマンダーバードというボスは、この階の傾向である『数で圧殺する』にマッチしており、恐らく近くにいて乱入してくるであろうホイッスルバードと相性が抜群に良くかなりの相乗効果を生むだろう。
そうなるとだ・・・朝のミーティングでは俺とエペシュは抜きでやってみてくれと言ったが、道中の様子から見るに無理だ。なので少し作戦変更といこう。
「ふむ・・・長老、エペシュ、朝言った作戦は無しにして、さっきまでみたいに戦ってみてくれないか?」
「わかりましたゴブ」
「うん。わかった」
「言った事を変えてしまってすまないな。でも多分近くにホイッスルバードがいるだろうから、さっきまでみたいな戦いになると思うんだ」
「ゴブ」
「うん」
俺が作戦変更を申し出ると2人は直ぐに頷いてくれ、先程までの戦いと同じ戦法で戦う事となった。
すると出来るゴブリンである長老は直ぐに皆へとそれを通達してくれ、直ぐに皆へと情報が行き渡った。
「一狼様、皆への説明終わりましたゴブ」
「ありがとな。んじゃもうちょっと近づいてから攻撃開始と行くか」
「ゴブ」
流石に未だ敵までの距離が遠かった為、俺達は用心しながらコマンダーバードへの距離を詰めていった。
------------------------------------
作者より:読んでいただきありがとうございます。少し短めで申し訳ありません。
「面白い」「続きが気になる」「焼き鳥キボンヌ」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。
☆や♡をもらえると ごぶ蔵が フライドチキンを作ってくれます。
こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます