第16話 文化的ゴブリンと野性度0わんちゃん
俺とごぶ助は10階層のセーフティーエリアにて倒れこんでいた。しかしその顔は二人ともとてもいい笑顔だった。
なぜなら・・・、お肉が手に入ったからだ!
俺たちは強者はびこる10階層で何とか倒せそうな魔物を見つけて倒し、ドロップアイテムとしてお肉をゲットしたのだ!
いやー、今回はユニークスキルがいい仕事をしたわ。その前に使った時の結果は10階層に送られるだったからなぁ。
・・・実はこの10階層に送られたのって良い結果になるのか?悪い結果だとばかり思っていたが、気づかないだけで何かがあるんじゃ・・・。
俺は怖いことを考え込んでしまう。俺が気づかないだけで何かがあるのかと。だがそうして考え込む事も直ぐに中断された。
「ごぶ、おにくたべるごぶ」
「ばう!ばうばう!」
(まてぃ!俺も食べる!)
俺達は肉の魔力に魅かれ、肉を食べる事しか考えられなくなったのだ。
ミートイズゴッド!腹が減っては戦は出来ぬ!
俺は少し考えた所でどうせわからないと考える事を放り出し、ごぶ助と一緒にご飯タイムを始めようとした。しかしごぶ助がこんな事をポツリと言った。
「ごぶ、おにくどうやくごぶ・・・?」
「ばう・・・」
(そういや火がねえ・・・)
そう、ここには火をおこす手段がないのだ!周りにあるのは土の壁と苔と草、それくらいだ。一応木もあると言えばあるのだが、それはごぶ助の持っている木の棒1本だけだ。けど流石にそれだけではどうしようもない。
「ばうわう、ばうばうわう」
(生でいくしかないのか、まぁ一応魔物だし大丈夫だと信じるか)
「ごぶ!?」
このセーフティーエリアはすでに何もないのがわかっているし、外に探しに行ったところであるのは土の壁と魔物のみ。
ならば生で行くしかあるまいよ!と肉に噛り付いてみる。
ここで一つ言いたい。
俺は転生する前は人間だった記憶があり、ユッケや刺身といった生で食えるように加工した物は食べたことはある。だが、生食が可能でない肉を生で食べるというのはなかったし、転生してからも肉はちゃんと焼いたものしか食べてない。
以外だったが、ゴブリンは火を使うし服だって最低限だが着ている。家も一応木で建てられているし、道具も雑だが作れる。本当に最低限だが文化的なのだ。まぁ文字とか芸術とかはないのだが!
そういった訳で、俺は初めて生の肉をそのまま食べた。
感想は・・・、食えなくはないが焼いてある方が美味い。
「ご・・・ごぶごぶ・・・」
「ばうばう・・・ばう・・・」
(しょうがないじゃん・・・たべよ・・・)
文化的ゴブリン?であるごぶ助も、おそらく生の肉を食べたことがないのだろう。お腹が減っているからか、すっごい微妙な顔をしつつも口に運んでいた。
そして咀嚼する毎に微妙な顔が無の表情へと変わっていった。
まぁわかるよ。すっごい野性的な味だものね。噛めば噛むほど血も滴ってきてあれだし・・・。
飼いならされて野性度0の犬と文化的ゴブリン、この二名の初ダンジョン飯は最悪の出発だった。
これは流行らないダンジョン飯ですわ。
・
・
・
「ごぶ・・・」
すっごく盛り上がらないご飯の時間を終えて、ごぶ助はテンションダダ下がりで寝転んでいる。俺も同じくだ。
まぁ現状ご飯を食べた後って特に何もできないからな。ユニークスキルも1日経たなきゃ使えないし。現状ではユニークスキルでワンチャン狙うしかどうしようもないんだよなぁ・・・。
・・・本当にあのウサギが出てきてよかったわ。あ、そういえば。
俺は四つ葉ウサギの事を考えていたが一つ思い出したことがあった。戦利品のクローバーだ。
ごぶ助が回収しようとしたら、1階層のボスを倒した時のドロップ品であるボス討伐証、あれを拾った時と同じ感じになったのだ。
・・・ということは、だ。
名前:
種族:魔シベリアン・ハスキー
年齢:0
レベル:3
str:42
vit:26
agi:54
dex:28
int:26
luk:27
スキル:雄たけび 咬みつき ひっかき 鑑定 氷魔法
ユニークスキル:ワンチャン
称号:元最弱犬 転生者 ダンジョン1階層突破 幸運の四つ葉(1/4)
そういえばレベルは上がらなかったみたいだ、そこそこ強かったはずなんだがな。そして称号の所に何か増えているな。
『称号:幸運の四つ葉(1/4)
・幸運の四つ葉を1つ取得した証。4つ集めるといいことがある。』
あの四つ葉ウサギと同じ称号持ちを4回倒すのか。この称号を見るにレアモンスターっぽいけど、集まりきるのかね?
そんな事をぐでーんとしながら考えていた。敵を倒しに行くこともできないので、色々なことを考えて時間を潰すことにしたのだ。
そういえばスキルって修行とかすれば増えたりするんかな?
咬みつきとひっかきはいつの間にか覚えていたから、その可能性はあるんだよな。ってことは魔法も練習すれば覚えられたり?
俺はちらりとごぶ助の方を見る。相変わらずテンション低くグデーンとしている。
この文化的ゴブリンと俺の食事の為にも火魔法の練習をしてみるのも有りか?どうせやることもないしそうしてみるか。
そうだ、ついでにごぶ助と会話する手段として念話の練習もしてみるか。
俺はごぶ助と会話できると色々な事がスムーズに進むと前々から思っていた。だがしかしどうしたらいい?そんな事を考えていた。
その時に思いついた事は2つあり、1つ目は進化して喋れる種族になる事、2つ目はファンタジーにありがちな念話というスキルを覚える事だ。
どちらも存在する可能性が無いかもしれないので放置していたのだが、今は時間が有り余っているので、念話が存在すると信じて練習してみることにした。
「ばう、ばうばうわう?」
(ごぶ助、お前も暇なら棒の素振りとかどうだ?)
「ごぶ・・・?」
グデーンとしているごぶ助に声をかけて棒での素振りを進めてみる。
やることなくて暇だし、もしかしたらそれでごぶ助にも剣術とか付くかもしれない。なので何とか身振り手振りで棒で素振りをやるように勧める。
これも念話があったらすごく簡単に伝わるのにな、そう思いながらなんとか伝えきった。
「ごぶ、ぼうをふるれんしゅうごぶ」
「ばうばう・・・」
(ようやく伝わった・・・)
やっぱり念話は必須だ!伝えるのにものすごく大変だったぞ!
改めてそう思い火魔法と念話の取得を目指して練習をし始めた。・・・何故か念話の方に重点を置いて練習してしまった俺は悪くないはずだ。
そしてこの後は寝るまでスキルの練習を二人して行い、暇だと思う暇もなく眠りについた。
・
・
・
「ごぶ、おはようごぶ」
「ばうばう、ばうわう?ばうばう」
(おはようごぶ助、とりあえず水飲むか?飲んだら出発しよう)
今日も爽やかなセーフティーエリア内で目覚めて、朝の挨拶を交わす。とりあえず水を魔法で出してごぶ助に勧め、飲んだら出発しようと合図をする。
「ごぶ、おにくとりにいくごぶ?」
「ばう、ばうわう」
(おう、いってみようぜ)
ごぶ助にそう応えてユニークスキルを発動させる。
・・・。
相変わらず発動したかわかりずらいが取りあえず出発。今日もミノタウロスが出ていない方の通路へ進む。
少し進んだところで何かの気配をとらえたので、何時ものごとくごぶ助にその場で待ってもらい、通路の先を確認することにした。
そして俺はそいつの影をとらえて鑑定を発動させた。
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
作者は☆がほしいです!文化的ゴブリンをバズらせるためにもぜひお願いします。
そんなダジャレを打ちつつ・・・ちょこっと修正箇所があったので修正しました。内容は以下になります。
お詫び:11話の主人公のステータスに氷魔法を記載するのを忘れていました。なので11話に出てくるステータスを修正しました。
誤字と台詞の言い回しを修正 2022・1・11
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