第8話 ダンジョンとワンチャン
私は帰ってきたぞダンジョンよ!俺のここから始まる☆異世界最強ライフ☆の序章を飾る礎になるがいい!フゥ~ッハッハッハ!
っと、おふざけはここまでにして気を引き締めて行くか。何が起こるかわからんしな。昨日もそれでボスが出てきて危なかったし。
そんでそれを踏まえて考えた事がある。ユニークスキルの事だ。
昨日までは深く考えずにポンポンと使っていたわけなんだが、少し温存しようかと思う。昨日みたいにピンチになった時にこそ、まさに出番なんじゃないかなと思ったんだよね。
まぁ結果としては、使わなくても昨日は助かったんだけど・・・。俺のユニークスキルって言ってしまえば、1度だけすごく運がよくなる!みたいな物なんだよな。
そうなると、いつ使うのか・・・今でしょっ!
ユニークスキルを温存すると言ったな、あれは嘘だっ!・・・まぁこれからは適度に温存はしようと思うが、温存しすぎて腐らしてもあれだしな。
とりあえず今日は使ってしまおう。今日再度ボスにリベンジかますわけでもないんだから大丈夫だろう。
「わん、わわん!」
(さあ、いこうぜごぶ助!)
ごぶ助に一声かけて歩きだす。さーて、何が起こるかなーっと。
ごぶ助と一緒にダンジョンの奥へと歩いて行く。ボスの部屋へと行かないようにしばらく進んで行くが、スライムも出てくることなく時が経つ。
ん~?何も起こらないな。何でだ。
そんな風にキョロキョロと何かを探しながら歩いていると行き止まりに突き当たった。おかしいな何かが起こってもいいはずなんだが、と辺りを見回していたら、何か壁に違和感を感じた。
「ごぶ?ごぶごぶ?」
どうもごぶ助も違和感を感じたみたいで、壁をペタペタと触っていた。そうしているとごぶ助は、おもむろに壁を叩き出した。
「ごぶごぶ!たたくときのかんしょくがかわっておもしろいごぶ」
そうして叩いていたら壁が崩れ、奥に部屋が現れた。そしてなんと、その部屋の中心には宝箱が置いてあった!
おお!宝箱だ!『ワンチャン』スキルの効果は、この隠し部屋の宝箱か!?一体何が入っているんだろう。
あぁ~^^こころがぴょんぴょんするんじゃ~~^^
「ごぶ?」
(宝箱パカリ)
あぁ~^^なにするんじゃ~~^^
めっちゃ興奮して頭が変になっているうちに、ごぶ助が宝箱を開けよった・・・。一気に素に戻ったわ。まぁ開けたものは仕方がない、中身に期待だ!
気を取り直して、中身は何だったのか確認しに宝箱へ近寄って行った。近寄って行くと、ごぶ助が中身を取り出す。
「ごぶごぶ、きのぼうごぶ」
木の棒だと・・・?宝箱の中身がただの木の棒!?そんな馬鹿な、貴重なユニークスキルの使用回数を使ったのに、手に入ったのが木の棒だなんて・・・。
俺がへこんでいる横で、出てきた木の棒をごぶ助は気に入ったのか握りを確認したり、ぶんぶんと振り回したりしている。
あー、その棒が気に入ったのかごぶ助よ?そうだ、一応鑑定してみるか。
『アイテム:木の棒
・とある木で作られている棒、とても硬い。』
うん、やっぱり木の棒だな。魔法の杖とかいうわけでもないな。っていうかその棒をそんなに気に入ったのかごぶ助。
いいさ、お前にやるよ・・・。だからダンジョン探索の続きと行こうぜ。
手に入れた木の棒、名付けて、『ごぶ助カリバー』をご機嫌で振り回すごぶ助を促し、ダンジョン探索に戻った。
「ご~ぶごぶ、ごっぶごぶー」
『ごぶ助カリバー』を振り回すご機嫌ゴブリンを引き連れてダンジョンの通路を進む。
すると通路の曲がり角から何かが飛び出してきた。すぐに鑑定をかける。
名前:
種族:とつげきウサギ
年齢:-
レベル:1
str:14
vit:12
agi:16
dex:8
int:6
luk:9
スキル:
ユニークスキル:
称号:
角が生えたウサギ?スライム以外もいたのかこの階層。芋虫とスライムよりかは強いが、このウサギくらいなら俺でも倒せそうだな。
俺がウサギの能力を見て倒そうと考えていたら、それより先にごぶ助が『ごぶ助カリバー』を振り回してウサギに襲い掛かっていった。
「ごぶごぶ!ごぶ?」
(キュイーン)
あれは前に見たごぶ助のスキルか?けど自分で意識して出したわけではなさそうだな。なんか不思議そうな顔してるわ。手に入れた棒が気に入りすぎて、はしゃいで無意識にでたのか?本当に気に入りすぎだろ!
まぁあそこまで気に入ってくれたなら、貴重なユニークスキル1回分の価値はあったかな。
そんなごぶ助の様子を見ていたら、発動した『パワーアタック』がウサギにあたる。
(ッパーン!)
うげ!棒で殴られたウサギがはじけ飛んだぞ・・・。硬い棒にスキル、それにごぶ助の興奮具合が合わさって、あんなやりすぎた結果になったのか。
体もバラバラに飛び散ってあれは回収できないな、と思っていたら、なんとウサギの体が溶けていくみたいに消えていった。
そして消えていった辺りに、肉とスライムから出てきた核みたいなのが残されていた。
スライムみたいに溶けていったな、もしかしてダンジョンのモンスターだと死んだらああなるのか?それに核みたいなのが、スライムじゃないのに何だあれ?『鑑定』っと。
『アイテム:魔石
・魔力がこもった魔石。』
魔石、なるほど魔石か。スライムからでたのも、もしかしたら魔石だったか。ふむ、もしかすると俺やごぶ助の体の中にも魔石があるのかもしれないな。
俺がそんな魔物の神秘について考えている一方、ごぶ助はウサギから出てきた肉に喜んで小躍りしていた。
「ごっぶ、ごぶごぶおにくごぶ」
まぁそうだよね、ごぶ助からしたらお肉が出てきたラッキーくらいのもんだよね。魔物のしんぴとかそんなものどうでもいいよねー。
ごぶ助を見ていたら、魔物の神秘とか考えていたことがどうでもよくなって、ダンジョン探索の続きと行こうぜ、そんな風にごぶ助を促す。
ごぶ助はわかったのか、こくりと頷いて落ちていたウサギの肉を拾って背負いかごに入れて歩き出した。
「わん!?わんわん!」
(おいごぶ助!?魔石魔石!)
肉だけ籠に入れて魔石をスルーしたごぶ助に、俺は慌てて魔石を咥えて行って押し付ける。
これも持ってイケー!
「ごぶ?ごぶ・・・」
またこれ持っていくのー?食べ物じゃないんだよー?しょうがないなー。そんな感じでごぶ助が魔石を回収してくれた。
いやだって、魔石だよ?何かの役に立つかもわからないじゃん!ワンチャン何かあるよ!ボススライムから逃げれたのも魔石のおかげだったしさ。なんだよその目は、もうこの子ったらー、みたいな慈しむような眼はやめれ!
そんな感じでプリプリ怒りつつ、ダンジョン探索の続きを進めるとする。チラホラとスライムが現れるが、ごぶ助と一緒に倒しながら進む。
2匹目のウサギが出た時に、ごぶ助がまた棒で襲い掛かろうとしたが、俺も倒したかったのでごぶ助が襲い掛かる前に攻撃を仕掛けた。
「わん!わおーん!」
(くらえ雄たけび!)
とりあえずスキル雄たけびを仕掛けてみた。一瞬だけウサギの体がビクッとなったが、特に効果が見られない。それならと、普通に攻撃を仕掛けてみた。
俺のステータスはウサギよりかは高いが、そこまで離れているわけでもないので、やや慎重に攻撃する。
すると普通に当たったのだが、ウサギが反撃を仕掛けてきた。
「きゅー!」
と頭の角で突撃を仕掛けてきたがかわし、そのまま隙ができたウサギに反撃する。
「わん、わんわん」
(おっと危ない、そして隙ありっと!)
よっし、危なげなく倒せたな。
倒せた事に安堵していると、ウサギの体が消えて肉と魔石が残った。
「ごーぶごぶー、おにくごぶー」
戦利品はしっかりとごぶ助が回収してくれた。今度は魔石も拾ってくれたみたいだ。
そんな風に探索を続け、3匹目のウサギを倒したところで帰路についた。
そしてそのまま家に帰り、一家がそろったところで夕食を食べた。
夕食の時にごぶ助は家族に褒められていた。お肉をとってきてえらいぞー、みたいに。
ごぶ助もうれしそうだったな。
このぶんなら、明日からもダンジョンに行ってくれるかなー、そんな風に眠りについた。
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作者より:お読みいただきありがとうございます。
「面白い」「続きが読みたい」「力加減・・・」等思ったら、☆で高評価や♡で応援してください。
☆や♡がもらえると ごぶ助が、力加減がうまくなりウサギをッパーンしなくなります。
お詫び:2021/11/28 にセリフの言い回しや行の改行修正などを行いました。
2022・1・20 行間微修正
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