第7話 スライムとわんちゃん
ごぶ助の叫び声が聞こえたが何があったんだ!?俺は急いで穴の中へ入っていった。
「わん!わわん!」
(ごぶ助無事か!?何があった!?)
「ごぶ?」
転んだ態勢でいたごぶ助ののんきな顔と目があった。
俺は、ただ転んだだけかーい!と安心したが、それで気が抜けたのか足が何かに引っかかり転んでしまった。
そんな俺を見てごぶ助は、「ごっぶごっぶ」と笑っていた。
「わんわん!」
(なに笑ろとんねん!)
くそう、自分も転んだくせにごぶ助め。
笑うごぶ助を横目に俺は立ち上がり、一体何に躓いたんだ?と振り返る。
するとそこには何かがいた。
「ぷるぷる」
そこにはプルプルと震える何かがいた。
俺はそいつを見て、まさかこいつは!と薄々そいつの正体に気付きつつ鑑定をそいつに発動させる。
名前:
種族:スライム
年齢:-
レベル:1
str:5
vit:23
agi:6
dex:7
int:2
luk:5
スキル:
ユニークスキル:
称号:
やっぱりスライムだ!こいつもファンタジーの魔物で出てくる定番の魔物だよな!
出てくる作品によっては物理無効の強キャラとして出てくるんだが、ステータスを見るにこいつはそうでもなさそうだ。
ぷるぷると震えるそいつに近づき恐る恐る攻撃を仕掛けてみる。スライムも反撃を仕掛けてくるが、芋虫の攻撃方法と同じく体当たり攻撃だったのでそれをよけつつ攻撃を仕掛けて倒した。
「ぷるぷる・・・」
(プシュ~)
スライムは倒されると体が解けるように無くなり、その後には核みたいなものが残った。無事倒せたことに安堵していたらごぶ助が近寄ってきた。
「ごぶ?これたべれるごぶ?」
そう言ってごぶ助はスライムが落とした物、スライム核と呼ぼうか・・・、スライム核に噛り付いた。
「ごぶ・・・、かたくてあじがしないごぶ、たべれないごぶ」
躊躇なくスライム核に噛り付くごぶ助、そこにシビレるあこがれぇ~・・・ないな。
恐れ知らずかごぶ助よ、少しは考えたらどうだ。
「ごぶごぶ、たべれるものはないかごぶ」
そう言ってスライムの核をぽいっと投げ捨て、穴の奥へと歩き出したごぶ助。
俺はスライムの核でも何かの役に立つのでは?とそれを拾ってごぶ助のところへ持っていく。
ごぶ助に、一応持っていろよーとグイグイとスライムの核をごぶ助に押し付けると、ごぶごぶと頷き回収してくれた。
その後も適当に穴を探索するがこの穴、いや洞窟とでも呼ぼうか、天井や壁にヒカリゴケでもついているのかうっすらと明るい。
その薄明りを頼りに偶に出てくるスライムを倒して進む。
それにしてもこの穴どこまで続いているんだ?何回か分かれ道もあって結構な距離を歩いている気がするぞ。
そんな事を考えていたら大きな部屋にたどり着いた。
「ごぶ?なにかでっかいのがいるごぶ」
確かに何か大きい影が見えるな、ここからでも鑑定できるかな。
名前:
種族:ヒュージスライム
年齢:-
レベル:1
str:28
vit:63
agi:30
dex:42
int:18
luk:13
スキル:物理耐性・小 消化
ユニークスキル:
称号:階層主
強い!この洞窟のボスか!?それっぽい称号もついているしな。いや待てよ・・・、階層主?
まさかと思い辺りを見回すと、ボスの後ろに下に続きそうな道が見えた。
俺の脳に考えがよぎる。やたら広い洞窟、階層主、さらに降りていく道。これってまさかダンジョン!?
「ごぶ、こんどのはでかいごぶ」
俺が考えていたらごぶ助がボスに向かって突っ込んで行ってしまった。
ちょっとまてごぶ助!そいつは結構強いんだー!俺は慌てて後を追う!
「ごぶ、ごぶごぶ!」
ごぶ助がパンチやキックを繰り出すがボスには全然聞いた様子が見えない。
だがうっとおしいと思ったか、体の一部を触手みたいに伸ばしてごぶ助に反撃してきた。
その攻撃にごぶ助は当たってしまい吹き飛ばされる。
「ごぶっ!いたいごぶ」
吹き飛ばされたごぶ助は痛いと言いつつもすぐに起き上がった。
ボスの攻撃力自体はそこまで高くなかったみたいで、ひどい怪我を負わずにすんだみたいだ。
しかしまずいな、ボスは防御力が高い上にスキルでさらに硬くなっている。逃げるべきなんだが、今さっきの攻撃でボスがやる気になったみたいだ。逃げきれるか?
どうやって逃げようか考えていると、ボスがごぶ助に向かわずに地面に向かって触手を伸ばし始めた。
ごぶ助が吹き飛ばされた時に落としたスライムの核を拾っている?
とにかくチャンスだ!
「わんわん!」
(逃げるぞごぶ助)
「ごぶ?ごぶごぶ」
俺はごぶ助の元に走り寄り、逃げるように促した。わかってくれたのか、ごぶ助は逃げ出してくれた。
俺たちはボスの部屋を出て、そのまま出口へと向かいダンジョンの外に出た。
「ごぶ、おおきいのつよかったごぶな」
「わん」
外に出た俺たちは家に向かって帰りだした。ダンジョンにもそこそこいたので、そろそろ帰る時間だったのだ。
俺たちは食えるものを探しながら家に帰った。
そして家に帰り着き、家族がそろったところで晩御飯となった。
ごぶ助一家が雑談しながら食事をしている横で、俺も食事をしながらダンジョンについて考えていた。
ダンジョンといえばレベル上げに適しているのではないかと。
色々考えているとご飯の時間も終わり、寝る時間になったので眠りについた。
・
・
・
「ごぶぶ、きょうははやくおきたごぶぶ?」
「ご~ぶ、そうねえおはようご~ぶ」
「わん!」
(おはようパパゴブ、ママゴブ)
俺はいつもより早起きしてパパゴブとママゴブに挨拶して出かけた。昨日寝る前に考えていた事があってその為に早起きしたのだ。俺は村の物置場へと向かった。
村の物置場とは村の共通財産というか、適当にみんなが物を置いてある場所があるのだがそんな場所があるのだ。
俺は物置場につくと背負いかごを一つ咥えて持ち帰る。何故背負いかごを持ち帰ったかというと、ごぶ助と一緒にまたダンジョンに出掛けようと思ったからだ。
昨日までごぶ助は採取した物をそこらの蔓などで適当にまとめて持ち、非常に不安定な持ち方をしていたんだ。
そんな持ち方をしていたものだからダンジョン内でも両手がふさがっていたので、何かあった時にはなるべく素早く対処できるよう手を開ける為に籠があった方がいいと思ったんだ。
背負いかごを家に咥えて帰ったらごぶ助も起きだしてきたので、一緒にご飯を食べて採取に出掛ける準備をする。
「わんわん!」
(ごぶ助、これもってけ!)
「ごぶ?ごぶごぶ」
ごぶ助が家を出る前に俺が持ってきた背負いかごをごぶ助へ押し付ける。ごぶ助は少し考えた後頷いて籠を背負った。
「いってらっしゃいごぶー」
「ごぶ、いってくるごぶ」
今日も弟に見送られて森へ採取にでかけた。
俺は今日もダンジョンに行ってレベル上げをしてみたかった為、ごぶ助をそれとなーくダンジョンの方に誘導しながら採取をしていった。
「ごぶ?きのうのあなごぶ?」
「わんわん!」
(まぁまぁごぶ助さん、ずずいっと行きましょうや)
「ごぶごぶ?」
ダンジョンの入口へ到着するとごぶ助が首を傾げていたが、俺が強引にごぶ助を押してダンジョンへ入らせた。
「わわん、わん!」
(俺たちの冒険はこれからだ!)
そんな事を言いながら再度ダンジョンへと入っていった。
-------------------------------------
作者より:お読みいただきありがとうございます。
「面白い」「続きが読みたい」「俺たちの冒険はこれからだっ!」等思ったら、☆で高評価や♡で応援してください。
☆や♡がもらえると 打ち切りが、なくなる確率が増えます。
お詫び:2021/11/28 にセリフの言い回しや行の改行修正などを行いました。
2022・1・20 行間微修正
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます