第5話 ユニークスキルのワンチャン

 気が付いたら俺は家に戻ってきていた。


 あの後、気を失っていた俺をごぶ助が運んでくれたみたいだったが、現在家の中には、そのごぶ助やその家族達もいないみたいだった。


 とりあえず帰ってくるまで、俺は気を失うまでのことについて考えることにした。


「うぅ~、きゅぅ~ん・・・」

(うぅむ・・・なんでなんだぁ?発動していなかったのかなあ)


 まずはユニークスキルについて考える。


 デカ芋虫と戦うときに使ったはずなんだが、発動していなかったのだろうか?光ったり音が鳴ったりしないからいまいちわからないんだよな・・・最初に発動と念じた時は、その後に小さい芋虫が出てきたから、おそらく発動したんだろうと思うんだけど。


 光るで思い出したんだが、気を失う前にみたごぶ助とデカ芋虫の戦い。

 俺が吹き飛ばされて、それを助ける為に割って入ってくれたごぶ助が振り回していた木の棒だが・・・光ってたな!あれは何かのスキルだったのだろうか?

 あの時のごぶ助は主人公的な恰好良さがあったな。イケメン度に思わずハートが、…トゥンクってしたわ。


 最後にレベルアップだが、あんまり強くなった気がしなかったな。まぁ言ってもまだ1回体験したのみ、今後に期待だな。


「ごぶ、おはよごぶ」


 そんな風に色々考えていたらイケメンごぶ助がぽやぽやっとした挨拶と共に家族と返ってきた。


「「「ごぶごぶ」」」


 ・・・うん、ごぶ助イケメン撤回。やっぱフツメン、いやゴブメンだわ。っていうか家族のみんなとあんまり見分けがつかんわ!


 ごぶ助家族は、パパ・ママ・ごぶ助・弟の4人家族+1わんちゃんの俺なんだが、あんまり見分けがつかないのよね。体の大きさと、犬だからこそ分かるわずかな匂いの違いで判別しているのだ。


「ごぶぶ、それではごはんにするごぶぶ」


「「「ごぶごぶ」」」


 と、パパゴブの挨拶と共にご飯の時間が始まる。俺もそれまで考えていた事を、とりあえず明日から考えようと棚上げしてご飯にかぶりついた。


 ・

 ・

 ・



「ごぶごぶ、ごはんごぶ、たべたらさんぽいくごぶ」


 そんなごぶ助のいつもの挨拶と共に一日が始まる。

 俺はもぐもぐとご飯を食べながら、今日から色々検証しなきゃなーと考えていた。


「いってらっしゃいごぶー」


「ごぶ、いってくるごぶ」


 弟ゴブリンに見送られ、今日も散歩に出かける。いつものように、今日もいい天気ごぶーと呟くごぶ助の後に続きながら森へはいった。


 よし、まずはユニークスキルの検証からやってみるか!と意気込み発動を念じる。


 そうすると・・・


 『ガサガサ・・・』


 草むらから小さな芋虫が出てきたので、ごぶ助が気付いて倒そうとする前に倒そうと襲い掛かった。


 せっかく俺でも倒せそうな獲物なのである。取られたらたまらないとごぶ助が気づくより先に、小さな芋虫へと俺は突っ込む。


「きゃおん!」


「キュピュゥ!」


 レベルが上がったおかげなのか、昨日よりは楽に戦えている気がする。


 芋虫の突進?攻撃をかわしながら、ひっかきや咬みつき攻撃を仕掛ける。


「きゃおーん!」

(とどめっ!)


「キュプゥ・・・」


 ふぅ・・・無事倒せたぜ。勝利の余韻を確かめていると体がわずかに熱くなる。


 お、これはレベルが上がったかな?≪ステータスオープン≫



 名前:

 種族:魔チワワ

 年齢:0

 レベル:3(1↑)

 str:2

 vit:1

 agi:3(1↑)

 dex:2(1↑)

 int:1

 luk:3(1↑)

 スキル:

 ユニークスキル:ワンチャン

 称号:最弱犬 転生者



 おー!やっぱりレベルが上がったみたいだ!

 しかし・・・ステータスの上りが微妙だな、いやこんなものなのだろう。


 俺はそう自分に言い聞かす。


「ごぶごぶ、やるごぶな。おめでとごぶ」


「きゃぅ~ん!」


 ごぶ助に褒められ、ついうれしくなって吠えてしまう。


 勘違いしないでよねっ!強くなったのがうれしいだけなんだから!と心の中で謎のツンデレ感をだしてしまう。


 まぁ少しでも強くなったのがうれしくなったのは本当なので、この調子でレベルを上げていくぞーと意気込んで、小さい芋虫デテコイヤッ!と再度ユニークスキル発動を念じる。


 シーン・・・


 ユニークスキルの発動を念じたが何も出てこなかった。少し時間差があるのかな?と思いまってみる。

 しかし中々出てこずにごぶ助が「ごぶごぶ、さんぽつづきいくごぶ」と小さい芋虫を拾って歩き出してしまったので、急いで後を追いかける。


 その後も散歩途中に何度かユニークスキル発動を念じてみたが、特に何も起こらず散歩が終わってしまった。


 散歩が終わり家に帰ると俺はそのまま留守番、ごぶ助はキノコや木の実採取にでかけてしまった。


 時間ができたのでユニークスキルのことについて考えてみたのだが考えても何もわからなかった。

 なので家で発動してみようと念じても何も起こらず、そのうちにごぶ助一家が返ってきてご飯を食べて寝てしまった。


 ・

 ・

 ・


「ごぶごぶ、ごはんごぶ、たべたらさんぽいくごぶ」


 翌朝、いつものルーティーンと化したごぶ助の挨拶と共に起床、そしてご飯を食べて出かける。


「いってらっしゃいごぶー」


「ごぶ、いってくるごぶ」


 弟ゴブリンに見送られて出発し森へ出かけた。その途中で俺は昨日考えていたユニークスキルについて一つ思い当たった事があったので、森へ着いたらたしかめてみることにした。


「きゃん!」

(ユニークスキル発動!)


 『ガサガサ・・・』


 ユニークスキルを発動させると、前日と同じように小さい芋虫が出てきたのでサクッと倒す。

 実際のところサクッとというか、ペシペシポコポコモタモタって感じだが、サクッとなのだ!サクッと華麗に倒したに違いない!


「ごぶごぶ、おめでとごぶ」


「きゃん!」


 ごぶ助は昨日の戦いを見て、俺がこれくらいなら倒せるだろうと思ったのか手を出さずに見守ってくれていた。


 俺は返事とばかりに一鳴きして応えた。


 そして体が熱くなりレベルアップの予感。

 とりあえずステータスチェックは後にして仮説が当たっているか確かめるためユニークスキルを念じる。


 シーン・・・


 ふむ・・・やっぱりこれは・・・と俺は仮説が正しかったのかもと一人頷く。


 その仮説とはクールタイムだ。仕様の制限とでもいうべきか。

 おそらくだが、使用してから1日ほどのクールタイムが必要なのであろう。まぁ確かに無制限に使えたら大分やばいスキルだしな。仕方がないとあきらめて小さな芋虫を回収したごぶ助の後を追いながら考えた。


 その後、数日同じような感じで検証をしてみたが、おそらく当たりだろうと思う。


 とりあえずレベルを上げて強くなりたかったので、毎朝の散歩のときに毎回ユニークスキルを発動させ、そのたびに小さな芋虫を呼び寄せて倒し続けた。倒した後にユニークスキルを発動させようと思っても何も起こらなかった。なのでおそらく当たりであろう。


 ちなみに検証中に小さな芋虫を倒したことでレベルがかなり上がった。



 名前:

 種族:魔チワワ

 年齢:0

 レベル:9(6↑)

 str:5(3↑)

 vit:3(2↑)

 agi:8(5↑)

 dex:4(2↑)

 int:1

 luk:9(6↑)

 スキル:

 ユニークスキル:ワンチャン

 称号:最弱犬 転生者



 こんな感じだ。これはどうなのだろう・・・やっぱり弱い気がする。


 むむむ・・・と頭の中で唸っているとごぶ助からいつもの散歩に誘われ出かける。


 そして森へ到着してここ最近の日課となったスキル発動。

 そして出てきた小さな芋虫をサクッと倒す。いや、今回は本当にサクッと倒せたと思う。これもレベルアップしたからだな。


「ごぶ、おめでとごぶ」


 といつものごぶ助のおめでとコールを聞きながらレベルアップを感じる。ついに10レベルかと喜びステータスを見る。



 名前:

 種族:魔チワワ

 年齢:0

 レベル:10(1↑)≪進化可能≫

 str:6(1↑)

 vit:3

 agi:9(1↑)

 dex:4

 int:1

 luk:10(1↑)

 スキル:

 ユニークスキル:ワンチャン

 称号:最弱犬 転生者



 な!進化!?俺は少しアワアワと動転しながらその項目を確認する。



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 作者より:お読みいただきありがとうございます。

 「面白い」「続きが読みたい」「進化だとっ!?」等思ったら、☆で高評価や♡で応援してください。

 ☆や♡がもらえると 作者が、レボリューション☆します。


 お詫び:2021/11/28 にセリフの言い回しや行の改行修正などを行いました。

     2022・1・20 行間微修正

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