一話完結
上屋列道
第1話 おはようピンポン
ピンポーン
朝食の準備をしているとインターホンが鳴った。
持っていた包丁をまな板の上に置き、手を拭いて玄関に出た。
「おはようございます。警察です。旦那さんはいますね。」
手帳と紙をこちらに見せながら、数人の男が家の中に入ってきた。
何が起こったのか理解が追い付かないうちに、警察を名乗る男たちが次々に家のモノを物色し箱に詰め始めた。
「なんだこれは‼」
インターホンと物音に気づいて起きてきた旦那が怒鳴った。
突然起きたことに唖然としている私に代わって刑事の一人が紙を旦那い見せながら近づいてきた。
「警察です。あなたに逮捕状が出ています。」
「私は何もしていない。今すぐ辞めさせろ‼」
旦那が怒鳴っている間にも男たちはパソコンやコート、携帯、財布などを箱に詰めて封を始めた。
「それでは6時25分逮捕です。」
そう言いながら、男数人が旦那に手錠をして外に連れ出した。その間も旦那は抵抗を続けていたが無駄な抵抗のようだ。
部屋に一人残された私はキッチンに戻りながら押収されたものを確認すると、貴重品ばかりがなくなっていた。本当に警察だったのだろうか。
キッチンに来ると警察が来る前と何も変わっていなかった。
包丁もハンマーものこぎりも調理中の肉もそのままになっている。
旦那がいなくなってしまって、どうやってこの大量の肉を処分すればいいのだろう。
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