第12話 待ち時間の中で

イズはテレパシーを使ってのソフィアとの会話後、ソフィアの魔法によって倒れてしまっているリアムのところに座り込んだ。

彼はなんとか息をしており、後数秒遅かったら死んでいたかもしれない、とイズは思った。



「リアム…」



イズはポツリと呟いた。

その言葉に特に意味はなかった。

ただ『五大魔法』の一つとかいう『標準魔法スタンダードマジック』とかいうご大層な魔法を自分は扱えるというのに、カルラの呪いを解くこともできないし、リアムも結果的に守れていない。

そして、自分も『超回復スーパーヒール』という魔法に打ち勝つこともできなかった。



イズは自分の弱さを呪った。

異世界に来るとき新たな人生、後悔のない人生を送ろうと決心したのに、所詮は人は変わらない。変わることなどそう易々にできないのだ。



だが、変わることができなくとも、変わろうと思い、努力することはできる。



「カルラ待ってて。今から呪いの魔法を解いてもらうために説得するから」



静かに彼女は決心し、この問題の発端である女、ソフィア・カナールの到着を待った。

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