俺のショートショート(?)

bou

終わりの世界にまた新しい世界が始まる


何年か昔のこと、人類は地球と呼ばれるこの星を捨ててあの灰色の空の先へと旅立って行った……。


「いや〜今日はあんたが手伝いに来てくれて本当に助かったよ、俺はもうガタ来ちまってよ、もうろくに畑仕事すらできやしねぇったらもう、本当に困ったものだよ!ガハハハッ」


「そう言ってられるうちはまだまだ大丈夫そうですねぇ」


「ガハハハッ、あんたといいウチのおふくろといい、本当にひどいものだ、ジジイを労れこの野郎!あ、これ今回の礼な。」


そう言って爺さんはボロボロの袋を手渡してきた。それを受け取り、袋の中をのぞいてみるとそこには少し大き目のサツマイモが数本入れられていた。


「いいのかい?こんなにもらってしまって……」


「別に大丈夫だよ、毎度毎度作りすぎちっまって逆に困っていたところだ。焼いたりふかしたり好きなようにして食いな、うまいぜ俺が作った芋は。」


爺さんはニヤリと笑いかけそういった。


「では、遠慮なくいただきますかねぇ」


俺はそう言って爺さんに礼をしてその場を立ち去って行った。


あの場を立ち去ったあと、俺はすみかにしている建物のところへ帰った。建物は二階建て、住居なのかいくつかの部屋があり、そこには昔住人がいた痕跡があった。しかし俺が来たときにはもう誰もいなかったが……。俺はそのいくつかの部屋のうちの一つをすみかとしている。


「ただいま――」


そう言うと、部屋の奥からトテトテと一人少女がかけてきた。


「ナオアキ――おかえり――」


「ただいま、ユキ大人しくしてたかい?」


「うん、いいこいいこしてた――」


ヨシヨシとユキの頭を撫でてやると、ユキは嬉しそうに目を細めた。ふとユキの目線が俺の持っている袋の方にいった。


「ナオアキ――これおいもさん?」


「あぁ、サツマイモだよ、今日と明日の朝はこれで十分かな?」


俺はサツマイモの入った袋をユキに手渡した。袋を受け取ったユキはその中を見るや嬉しそうに目を輝かせた。


「すごい!おいもさんたくさん!ナオアキ――みて、かれはもたくさん」


ユキはそう言って庭の方へかけていった。見ると庭には枯れ葉の小さな山が出来上がっていた。


「お――すごいねぇ、全部ユキがやったのかい?」


「うん!ナオアキ――これみて。」


ユキは少し大きな枯れ葉を自慢するように見せてきた。


「こいつ、じぇーむず」


「お、おう……ジェームズくんはユキのお友達なのかい?」


「ううん、ちがうよ、」


「そ、そうか……さ、早速だが……芋を焼く準備でもしますかな?」


「お――!まって、ゆきがらいたーもってくる。」


ユキはジェームズを投げ捨てて部屋の方へと、トテトテと走っていった。


「……ん?おい待て、ユキお前なんでライターのありかしってんの!?」


危ないからとユキの目の届かない場所に隠しておいたのになぜ場所を知っている!?急いで俺は追いかけたところユキは椅子の上に立ってライターを取り出そうと奮闘しているところだった。


ホクホクの焼き芋を食べ終わった俺は、焚き火の灯りの周りをはしゃぐユキを見守りながユキが眠くなってくれるまで待つ。相変わらず夜空は雲に覆われている、本当にあの雲の先に星などあるのだろうか、ふとそう疑問に思った。俺の親は俺をおいてあの雲の先へと旅立っていった……。そう聞かされている、けど俺は親の顔なんて見たことない……。ユキも似たようなものだ、ユキも俺と同じように親に捨てられ、この建物のまえで倒れていたところ俺が保護した。まぁ、今の時代子が親に見捨てられることはそう珍しくない。所詮俺たちは見捨てられた人たち、もうすぐ終わる世界だ……。一人々、自分自身が生き残るのに精一杯なのだろう。


「ナオアキ……おんぶ……」


やっと眠くなったのか、目をこすりながらユキは俺の方へとよってきた


「やっと眠くなりましたか、はいはい、抱っこね。」


「おんぶ――」


ユキを抱っこして、俺は部屋に入った。焚き火の灯りが薄暗くしかし温かく、部屋を包んでいる気がした。どうせもうすぐ終わるであろうこの世界、しかしまた次の日が来るのなら新しい一日が来るのならこの子のためにも俺は最後まで希望を持って生きたい。


「まだ、終わってないもんな……。」

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俺のショートショート(?) bou @6823

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