好きな女の子に告白したら、私女の人が好きなのって振られたんだけど……諦めきれないので女装してみます。
@qooo
第1話 告白からの告白
「
俺こと
本当に何でもないことだった『霧島くん、アイドルの○○のファンなの?』誰から聞いたのか、無口な川勾さんには珍しくいきなり俺にそう質問してきた。ただ彼女が言っていたアイドルっていうのが、声優アイドルのことで、俺は少し恥ずかしくて口ごもってしまう。
しかし川勾さんは『私も好きなの一緒だね』って笑顔を見せた。バカにされると思っていた俺は、それから川勾さんが気になりだし、そして時々そのアイドルの話をするようになった。いつしかもっと別の話もしてみたい、側にいたいって思うようになるまでそう時間はかからなかった。
そして今日。俺はありったけの勇気を総動員して一世一代の勝負って言っていいくらいの気持ちで川勾さんに想いを伝えた。
それなのに……。
「ごめんなさい」
川勾さんは俺の告白を受けて少しだけびっくりした後、困ったように目を泳がせそしてすぐに軽く頭を下げながらそう言った。ハーフアップにされた髪の毛が重力に従って川勾さんの肩を流れていく。放課後の学校の屋上。遠くで部活に精をだす生徒たちの声がやけに耳についた。
(……どうして?)
けどすぐにその疑問が浮かんだ。振られる理由を知りたかった。『嫌いだから』とか言われたら正直立ち直るまでに時間はかかると思うが、それでも聞きたかった。
「駄目な理由を……聞いてもいいかな?」
顔を上げた川勾さんにそう聞くと、川勾さんは告白された時よりも困った顔をして俺から視線をそらしコンクリートの地面を見つめる。
「……駄目というかそうじゃなくて、私、私は」
川勾さんは酷く言いずらそうに言葉につまり、言いよどむ。
「だったら、試しでも」
俺はそう思って正直に口にした。『ごめんなさい』『わかりました、あきらめます』ってそんな軽い気持ちで告白したわけじゃないから。少しでも可能性があるならそれにすがりたかった。
「そうじゃない、そうじゃないの」
だけど、いっそう川勾さんは苦しい顔になり胸の前で両手をぎゅっと握りしめた。そこで思い当たるのが、他に好きな人がいるのでは?ということだった。でも、それなら『他に好きな人が……』と言えばいいだけの話で……。俺の心臓はもうずっとどきどきしっぱなしで、口の中もからからだった。
「他に好きな奴がいるとか……?」
「………」
意を決してそう口にしたが、俺の言葉を聞いて、川勾さんは首を横に振った。その後長い沈黙があって、そして川勾さんはゆっくりと口を開いた。
「……私、女の人が、好きなの。ごめんなさい男の人とは付き合えない」
俺の告白はそんな川勾さんの告白によって、無残に敗れた。
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