筋肉に愛された魔王が、萌え袖ロリ魔道士にケンカを売った結果……

椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞

魔法なんて、ファーストフードだ……

「やー。たー。もうかんねんしろー」


 萌え袖のロリ魔道士が、ガチムチの魔王を魔法で縛り付ける。


 おそらく勇者パーティは、勝利を確信していたであろう。

 あとは、ロリ魔術師がすべてを終わらせてくれる。

 

「エネルギーじゅうてん、ラストシューティングをくらえー」


「ふん」



 ガチムチ魔王が、鼻で笑う。


「んー?」


 萌え袖魔道士がクビを傾げていると、魔王が魔術拘束を力技で解いてしまった。 

 相手も魔法を使ったというわけじゃない。

 純粋な腕力。それだけを使って脱出をしたのだ。


 その後は、もう蹂躙である。


 剣士の剣を折り、ドワーフヒーラーのハンマーを握り潰し、首へナイフを突きつけたアサシンを片手で投げ飛ばす。

 


 かわいそうに……。



 魔王は、そう思ったに違いない。


 残るはチビのロリ魔法使いのみ。


 だが、容赦なく魔王の回し蹴りが、ロリの意識を刈り取ろうと迫ってくる。


「よせ、逃げろぉ!」


 剣士がこちらへ、手を差し伸べる。

 

 だが、魔王のキックはロリの頬を刈り取る目前だった。


 

 ボキ……。


 鈍い音が、「魔王の足」から聞こえた。

 


 魔王は一瞬、何が起きたわからなかったのだろう。

 折れた自分の足を見つめながら、ロリと足を交互に見る。


  

「魔法なんてのは、とろけそうなほど甘い。まるでファーストフードだ」


 萌え袖によって、自分の足を折られたと、ようやく魔王は気づいたようだ。

 このロリがやったのだと。


「なんでもできちまうから、退屈になる」


 ロリが、萌え袖を肩から破り捨てた。


 そこには、細マッチョの腕が。



 手を開き、拳を作り上げる。それだけで、「ボキボキ」と関節が鳴り出した。

 


 筋肉に愛されているのは、魔王だけではなかったのである。


「魔法なんてしょうもないよ。そうは思わないか、魔王?」


 両手の萌え袖を破り捨て、ロリはローブもたくし上げた。


 小さい見た目からは考えられないほどの、バキバキの全身が。


 

 ぜえぜえと息を吐きながら、彼はロリに本気を出させたことを後悔しているようだった。

 足を回復させてはみたが、どうせまた折られると。

 魔法勝負で挑んでも勝ち目はない、と考えている様子だ。


 

「楽に死ねると思うなよ」


 ロリが挑発してきた。


 こんなチビにケンカを売られた以上、買わないわけにはいかない。


 ロリはわざと相手に攻撃しやすいよう、相手の懐へと回り込む。

 

「いやああ!」


 中腰の状態から、魔王がハイキックを見舞う。


 ロリはたやすく、相手のキックに拳を合わせてきた。


 また、さっき折った足を破壊する。今度は三連続で。


 なおも魔王は、ヒザ蹴りを浴びせた。折れた足は、一瞬で直す。


 そのヒザにさえ、ロリは足を乗せてアゴを撃ち抜く。


 魔王の顔が、曲がってはいけない方角へ。


 しかし、魔王は心までは折れない。タックルでロリを捕まえて、ガレキに激突させようと突進していく。



 インパクトの瞬間、ロリは壁を駆け上がった。

 そのまま後ろへ魔王を投げ飛ばす。


 起き上がった魔王が、再度タックルをしてきた。

 低空である。捕まえてマウントを取ろうとしているのだろう。


 顔面へヒザ蹴りを合わせて、ロリは魔王の鼻をへし折った。

 

 仰向けに倒れ、悶絶する魔王。


 肩で息をしながら、ロリは魔王をギロリと見下ろす。

 こちらも体力はない。ロリも限界だ。


 次の一撃が、最後となる。


 満身創痍で、魔王が立ち上がった。闘志は尽きていない。


 魔王の首に、ロリは飛びかかった。


 回転して、魔王の胴体を床に叩きつける。


 首に致命的なダメージを与え、さらに半身を起こさせる。

 手に、魔王の角を掴んでいた。


 角を外されたら、魔王は力を失う。

 必死で抵抗するが、ロリはダメ押しのパンチを魔王の顔面に浴びせた。


 完全に抵抗しなくなった魔王の角を、ロリは一息で抜き取る。


 勇者らしくない、実に泥臭い勝利だった。


 剣士が意識もたえだえにつぶやく。


「だから逃げろと言ったのだ、魔王よ」

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筋肉に愛された魔王が、萌え袖ロリ魔道士にケンカを売った結果…… 椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞 @meshitero2

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