第18話 王城での夜会
家内の者が急逝したため先週は更新できませんでした。申し訳ありません。
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はあー、嫌だねえ夜会なんて。そんな僕の気持ちとは裏腹に、使用人のみんなが僕のおめかしを手伝ってくれている。勲章の位置とか適当でいい気がするんだけどなぁ。え?勲章にも序列があるから大事だって?はあ、勲章もモノはモノで大変だねぇ。人間に勝手に
モノに同情しても仕方がないね。鏡に
カトリナ嬢も準備は終わっているかな?パオロに聞くとハシンタを中心に最後の仕上げに入っているそうだ。へぇ、結構早く終わるもんだね。もちっと時間がかかると思ってはいたけど。そんなことを考えながらブランデー入り紅茶を飲みながら時間を潰す。1杯目を飲み切る頃に部屋の扉がノックされる。
「どうぞ。」
扉がハシンタによって開かれる。そこには陸軍装でパンツスタイルのカトリナ嬢がいた。紙もアップにしている。軍帽を小脇に抱える姿はなかなかに似合っている。濃緑の軍服が輝く金髪と深紅の瞳をより強調する。
「よく似合っている。綺麗だよ。」
僕がそう言うとキリッとした表情をしていたカトリナ嬢の表情が
「オーギュスト様、皆が見ているところで求こ「告白じゃないからね。」ん・・・。食い気味に言わなくともよろしいではないですか。」
「ごめんごめん。じゃあ、いこうか。まずはバチェフ侯爵邸に行かないとね。」
「そうですわね。そういえば、今日はエスコートをしてくださるのでしょうか?」
「そうだね。修練を頑張ったご褒美にエスコートしてあげよう。勿論、修了式のもしっかりと約束は守るから安心していいよ。」
「あ、ありがとうございます!!」
時間に余裕はあったけど、馬車に乗ってバチェフ侯爵邸へと移動する。
「ところで何で軍服?」
「
「確かにそうだけど。あー、ケネスの指導のせいかなぁ・・・。」
「ケネス殿は素晴らしい教官ですわ。」
「だろうね。」
そんな感じの話しをしているとすぐにバチェフ侯爵邸へと着いた。侯爵邸ともなると王城はもう目の前だ。クレメントおじさんと奥さんのヘルミーナ夫人は準備万端だった。息子のゴットフリート・バチェフ伯爵はこちらに寄らずにそのまま王城へ行くようだ。僕たちは王城に入るまでのやり取りがめんどくさいからクレメントおじさんの馬車の後ろを着いていくよ。
正門を馬車に乗りくぐり、停留所で降りる。どうやら僕達はかなりゆっくり来たみたいだね。馬車止まりには多くの馬車がある。僕はカトリナ嬢の手をとり夜会、パーティー会場へと足を踏み入れる。事前に僕とカトリナ嬢が一緒に来るのは伝えてあるから問題も無い。腰の剣を預けると入り口の係の人がよく通る声で、
「オーギュスト・ユベール伯爵、カトリナ・バチェフ伯爵令嬢のご到着です。」
と告げる。すぐに視線が集まるのがわかる。煩わしいなぁ。そんな様子を国王は少し呆れたように笑っている。王妃も扇で口元を隠しているけど笑っているんだろうね。僕とカトリナ嬢は視線を集めながら国王の下へと向かい、礼をし口上を述べる。
「本日は素敵な夜会にお誘いいただきありがとうございます。微力ながら今後も国のために尽くす所存であります。」
「うむ、その志しや良し!!頼りにしておるぞ。」
「はっ。」
はい、これで一番面倒なのはお終い。後は、ダンスをして、疲れたら立食をして丁度よい時間を見計らって帰る。これだけ。でも、上手くいくようには思えないんだよなぁ。あちらこちらで僕達の事を話題にしている。ひそひそ声だけど充分に聞こえるんだよ。こっちにはね。鍛え方が違うんだ。
僕の機嫌の悪さに気付いたカトリナ嬢が唇だけを動かして語りかけてくる。
“ダンスなどせずに帰りますか?国王陛下への挨拶を済ませたので充分かと。”
僕はそれに少し笑みを浮かべながら軽く首を振る。カトリナ嬢が僕とのダンスを楽しみにしていてくれたのは知っているからね。何曲かは踊ってあげるつもりだったんだ。
カトリナ嬢の手をとり、ダンスを始める。お互いが軍装の何とも物騒なペアのダンスだけど、カトリナ嬢は僕の結構ハイペースで大きな動作のダンスについてきている。修練の成果が出ているね。軽く魔力を全身に纏って強化をしているみたいだ。無意識に発動できるようになれたのは素晴らしい。教え子の成長というのは嬉しいモノだね。
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