第108話 閑話─聖夜の想い



学園のクリスマスパーティーの夜



アルがレティと手を繋いで、パーティー会場に戻って来た。

レティの首元には、アルの瞳と同じ色のネックレスがある。

アルがプレゼントしたやつだろう………



上手くいったんだな。

ラウルは思った。





レティを公爵家の馬車で返し、4人は飲みに行った。

勿論、アルベルト皇子がいるから皇室御用達の店だ。




4人で乾杯をする。




「 それで、レティはオッケーしたか? 」

ラウルが、酒をアルベルトに注ぎながら聞く。


「 いや、何も言わなかった 」

と、アルベルト。


「 えっ? 」

「 じゃあ、お前の、その機嫌の良さは何だ? 」

エドガーとレオナルドが酒の入ったグラスを置いた。



アルベルトは、レティの長い沈黙に耐えきれず返事は保留にしたと言った。


「 じゃあ、何でそんなに機嫌が良いんだ? 」

「 俺の気持ちを伝えられたからだ! 」

胸を張ってアルベルトが言う。



皇子様は

自分の気持ちを伝えただけで大満足したらしい。


三人は吹いた。

この皇子、やっぱり可愛い。




「 レティは、恋愛体質じゃあ無いんだよ 」

レオナルドが言う。


「 この皇子様に言い寄られても、メロメロにならないんだから、凄いよな 」

と、エドガー。


「 あいつは、斜め上を突き抜き過ぎて、妙な奴になってしまってる 」

………と、ラオルが真顔で言った。



「 アル、お前、苦労するかも……… 」


皆から同情の顔で見られた皇子様であった。







レティは別に恋愛体質じゃ無いわけでも無い。

心の奥で何時も同じ思いにたどり着くだけだ。



「 どうせ、王女と婚約するくせに……… 」



未来が分かっているのだからどうしょうも無い。



レティは

皇子様から貰った

皇子様と同じ瞳の色の

バレッタとネックレスを見ながら思った………



もし、生き残ってこのまま人生を全う出来たなら………

何時か誰かに自慢出来るわよね。


私は、少しの間、

皇子様に愛されてた事があるのよって………





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