第47話 アルベルトの後悔





まさか………

あそこに彼女がいようとは…………




アルベルトはレティに言い訳をしたかった。

誤解をするなと言いたかった…………



だけど恋人同士でも無い彼女に

言い訳なんかするのは可笑しいだろうに………



恋人同士なら

直ぐに飛んで行って、抱き締めながら、

あれは皇后の仕組んだ事だから、仕方なかったんだと言って許しを乞える。



レティに会って誤解を解きたかった。

レティに会いに行きたいのに………行けない…………




誤解?

誤解って何だ?

そもそも彼女は何とも思ってないかも知れない。


何とも思っていない彼女に何を言いに行くのか?





でも………

あの時みたレティは

悲しい顔をしながら顔を反らした……




彼女に悲しい顔をさせてしまった………

胸が痛い…………



そんな眠れぬ夜を過ごしてるうちに





皇太子殿下に意中の人が出来たようだ。

そんな噂が学園中に広まった。



一緒にオペラを見に行き、遠くの街の夏祭りの夜に、手を繋いでデートをしていたらしい。



この令嬢が、皇太子妃候補の本命なのでは?





もう、為す術も無かった。

アルベルトは頭を抱えた。




皇后主催の夕食会に招待した令嬢達の中に、アルベルトの意中の人がいると思った皇后は、

あの夕食会に招待された9名の令嬢全員を対象に、アルベルトと2人でデートをさせると言う、無茶な計画を立てていたのだった。




1度目は仕方なく従ったが………



アルベルトは優しい息子だった。

何時もなら、母親である皇后のする事には、渋々ながらも従ってきた。



しかし、その夜、怒りは収まらなかった。

たった1度でも、望まぬ令嬢となんかと会うべきでは無かった。

皇后にも、自分自身にも腹が立って仕方なかった。



「 母上、私は母上の玩具でも人形でもありません 」



皇后の返事も待たずに

クラウドに命じ、残りの令嬢達と会う事を中止にした。






しかし、それが裏目に出たのだ。




こうなると

1人の令嬢とだけデートした事が既成事実となり、その令嬢が本命だと言うことになったのだった。




そして、よりにもよって

あの夏祭りの夜、レティと手を繋ぎ歩いた事も

あの令嬢とのデートだと言うことになってしまってるのだった。





当然彼女の耳にも入っている事だろう………




「 良い気はしないよな 」





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