其ノ七 潜入作戦 延長戦

「堂々と行こう、堂々と。」

美沙さんはそう言って正門に向かう…っておい。

「作戦、考えるって言いましたよね⁉︎」

「うん、で、考えた結果、これしか出てこなかった。」

ぬおっ、なんと。

「美沙さぁ、もっとその学年一の頭脳を使って、いい考えを出してくださいよ。」

「ちょ、ちょっと待ってください、」

今、

「学年一の頭脳って言いました⁉︎」

「うん、言った。」

「…え?」

「いつもはこんなにポンコツだけど…痛っ!」

思いっきり美沙さんに足を踏まれる和さん。

「こいつ、一応特待生だよ。」

ひぃ。

特待生。学校全体の成績優秀者五人のみに与えられる称号であり、あの高い学費を払わなくて良いという特権を持つ。ちなみに、うちの全校生徒の数は千人ほどです。

「ま、そんなことはどーでもいいの!」

美沙さん、意外と重要です。

「とにかく、堂々としたらバレないって。短髪のおてんばな姫と、朝型の忍者だと思えばバレないよ。」

「「うーん。」」

見張りの人がそう思うとは限らないんだよなぁ…。

「美沙将軍に従うであります、しゅうまいと大和政権!」

なんか和さん強そうだけど。

「分かったよ。」

和さんが言う。

「大和政権、頑張ります!」

その呼び名、気に入ったんですか?

「ではでは、行くよ!」

俺は無視?

「「おおー!」」

そして、俺たちは堂々と正門を通ることになったのだった。

正門に入る。

「堂々と、堂々と…。」

和さんが隣でぶつぶついい、美沙さんがくないを持って戦闘態勢をとり、俺は緊張のあまり関節を曲げずに歩くという地獄絵図のなか、俺たちはバレずに歩

「曲者ー!」

「「「「バレたー!」」」」

俺たちは走って城の方へと急ぐ。今まで出したことのないスピードで。

火事場の馬鹿力とはこういうことか。

「「「ぜぇぇぇ」」」

垣根の裏に隠れて、ぜぇぜえする。

「大丈夫でありますか?」

アリマスはいいよね、俺の肩に乗って、走らなくて済んで。

「と、とにかく、城についたし進もうか。」

俺は、ちょっぴり違和感を覚えつつ、先へ進んだ。

その後は、天井裏をてくてく歩き(というかハイハイに近かったが)ばれずに進んで、

「ここが、明殿の部屋であります。」

アリマスが言う。

ついに、着いた。

明、絶対助けるからな。

「行くよ、3.2.1。」

美沙さんの掛け声で、天井を突き破り、下へと降りる。

「明っ!」

しかしそこは、

「何ここ…」

広い広い、武道場だった。

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