準決勝・結果

第一試合

①個人戦武術

実況「隋・唐からは尉遅敬徳、バルト帝国からはフェルセンです! 中華最強の武人の一人である尉遅敬徳に、フェルセンはどこまで食い下がれるのでしょうか?」


フェルセン「アントワネット様、私はこの戦いを貴女に捧げます」


ヘロドトス「マリー・アントワネットの愛人と言われただけあって、堂々と戦いを捧げるつもりらしい」


尉遅敬徳「ふむ。とすると、わしは世民様を賭けるとしようか」


ハルドゥーン「自分の主君を賭けているぞ」


ヘロドトス「負けたら似ても焼いても自由ということか。何という自信だ」


グスタフ・アドルフ「それじゃ、ちょっと預からせてもらおう」


李世民「ちょっと待て! こら、誰か止めんか!」


マリー・アントワネット「夫人がいないなら、皇帝を賭ければいいのにということですか」


実況「うまいこと言っているつもりのようですが意味が分かりません。あと、フランスは既に敗退したので会場内には入ってこないでください」


司馬遷「李世民は災難かもしれないが、ただ、何だかんだ尉遅敬徳は強いだろう。正直、ハンデ7はつけざるをえない」


実況「サイコロは14-9! ハンデ関係なく、尉遅敬徳が勝利しました。まずは一勝です」


李世民「はー、何故他人の試合に命を賭けねばならんのだ」


司馬遷「そこは大将たるもの、自分の命を副将戦に預けるくらいのことをせねば」


李世民「わしはどこかの戸愚呂チーム大将とは違って自分も戦えるし」


②女王・文

実況「続きまして第二試合です。バルト帝国は決して弱い面々ではありません。欧州の外交を背負った女性達三人なのですが…」


司馬遷「陰麗華と並ぶ中華最強の皇后とその次クラスに並ぶ皇后。更には中国史に唯一光る公式女帝ととんでもない布陣で来たからな」


実況「世界史最強の女性はエカチェリーナ2世か則天武后のどちらかじゃないかって気がしますしね。一番賢いのはダーシュコワ夫人かもしれませんが」


クリスティーナ「くぅぅぅ。あたしがいれば…って、あたしがいても一人と太刀打ちできるくらいだけどさ」


ハルドゥーン「ハンデは14くらいかなぁ。則天武后がとにかく凄いからこれで10。残り二人も2ずつはつけられそう」


ヘロドトス「ここから逆転すれば相当なものだが…」


実況「隋・唐は19-17-8。バルト帝国は3-7-10。完全に飲まれてしまいました。隋・唐、二連勝で決勝進出まであと一つです!」


司馬遷「強すぎる…」


③女王・武

実況「三戦目。スウェーデンは実戦経験のある人が三人揃いました。欧州ですので、これだけでも中々凄いことではあるのですが…」


司馬遷「陳硯真は数万の兵を率いて反乱を起こして自ら女帝を名乗った程だし、残る二人も群盗などと戦った経歴がある。どちらが格上かというと、やはり隋・唐ということになるな」


ハルドゥーン「問題はハンデをどのくらいつけるかということだが…」


ヘロドトス「8くらいではないかね。4-2-2ということで」


司馬遷「20面体3回で8差なら、逆転が不可能なわけではない」


ヘロドトス「ここまで隋・唐は完全無敗だが、それが決勝まで続くのか?」


実況「それではいざ、勝負! 隋・唐は19-7-9。バルト帝国は15-19-17。バルト帝国がハンデを逆転し勝利を収めました!」


ハルドゥーン「おぉ、これで分からなくなった」


④幸運王

実況「隋・唐が二勝、バルト帝国は一勝でジャンケンです」


ハルドゥーン「バルト帝国は、最終戦有利と思われるからな。何とかそこまで行きたい」


司馬遷「隋・唐は李淵だ。李世民ではないのだな」


実況「李世民は先ほど人質にされて精神的に参っているそうです」


司馬遷「随分と情けないな」


ヘロドトス「一方のバルト帝国はグスタフ・アドルフだ」


実況「隋・唐の決勝進出か? バルト帝国が五分に戻すのか? 注目のジャンケン勝負。それでは、スタート!」


二人「最初はグー! ジャンケン、ポン!」


李淵:パー

グスタフ・アドルフ:グー


司馬遷「隋・唐の勝利だ!」


李淵「やったぁぁぁ!」


実況「やりました! 隋・唐、今大会初めて黒星がついてしまいましたが、トータル3勝1敗で見事にスウェーデン・バルト帝国を打ち破りまして決勝進出です!」


第二試合

①幸運王

実況「オスマンからはスレイマン1世、秦・楚からは始皇帝が出てきました。まずはジャンケンの第一回目。ストレート決着でなければ、この後、第四戦でもう一回行われることになります」


スレイマン1世「勝てば続けて出るけれど、負けた場合、どうしたものか」


始皇帝「ふん。負けた時のことを考えるなど、笑止」


実況「準備はいいですか? それでは行きますよ。せーのっ!」


二人「最初はグー! ジャンケン、ポン!」


スレイマン:グー

始皇帝:パー


実況「始皇帝の勝利です! まずは秦・楚が取りました!」


②攻城戦

実況「最終戦の個人武術に関しては秦・楚が有利ですので、オスマンはここからの戦闘二つを確実に取らないといけません」


ハルドゥーン「ということで、今回はイスタンブールだね。すなわちコンスタンティノープル。守りは非常に固い」


樗里疾「何あの城壁? マジヤバ。翦オー、何か方法ある?」


王翦「…城壁を動かす」


司馬遷「何!?」


実況「キンクダムの王翦さんが言いそうな言葉を考えてみましたが、そんなことが本当にできるのでしょうか!?」


ハルドゥーン「できたらマジックと言うしかない」


項燕「マジでそんなことができるのか?」


王翦「できない」


四人「……」


樗里疾「あの城壁、バリ何とかしたいっス。ブルガリアのパイセンとサシで話つけてくるっす」


実況「樗里疾がブルガリアに交渉に行きました」


樗里疾「チョリーッス。オスマン攻めたいんで協力してください」


司馬遷「何という挨拶だ。両手をズボンに突っ込んでいるじゃないか」


ヘロドトス「秦・楚時代の服で両手をズボンというのも中々かっとんでいるな」


実況「ちなみに樗里疾は樗里子とも呼ばれていたそうで、子をすと読めば”ちょりす”になります」


ブルガリア王「オスマンには酷い目に遭わされていたからな。よし! 立ち上がろう!」


樗里疾「族車は100台でヨロシクッス」


司馬遷「しかしブルガリアが全面的に味方についたな。春秋・戦国がビザンツ戦で失敗した時とは様相が変わってきた」


実況「トゥラハンギュ・オマール・ベイという微妙な人に折衝を任せていたのも響いたのでしょうか」


トゥラハンギュ・オマール・ベイ「えっ、俺のせい?」


王翦「次は金角湾か…」


ハルドゥーン「王翦はずっと金角湾を見ているな」


ヘロドトス「あそこを突破できれば、突破口を見いだせるかもしれんな」


王翦「船を動かす」


実況「おっと、王翦は船を陸路で引っ張るという荒業を行うつもりのようです」


キョプリュリュ・ムスタファ・パシャ「それはウチが使った手だ!」


実況「さすがに簡単に問屋が卸しません! オスマン軍も防御に出ている!」


王翦「急げ」


司馬遷「しかし、被害を出しつつも突破したぞ!」


実況「これで補給物資などに制限をかけることはできますね。ただ、まだ完全と言うには難しい状況です」


項燕「やはり力攻めもしなければならないか」


ヘロドトス「陸上の楚軍が城壁に向かっていくぞ」


司馬遷「何故か一角だけ旗が全くないが、どうしたのだ?」


実況「確かに空白地帯がありますね。あっ!」


メフメト1世「ここに来ると思っていたぞ!」


実況「メフメト1世の部隊が隠れていました! ちょっと見え見えの策ですが、より引き付けることに成功するでしょうか?」


項燕「うわー!」


ハルドゥーン「あれ…。弾が項燕に当たったよ」


項燕「フフフ、羽よ。後のことは頼んだ…」


項羽「伯父さーん! 俺はもう、出番が終わっています!」


司馬遷「戦死した」


オスマン軍「チャンス!」


実況「項燕軍が瓦解して、一気にオスマンが勢いを取り戻しました」


王翦「所詮は楚の馬鹿者か…」


樗里疾「ハンパモンめ…。ヌケる」


実況「残りの二人も引き上げていきました。ということは、オスマンの勝利です!」

〇オスマン (1-12-20) 秦・楚 (13-12-9)×


③野戦

実況「引き続きまして、アンカラ近くでの野戦です。オスマン軍はセリム1世を中心に布陣しています」


ハルドゥーン「お付きがムラト1世にムハンマド・アリーというのも凄い」


司馬遷「一方の秦・楚も白起、蒙恬、扶蘇が布陣しているが…ちょっと不安げな様子だな」


蒙恬「こんな敵地では何をどうすればいいのか分からぬ」


白起「気にするな。みんな生き埋めにすればいいのだ」


扶蘇「そんな酷いことをしたらダメですって」


実況「オスマン軍は北の山間に布陣しています」


セリム1世「ムハンマド・アリーよ」


ムハンマド・アリー「はい」


セリム1世「迂回して、敵を後輩から屠れ」


ムハンマド・アリー「承知いたしました。冷酷者」


ハルドゥーン「おっと、ムハンマド・アリーが迂回して相手の背後を狙うようだ」


蒙恬「むっ。あのかがり火の様子。きっと、敵が迂回するに違いない!」


ムハンマド・アリー「何っ!? 途中の間道に伏兵だと?」


実況「しかし、秦・楚軍も気づいて応戦しています。簡単には行きません」


セリム1世「愚か者め。ムラトよ」


ムラト1世「わし、あんたの先祖なんだけど呼び捨てかい」


セリム1世「反対側から迂回せよ」


ムラト1世「へいへい」


実況「ムラト1世、子孫に命令されてふてくされています」


白起「来た! みんな生き埋めにしてやる!」


司馬遷「さすがに襲撃が見え見えすぎる。これではどうしようもない」


ヘロドトス「いや、セリムが動くぞ」


セリム1世「2人ともよくやった。敵は左右に広がりを見せている。その連結点をオスマン自慢の大砲の火力でちぎってしまうのだ」


実況「セリムの部隊が大砲を撃ちながら前進してきます。ただ無暗に背後を狙っていたわけではなかったのですね!」


扶蘇「うわ、どうすればいいんだ」


司馬遷「扶蘇がパニックになった」


扶蘇「こんな役に立たない私は、もう死んでしまおう」


実況「あーっと、潔い扶蘇が自害してしまった! こうなると蒙恬も道連れになります!」


蒙恬「何でやねん!」


司馬遷「と言いつつ自害してしまった」


白起「わしもここまでか…。沢山生き埋めにしたからのう。しかし、もっと生き埋めにしたかった」


実況「秦・楚は全員自決してしまいました! オスマンの連勝です!」

〇オスマン (13-11-20) 秦・楚 (20-12-12)×


④幸運王

実況「再びジャンケンです。このジャンケンが取れないとオスマンは結構辛いです」


始皇帝「フフフ、もう一度勝ってやるまでよ」


ヒュッレム・スルタン「そう簡単に行くかしら?」


実況「あっと、一戦目を負けたオスマン。ヒュッレム・スルタンに交代しました」


ハルドゥーン「オスマンってこの大会でジャンケン二度負けているのよね。その度に交代している」


ヘロドトス「さすがにジャンケンに二度負けるのは辛いだろうから交代したくなるのは仕方ない。そういえば、今大会で女性がジャンケンに出るのは初めてかもしれん」


実況「果たしてどうなるでしょうか。せーのっ!」


二人「最初はグー! ジャンケン、ポン!」


ヒュッレム・スルタン:チョキ

始皇帝:チョキ


二人「ポン!」


ヒュッレム・スルタン:パー

始皇帝:グー


ヒュッレム・スルタン「やりましたわ!」


スレイマン1世「ヒュッレムよ、信じていたぞ!」


オスマン・ベイ「決勝進出を祝って、俺様がリハーサルをやるぜ!」


スレイマン1世「ご、ご先祖様。それはご勘弁を…」


実況「オスマン朝、苦労しつつも決勝進出。隋・唐とオスマン朝というユーラシアの東西の強国が決勝を戦うことになりました!」

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