第12話 増える敵と見えない隣国

「さてシロさんこちらお飲みください。疲れているでしょう」

二玄から透明の液体を渡される。無味無臭のその飲み物を躊躇いながらも口に運ぶ。

「ニガッ……いや酸っぱっ」

「ふふふ。久しぶりにその反応を見ました」

そう言って二玄は微笑んだ。

「さて私も今回は手伝うことになるかもしれませんね。準備だけはしておきましょう」

すでに魔獣達との戦いは各所で行われていた。

一玄たちの力があるものは、大型の魔獣、三玄たちの速さに自信があるものは飛翔している魔獣とすばしっこい魔獣と対峙していた。

センターでは剣を地面に突き刺し、全体の状況を観察する焔の姿があった。



「今回は少なかったですね」

結局出番がなかった二玄が焔や一玄達に伝えた。

「あぁそうだな。魔獣達が引くのが異様に早かった」

「そーっすよ何匹か殺す前に逃しちまいました」

「まぁ深追いするよりはいいだろ」

「そうだな。でも気をつけておけよ。何が起こってもおかしくないところまで来ている」

焔が場を引き締める。

「はい。特に1箇所だけやけに手薄で、こちらをどこかに案内しているかのようにも見えました」

「あーたしかにたしかに!1箇所だけものすごーく魔獣弱かったわ」

考え込む二玄。

「焔様どういたしますか。ここら辺一体のボスがもしかしたら近い可能性もありますが」

「うーんどうしようか。来週四龍会議あるし他の方の情報を聞いてからでもいいと思う」

「そうだなーそいつの強さわかんねーし、無闇に突っ込むのあぶねーからな」

三玄は焔に賛成した。



1週間後 四龍会議の後

「西と東は敵が増えてるって話だった」

「そうですか。まぁ予想通りですね。他の門の人たちのスタンスは相変わらずですか」

二玄が焔に聞く。

「あぁあくまでも門の中に敵を入れないってだけだな。門の外で暮らしている人々については今まで通りだ」

「クッソ。他人事だからって」

三玄が苛立たしげに靴を床に打ち付ける。

「四龍の人たちはこの魔獣の発生源についてわかってるやついないのか」

一玄は焔に再確認した。

「あぁ別の門の部隊が魔獣をかき分けて森の中を進んだようだが、隣国へは到達しなかったらしい」

「でもおかしいですよね。つい数年前までは隣の国へ行けたのに」

「お前達は知っているか。いつから魔獣がこの国を徐々に侵食し始めた時期を」

「いや正確な時期までは覚えてません。元々この辺の生まれではないですから」

「そうか。王国と周りの村を分断する門ができる少し前からだ」

焔はどこか遠くを眺めながら語った。

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