僕はつくづく運が悪い

第0話

 2025年4月9日。突如世界中に歪んだ次元の裂け目の様な、ゲートと呼ばれるものが出現した。それは地面に、空中に、地中に、様々な場所に出現した。


 そして、人類が最初に認識したゲートは空中に発生したものだった。街中を人々が行き交う中、何の前触れもなく現れたゲート。


 ただ歩いているだけだった。スマホを弄りながら東京を歩いていて、突然影ができたと空を見上げたらそれはあった。数十mを超える大きさの穴。バチバチと周囲に火花を散らす、歪んだ空間が。


 入学シーズンということで多くの若者が居たその場所では、数十分と経たずに動画や画像が拡散され、テロの可能性なども考えられると警察や自衛隊が派遣される事態へと発展した。その情報は全世界で注目を集め、テレビ放送は全てそれ一色に染まることとなった。


 最初の事件は確か、どこかのテレビ局が撮影の為、ヘリコプターで接近した所から始まった。ゲートが発生して数日間は政府の対応が遅れて警備が薄くなっていた。


 人間とは未知を恐れ同時に好奇心を抱くものである。ゲートの正体は何なのか。あの先には何があるのか。SNSにアップしたらバズるのではないか。そんな疑問や好奇心に囚われた人達は慎重な警備体制の敷かれたその場所へと侵入した。


 世界で初めての事態。専門家も居なければゲートの正体を知っている者もいない。だからあの行為は仕方が無かったのかもしれない。しかし人類が誕生して以来最も大きな過ちを犯したことは言うまでも無いだろう。


 ゲートに侵入した人間はどうなったのか。その結果はすぐに出た。全国で放送されている映像。カメラマンを後ろに一人の男がゲートの中へと消え、興味津々に人々はそれを生放送で見守っていた。数分間。男が戻ってくる様子も無く、数分間が経った時だった。


 ──ギャァァアアア!!!


 脳を揺さぶるような、甲高く気味の悪い叫び声がゲートから上がった。男が出した声では無いことは明らかである。そこでカメラマンはゲートにカメラを向け、じっと待機していた。仕事仲間よりカメラマンとしての性が勝ったのだ。声がどんどん大きくなり、ゲートから大きな手のような、ゴツゴツとした岩のような腕が現れる。続いて足、腹、顔と現れていった。


 第一印象は岩で出来た巨人。20メートルを超える大きな人型の動く岩だった。しかしその体から飛び出る緑色の棘が、植物を思わせる。そんな怪物が現れ、街は更にパニックになった。巨人はそんな逃げ惑う人々をありんこのように踏みつぶし、残虐の限りを尽くした。死者数は確認されているだけでも3489人。身元確認が出来ない、ミキサーにかけられたかのように赤い液体だけになってしまった人達を含めれば一万を超えると言われている。


 そこで緊急事態と判断した日本政府が桜羽一稀防衛大臣指揮下の元、謎の怪物殲滅作戦が計画された。約2週間の時を要して怪物をゲートへ押し返すことには成功した。しかし被害は大きかった。街は半壊、死者数数万人。そして怪物はまた攻めてくる可能性がある。そこで桜羽一稀はあの怪物を異形と仮称し、政府公認組織、異形専門機関Rebelを設立した。


 異形はどんな攻撃を受けてもすぐに再生し、倒すのが困難だったが、幸い巨体という移動制限を利用し、拘束する事に成功した。すぐにその体は回収され解剖。異形には3つの心臓と未知の物質で出来た宝石の様な物が埋め込まれていることが発覚した。


 再生しきる前に3つの心臓を破壊すれば宝石の様なものだけを残して消滅する。その事実が発覚したと同時に、全国に次々と異形達が現れだした。


 あれから二年。異形の宝石、異宝を元に対異形武器が作成され、Rebelは次々と現れる異形から人々を守っている。

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