夢を見た

@dekai3

二◯二三年十一月七日 半纏を着た大きな猫をおぶって坂を登る夢を見た

 今日は、半纏を着た大きな猫をおぶって坂を登る夢を見た。




 恐らく夢の中では無く現実だろう午前4時頃。寝てから3時間しか経っていないというのに目が覚める。

 この時はスマートフォンで時間を確認したから夢の中ではなく現実だと思うのだが、次の瞬間に気が付いたら草木に囲まれているコンクリートの地面の坂道の途中で佇んでいた。

 いつの間に夢の世界へ行ったのかは分からない。



 実家が山奥の自然が豊かすぎる場所にあるからか、その時の自分には何故か、


(ここは実家の近所だな)


 という感覚があり、余り景色を覚えてはいないが不安は抱かずに安心感があった。

 周囲の景色は坂道という事が分かるぐらいで遠くの景色は白い靄で覆われていて見えなかった様に思う。早朝だから霧が出ていてもおかしくないと感じていたので、その事は特に気に留めなかった。

 そして、午前4時なので周囲に自分以外に人は居ないのだが、何故か何匹もの犬やら猫やらが周囲に居て坂を登ったり降ったりしていた。



 この時、自分は彼らを初めて見た筈なのに、


(ああ、実家の近所の家のペット達だな)


 と思っており、めいめいに好き勝手に散歩している様に見える姿を、


(おいおい、自由だな)


 と呆れながら眺めていた。



 坂を登る事も降る事もせずに周囲の景色を見ていると、ふと、一匹の猫が足元に擦り寄ってきて居るのに気付いた。

 体毛は灰色だったと思う。


 猫はこちらが猫の存在に気付いたのを確認すると、まるで抱っこしろと言わんばかりに背中を向けながら自分の尻をこちらの足に押し付け始め、顔で クイッ っと坂の上を指してきた。

 自分はそれを見て、


(上に行きたいのか?)


 と思いながら猫を抱っこしてやろうとしゃがんだら、次の瞬間には何故か猫を抱っこしているのではなく、猫を背中におぶっていた。

 この時まで全く不思議に思わなかったのだが、『おぶる』という行為は相手が小さくては出来ない行為であり、猫をおぶってから初めて、猫の大きさが1mを超えるサイズだという事に気が付いた。


 そして、周囲に居た坂を登ったり降りたりしている犬や猫も1mを超えていて、最初からこの場に居る彼らは1mを超えるサイズの大きさだったのだと気が付いた。

 しかも彼らは大きいだけでなく、灰色や藍色の半纏を着て、背中を丸めながら二本足で歩いて坂を登っていた。

 まるでお年寄りや昔の人みたいに、えっちらおっちらと体を揺らしながら歩いていた。

 自分は猫を背負うまで彼らを単なる近所のペットだと思っていたので、半纏を着て二足歩行している事なんて全く気にしていなかったし、自分が背負っている猫も灰色の半纏を着ていたなというのをこの時になってから気が付いた。



 周囲の犬や猫達が普通ではない事ついては特に恐怖は感じずに、


(ああ、こういう事もあるのか)


 と思っていて、とりあえず猫に指示されたとおりに坂を登ろうと背中に居る猫をしっかりと背負い直して坂を登り始めた所で、午前6時半に設定したアラームが鳴って目を覚ました。






 よくよく思い出してみると、猫が足に擦りついている時の感触は覚えているけれど、彼らの姿が本当に犬や猫だったかの確証は無い。特に尻を押し付けられていた時に尻尾を見た記憶は無い。


 あの坂が登ってはいけない坂で、それを目覚ましのアラームの音で起きた事で登らずに済んだのか、それとも逆に降りちゃいけない坂を降りていたのを猫に助けられたのか、そのどちらかなのかも分からない。


 坂や犬や猫達が何かの暗喩なのかどうかも分からない。




 今日は、半纏を着た大きな猫をおぶって坂を登る夢を見た。

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