眠れない病気
バブみ道日丿宮組
お題:誰かは夜中 制限時間:15分
眠れない病気
夜中に目を覚ますと彼女は言ってた。
自分はそんなことはなくて、朝までそのまま熟睡。
朝起きると、いつも不満そうにしてるので、そういう時は起こしてと伝えた。
そうはいっても、寝てるのを起こすのは嫌らしく彼女はそのまま過ごした。
そうしてなるがままに生活してくと、彼女は睡眠できなくなった(正確には夜きちんと眠れなくなった)。授業中にうつらうつらすることが多かった。それでも完全に睡魔が襲ってくることはなくて、眠るということはなかった。
毎日がつらそうで、代われるのであれば、そうしてあげたかった。
事故は起こるべくして起こった。
夜中に倒れて、意識を失ったのだ。
その日たまたま物音で起きた自分が見たのは、痙攣して倒れてる彼女。すぐさま119に連絡して、救急車を呼んだ。
そしてそのまま入院することに決まった。
病名は判明しなかった。
不眠症ではないかという疑いはあっても、どの薬でも対応できなかった。
病室で過ごす彼女はだんだんと顔色が悪くなってった。明らかに病状がなんらかの形で進行してた。
何日、何週間と過ごすうちに、彼女は明らかに人が変わってった。
覚えてるはずの思い出がわからず、人の名前すらあやふやになった。しまいには自分がどうしてここにいるのかすらわからなくなりはじめてた。
医者は不安やストレスによるものだというが、なら病院はそういうところじゃないのかと、こっちが不安になった。
彼女の親御さんは、毎日訪れてた。自分もほぼ毎日のように通った。
ゆっくりできる音楽、眠れるようになる本など、たくさんのものを試した。
薬で解決できることもないことが、そんな抜け口があるわけもなく、彼女は眠れないままだった。
決定的に壊れたのは、彼女がリストカットを始めたことだった。
眠れないなら、一緒眠れるように。
そんな願いから始まった。
彼女はそれから拘束具をつけられるようになり、一人で何かをするということはできなくなった。
会話もままらない状況に陥ってた。
周りは明らかに疲れを感じてた。
治らない病気に苛立ってた。
だからこそ、自分だけは側にいてあげようと思った。
そうして、彼女は半年後に亡くなった。
眠れない病気 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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