女神適合者の異世界侵行

水無月鷹野

序章 適合者の始まり

前半・デート!

初執筆作品です。

稚拙な文が目立ちますが、経験を積み重ねて行きますのでよろしくお願いします。

※2023/08/09 加筆修正済み

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「んっ、でーとたのしみ」


 私は水無月みなづき音亜ねあ

 今日は私の彼女......文月ふみづき永那えいなとお外デートの日だ。

 わざわざお外デートと銘を打ってる通り、普段はお家デート......いやそもそも同棲してるからお家デートってのも違うかも?

 それはさておき、これからえーな永那とお外でデートだ。


「......っっっ♡ そう言ってくれると嬉しいわね。大好きよ音亜ちゃん♡」

「んっ、私も好き。大好き、ちゅっ」

「......っ!? ッッ!? は〜可愛いわぁ......♡


 えーなの聞き慣れた"大好き"にキスしたい気持ちを抑えず口づけすると、限界化したえーなが恍惚とした表情で見つめてくる。

 この調子じゃ”いつも通り”になっちゃうよ......折角お外デートしてもいいか〜って思って、気分もノッてるんだからさ。

 気分ノって我慢出来ずにキスしちゃったんだけど。

 ちゃんと私が仕切り直さなきゃ。


「ん、えーな。そろそろ」

「ふぅ、そうね。音亜ちゃんの為に用意した店で料理が待ってるわ。ここで・・・イチャイチャせず行きましょう」


 えへへ、今日の為にえーなが店を貸し切ってくれてる。

 いつも色々なお店を貸し切って用意しておいてくれるの凄いよね。

 通算のデート回数を考えれば、行く店もダブりそうなモノなのに......こんなに労力割いてくれるのキュンキュンする。


 ......そもそも毎回貸し切ってるってのも普通とは違うよね。

 えーなが普通ではないのは確かだけど。


 えーなは裕福な文月家で長女として生まれ、甘やかされて育ったらしいけど、腐らずにしっかりと大学へ進んで、傍らに投資家としても活動してお金を稼いでいた。

 傍らで金稼ぐにはインテリジェンスが試されるモノだと思う......それを専業に出来る、と言えるほどに金稼ぎの一つとしてるのが凄い。

 情報に強ければ強いほど勝てる世界だもんね。

 そもそもえーなは地頭が凄く良いし、身体能力も高いから何してもやっていけると思うけど。

 私の彼女が最強無敵すぎる件。


 最強無敵な彼女の見た目は、身長が175cm程で、形の良いCカップさん、茶髪のショートヘアーに、碧眼のぱっちりアイ。

 細身で引き締まった体に、ほんの少し焼けた健康的な肌。

 そしていつもメイド服を着てる。

 因みに25歳だよ。


 ちなみに私の見た目は、155cmのEカップ、銀髪で前髪を切りそろえたロングヘアー、赤瞳にジト目で無表情気味。

 体は少しむちっとしちゃってるかな......肌はすごく白くて不健康な感じ。アルビノじゃないよ。

 服装はだぼだぼ黒パーカーにショートパンツ。

 えーなとは5歳差の20歳。

 チャームポイントは右腕で、上腕半ばからの黒い義手。


「ん、おまたせ」

「準備できたわね。さぁ」

「んっ」


 えーなの差し出した右手を左手で取って、手を繋いで玄関を出た。


 * * *


 専属ドライバーが運転する黒塗りの高級車に乗って暫く、目的地に到着して店の中に入った。

 店の中はいつも通り・・・・・気品のある感じ、ビルの上階だから景色も良いね。

 燕尾服っぽいのを来た人が近づいてくる。


「ご予約の文月様で間違いないでしょうか?」

「そうよ」

「個室へ案内させていただきます」


 外向けの表情微笑み仮面で対応するえーなと手を繋いだまま、個室へ案内してもらった。

 内向けはずっとニマニマニコニコして私を見てる。


 案内された個室は広めで、カラオケの個室みたいなソファーで囲われた感じの部屋だね。


「ごゆっくりどうぞ」

「えぇ、ありがとう」


 店員さんが部屋から出てから席へ座る。

 長いソファーで、お互いの肩を......身長差で腕になっちゃうけどくっつけて座る。

 広い意味がないね。


「えーな、注文して良い?」

「もちろん良いわよ。私は唐揚げでいいかな......あとはハイボールか」


 ここは机においてあるタブレットで注文するタイプみたいで、えーながタブレットを取って先にちょちょいと自分の注文を入れた。

 

「んっ、私はピザ。肉いっぱいの」

「紹介した時に気になってたやつね? ここの肉系料理、評判がいいらしいわよ」

「ぉ〜じゃぁいっぱい楽しむ」


 えーなの仕入れてくる情報は信頼度1000%だ。

 あーんさせて、あーんしてあげよう。

 美味しい食べ物をえーなが食べさせてくれたら幸福が倍だ......隙がない完璧すぎる。


「ワクワクね〜? 目がキラキラしてるわよ。そんな音亜ちゃんを見てると私もクるものがあるわね......」

「ん、我慢。ここはお店......もしかして酔ってる?」

「あら、私はいつも音亜ちゃんに酔ってるわよ♡」

「んぁっ」


 何に触発されて劣情を催してるか知らないけど、ここ個室とはいえお外だし。

 さらっと耳元で囁く様に言われたらゾワッてきちゃう。

 

「っ! 我慢我慢......今の表情はやばいわ」

「んぇ、表情に出てた......?」

「えっちな顔してたわよ」

「んぅぅぅぅ」

 

 私は普段から表情の変化が乏しい、えーなが関わってる時は比較的動くけど。

 関わってない時は表情筋は休暇に出ちゃう。

 そんな私の表情筋は、どうやら感じてしまったのを表情に出してしまったようだ。


 ――コンコン


「お食事お持ちしました」


 注文して然程時間を待たずして料理が運ばれてきた。

 貸し切りだから料理人もスタンバってすぐに作ってくれたのかな。

 短い時間とはいえ香りも見た目も十分、手抜き感も全然無くて食欲を唆るねぇ。


「音亜ちゃんは好きなモノ・・を食べてる時、表情豊かになるわよねぇ」

「食べ物は心の潤い、もちろんえーなも潤い。はいあーん」

「ふぐぅ......あ、あーん」


 さっきのいたずらの後で、わざわざモノって所を強調して言うんだから反撃してやるもん。

 いやまぁ......食べる側じゃないけど......なりたいけど......なんかいつも食べられてるけど......!


「おいしい?」

「うん、美味しいわね。ピザって本当に飽きないわ......」

「私も〜」

 

 その気持ちがよく分かる、ピザに骨抜きにされてる私によく効く。


「ん、美味しいね」

「ほら、唐揚げよ。あーん」

「あーん」

「どうかしら?」


 ほーこれがいい所のお肉で、いい所の料理人さんが揚げた唐揚げですか、やりますね。

 唐揚げって揚げ方とか材料とかで一気に食感が変わるし、下味でいくらでも個性が作れる。

 この店の唐揚げは結構好みかも。

 

「んむ、おいしい。えーながあーんしてくれたから数十倍おいしい」

「もーすぐそういう事言うんだから。嬉しすぎて血液足りなくなっちゃわ」

「ん、ティッシュ」

「ありがと」


 鼻血を処理して、結局終始あーん合戦で食べきった。

 えーなもお酒をごくごく飲んで美味しそうだね。

 私は酒に関してはあまり飲まないから分からないや。

 ピザと唐揚げの重い物コンビの食休みに、マカロンを片手に紅茶を飲んでまったりする。


「もう4年経ったのねぇ~懐かしいわ」」

「んっ......来てくれてありがとう。愛してる」

「......私も愛してるわ」


 表情には出てないけど、悲痛そうな空気を出しながらえーなが抱きついてきた。

 苦しいけど凄く安心できて気持ちいい。

 

 ふと過去の記憶が浮かんでくる。

 えーなと出会ったのは小学生の頃で、私は親に連れられ社交場でえーなと出会った。


 当時の私は、みんなが言うに死んだ目をしていたそうで、親から暴力を受けて育ってきた私は歪で、学校でも腫れ物として扱われて孤立していた。

 孤立していただけで、学校では特に苦しくはなかったが、灰色だった私の人生はえーなとの出会いで色付いて行く。

 

『いっしょにあそびましょう』


 えーなが私を誘って家から連れ出して遊んでくれて、文月家でお世話になる事が多かった。

 だがそれは解決ではなく、逃避でしかなかった。


 時は経って15歳の頃。

 親がやっていた事業でミスをして、敵対勢力が強硬手段......私を拉致監禁した。

 私が拉致監禁されて、それをダシに脅しもされただろうに、敵対勢力へ妥協も無く要求を断り続けた。


 結果、私の右腕がクール便で、私より先に家へ帰ったそうだ。

 私は意識が無かったから事の顛末は知らない。

 一つ判るのは、私の右腕は捜索しても見つからなかったって事。


 意識が戻った時には家に戻されていて、部屋に軟禁されることになった。

 病院ではなく、私の部屋で。

 ずっと人にも会えず、腕は多分痛かったけど、よくわからない。


 それから大体1年ぐらいが経って、16歳の頃。

 両親は何者かに殺害され、私はいきなり自由を得た。

 確か病院で手術をして、結構早く退院の許可を得ていたはず。


 それから実家ではなくマンションの一室へ案内され、そこで暮らした。

 相続したお金を使ってしばらく一人で生活をしていた。

 孤独で自由な数日を過ごし、数年ぶりにえーなが私の元に訪れ、一緒に住んでくれた。

 

 一緒に住んでからはえーなが私を介護してくれた。


『甘えていいのよ』

『ふふっ、可愛いわね』


 なんて言葉も何度も言われて恥ずかしかった。

 そんなこと言われたことなかったから。


 小学生の頃に会っていた時と比べて、えーなは自身の気持ちを正直に表現するようになったな~ってあの時思った。

 だって昔から私の事を一目惚れしてた事を知ってたから。


 ずっと好きで居てくれてた。

 えーなは私に何度も何度も、好意や愛慕の感情を伝えてくれた。

 昔っから好きだった気持ちが、深い愛に変わって私達は恋人になった。

 

 少し経って私の17歳の誕生日。

 えーなは失われた私の右腕に代わる、ハイテクな義手をプレゼントしてくれた。

 最高の頭脳達が手を組み、動作も触覚も遅延なく伝え、強い力も出せる義手が出来上がった。

 もうこれ結婚指輪と同様だよね? 指輪よりつながりを感じるもん、そりゃ神経に繋いでるからだけど。

 

 今日は珍しくえーな視点に軸を置かず、私視点の昔話バックストーリーを懐かしみながら話した。

 やっぱりえーなの表情は辛そう。


「えーな、今が大事。私はえーなを愛していて、自由に生きれる。それでいい」

「えぇ......そうね......」


 えーなは『私をもっと早くに引き取っておけば!』とたまに後悔してる。

 でもさっき言った通り、今が大事。

 今の持っている感情が、大事。

 だから気にしないでいいの、そう伝えることが私の出来る事。


「ふぅ、結構話し込んじゃった」

「そうねぇ~じゃっ気分切り替えて、他の食べ物も食べましょうっ」

「んっ」


 えーなが頭を振って切り替えて、タブレット手にして注文を二人で選んだ。

 昔がどうあれ、この時間があれば良いんだ。


 * * *


「はふぅ......いっぱい食べたわねぇ~」

「美味しかった。好きな物を食べるのは人生の潤い」

「心から人生まで昇格したわね。それじゃそろそろ帰りましょうか?」

「ん、だね――――

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