第153話 六章の登場人物
アイヴァン・マクスウェル子爵。
アルスターの街を任されている代官で、幼い頃アイザックをからかっていたカイの父親。
“ネイサンが後を継ぐべきだ”というような主義主張は持たず、有利な方に付いていたというだけだった。
しかし、当時はカイがネイサンの友人として仲良くしていた事を非常に喜んでいた。
アイザックがネイサンを殺した現場を見て“これからどうしよう”と思い悩み、酒浸りの時期もあった。
ウォルフガング。
アルスターの南にあるザルツシュタットというドワーフの街で、主にエルフ相手に商売をしていた工房の親方。
切羽詰まってアルスターに殴り込みをかけようとするなど、直情的な性格をしている。
職人としての腕は、ドワーフ全体で上の中といったところ。
マーサ。
カレンの従姉妹でケンドラの乳母を任されている。
三児の母で、アイザックに年の近い男の子もいる。
だが、夫が侯爵家の後継者争いに巻き込まれる事を嫌い、子供達をアイザックに近づかせなかった。
ちなみに、今は今で夫はアイザックを怖がり、子供に悪い影響を与えられる事を恐れて近づく事を認められていない。
マーサはアイザックのケンドラへの愛情を知っているので、アイザックの事を怖がってはいない。
スコット。
グレイ商会の王都支店で働く職人。
蒸留器を作る際、気化したアルコールを冷やしやすい作りの蒸留器を提案した。
???。
リード王立学院の教師。
魔法の世界で、科学研究を行う。
蒸留器の原型のようなものをスコットに依頼していた。
アイザックに会いたがっているが、研究一筋のため人脈がなく、面会のアポすら取れていない。
“早く入学してこい”と手ぐすね引いて待っている。
クエンティン・ウォリック。
現在のウォリック侯爵家の当主で、アマンダの父親。
先代当主であるドナルドの急死により、最悪のタイミングで当主となる。
ドナルドが死んだ事や、急な減税を申し付けられた事は全てアイザックのやった事が原因である。
だが、アイザックが裏で何をやったのか知らないので、アイザックの事を“ウォリック侯爵家に手を差し伸べてくれる救世主”のようにすら思っている。
隙あらば、アマンダをアイザックの婚約者にねじ込もうとしている。
レナード・キンブル伯爵。
リード王国の将軍。
当初、ドワーフとの交渉の護衛に考えられていたが、政治バランスを考えられた結果同行しなかった。
リード王国の隣国は友好国ばかりで王国が戦場になる事はないが、援軍として他国へ向かう事も多く、リード王国の軍人の中では戦歴が豊富な方である。
ルドルフ。
ドワーフの国、ノイアイゼンでも大きな工房を持つ。
ノイアイゼン評議会の評議員でもある。
胸まである長い白髭が特徴的。
孫が可愛く、経験を積ませてやろうとリード王国との話し合いに同行させる。
本当はジークハルトに商人ではなく、職人の道を進んでほしいと思っていた。
ジークハルト。
ルドルフの孫。
自分には職人は無理だと才能の限界を感じ、商人を目指す。
頭はいいが、まだまだ経験不足なので、人間との話し合いに同行する事を頼み込んだ。
商品を見定める目はあり、洗濯バサミなど地味な物でも“これは売れる!”と見抜いた。
ただ、頭がいいせいか深読みし過ぎる傾向がある。
その深読みがアイザックに利する事となったが、同時に期待のハードルも高められて困らせる事にもなった。
ロジャー・ブリストル伯爵。
ウェルロッド侯爵領の西隣にある、ブリストル伯爵家の当主。
王都の商人達がグレイ商会に利益を独占させないために“ブリストル伯爵領にノイアイゼンとの交易路を作ろう”と話を持ち掛けられる。
交易路ができれば、当然領内も潤うのでそれに飛びついた。
しかし、それを面白く思わなかったアイザックの離間の計にハマり、弟と交易路を失うハメになる。
コンラッド・ブリストル。
ロジャーの腹違いの弟。
妾の子という事もあり、父からは冷たくされていた。
寂しがっているところにロジャーが優しく声を掛けてくれ、それ以来兄を慕うようになった。
しかし、兄の役に立ちたいと頑張って結果を出し過ぎたのか、コンラッドの事をロジャーは段々と嫌うようになっていった。
だが、コンラッドは嫌われているとは気付かず、ロジャーのために頑張る事しか頭になかった。
その隙をアイザックに突かれ、妻子と共に兄に殺される事となった。
ケント。
ラセット商会の会長。
主に家具を取り扱っており、かつてはメリンダにも納入していた。
普通の貴族相手ならば交渉をするところだが、アイザック相手には被害が出る前に白旗を揚げた方がいいと知っていた。
これはカーマイン商会とは長い付き合いがあり、アイザックとのやり取りを聞いていたお陰だった。
アイザックが”普通の貴族”や“普通の商人”とは違うという事を知っていたお陰で、ドワーフとの交易のおこぼれに与れる事となった。
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