第2話
白い光が消えた。
どうやら俺たちは、無事に異世界に到着したようだ。
「おーー!」
来たー―! 異世界だー!
ここは洞窟のような感じだけど、明るいな。
あたりを見回すと青や黄色、ピンクなどきれいな鉱石が輝いていた。
『ようこそ剣と魔法の世界へ』
どこからか声が聞こえる。これが『天の声』っていうやつか。
『あれ、もしかして聞こえてませんか? あーあー』
「聞こえてますよ」
『おぉ! 申し訳ありません。 恥ずかしいところをお見せしてしまいました。では、さっそく自己紹介をさせていただきます。初めまして白谷雪様、黒澤要様。私はこの世界担当の神の一人、情報の神と申します。何卒よろしくお願いいたします』
また変わった神様が出てきたな……。でも、よくアニメとかで聞くハキハキとしたきれいな喋り方だ。
『先ほどは私の部下が失礼いたしました』
え、さっきの妖精の神様、『天の声』の部下!? やっぱり神の世界にも部下と上司とかあるんだ。
「い、いえ」
『お二人は無欲な変わった人だと部下たちから聞いております。そんな貴方方のために私と彼女たちからのギフトを送っておりますので、後ほどご説明します』
アハハ。変わった人って、なんか失礼じゃないか? ま、別にいいけど。
にしても、ギフトってなんなんだろ。
『ではまず、ステータスについてご説明します。心の中で〈メニュー〉と唱えてみてください』
来たー―! ステータスってあれだよな!? レベルとか攻撃力書いてるやつ!
よし、じゃあさっそく。
〈メニュー〉
おぉ! なんかいっぱい書いてる! どれどれ~?
〈名前:白谷雪 種族:人族 Lv:100
HP:20000/20000
SP:20000/20000
MP:20000/20000
物理攻撃力:20000 物理防御力:20000
魔法攻撃力:20000 魔法防御力:20000
魔法属性
火 水 土 風 光 闇
スキル
「鑑定Lv10」「念話Lv10」「念写Lv10」「探索・探知Lv10」「催眠Lv10」「隠密Lv10」「鎖操作Lv10」「創造Lv10」「情報Lv10」「成長Lv10」「俊足Lv10」「超回復Lv10」「超耐久Lv10」「超無効Lv10」「剣技Lv10」「HP自動回復Lv10」「SP自動回復Lv10」「MP自動回復Lv10」「経験値獲得増加Lv10」
固有スキル
「完全回復」「一撃」「威圧」「支配」「スキル吸収」「経験値吸収」「動体視力強化」「視覚強化」「聴覚強化」「臭覚強化」「瞬間移動」「転移」「分身」「魔法の創造・操作」
持ち物
マジックバック(無限の水袋、キューブハウス、タオル×4、毛布×4、地図))〉
……なんなんだ。これは。ありえない。チートすぎやしないか? え、なに。これがギフト!? 神様太っ腹だな。
「あの、これって」
『はい。私たちからのギフトです。ちなみに貴方方には、同様のステータスと持ち物を付与しています。また、それに加え、前世得意だったことをスキルとして、白谷雪様には『俊足』を。黒澤要様には『家事』を付与しております』
す、すごいな。ん? 『家事』? あの人の得意なことが『家事』って。一緒に家事をするような彼女とか奥さんがいたとかかな。その相手が羨ましい。
『ちなみに、Lvを100。HP、SP、MP、攻撃力と防御力、全て20000にしておりますが、それはこの世界で最高の数値です。できれば悪事に使おうとはしないでください』
わー、出たでたでたでたーー神の力! あと、なんか適当感のある設定だな。
『この数値は勇者、魔王、ドラゴンの長。すべてと同時に戦っても負けないステータスとなっております。このステータスにさせていただいた理由は、キリがよかったのと、この世界を貴方方に変えていただきたいからです』
あ、やっぱり適当だった。それと対照に世界を変化させるって。めちゃくちゃだ。
『また、〈メニュー〉と心の中で唱え、選択したいスキルや持ち物を選択すると、それぞれの内容がわかります。使用する際は〈ユース〉と唱えてください。名前を口に出すことによっても発動できます』
なるほどなるほど。こういうところはゲームっぽいな。
『次に魔法の使い方について。先ほど部下から聞いたとは思いますが、この世界は人族、獣族、妖精族、魔族、ドラゴン族の全五種類の種族が存在します、人族は「火と水と光」を、獣族は「土」を、妖精族は「風」を、魔族は「闇」を、ドラゴンは「火と風」を。このように各種族ごとに持っている属性は異なります。しかし、貴方方には世界を変えるという使命を果たしていただきたいため、全属性を付与しております。全属性を持つということは、それらすべての属性魔法を覚えなければいけません。そこで、貴方方しか使えないスキル〈魔法の創造・操作〉を付与させていただきました。このスキルの効果により、貴方方自身のイメージで魔法を産み出し、操作することができます。イメージがより具体的なほど、より強く安定した操作が可能となります』
ということは、いろんな技を編み出せるということなのだろうか? 詠唱とかめんどくさいもんな。覚えるの。
『この世界において魔法は、親や師から学び、訓練して習得するもの。そのため、貴方方が新しい魔法を創れば、それを誰かに教えることで、魔法の引継ぎも行えます。仲間ができたら試してみてください。また、(魔法の創造・操作)は常時発動をおすすめします。いついかなる状況で魔法が必要になるかわからないので。ここまでで何か質問はありますか』
「いえ、ありません」
というかいろいろすごすぎて頭が追い付かない。とりあえずわかっているのは、この世界で俺たちは最強で、俺たちの使命は、世界を変えるということ。
そんなことを考えていると、あの人が口を開いた。
「あの、世界を変えるっていうのは、どのように変えればいいんでしょうか。種族関係なく平和になるような世界にすればいいんでしょうか。それともどこかの種族を、力でねじ伏せてしまえばいいんでしょうか」
たしかに。それは俺も疑問だ。それにしても極端な考え方だな。
『どちらでも大丈夫です。貴方方の好きなようにしてください。本心としては前者の平和的変化を望みますが』
「わかりました」
俺も平和的解決の方がしたい。でも、あの人はどうやってこの世界を変えるつもりなんだろ。俺と同じだったらいいんだけど……。
『では最後に持ち物についてご説明します。まずはマジックバック。これは4次元ポケ〇トだと思ってくれてかまいません。次にキューブハウス。これは、マンションの一部屋をそのまま閉じ込めたようなものです。中には、洗面所、風呂、簡易キッチン、寝具、衣類を完備しております。ちなみに洗濯機や冷蔵庫などはありませんので、生活魔法を創造しておくことをおすすめします。窓がないため、外の状況は見えません。そのため、常にスキル〈探索・探知〉は発動しておくとよいでしょう。中は安全ですが、外に出た時に囲まれていてはいけないので。あと、貴方方は[四季の土地]を拠点にするとよいでしょう。ここは貴方方が以前いた、日本の気候とほとんど同じなのですが、どの種族もその気候に適した生活知識を持っていないため、今はだれのものでもありません』
キューブハウスって何!? 異世界系のアニメでそんな道具見たことないぞ!
「以上が私からの説明となります。ここから先、私は貴方方への助言など直接的干渉は行えません。スキルを新たに追加された場合や、そのレベルが上がれば、ご連絡申し上げていきますのでその時はまたよろしくお願いいたします。では、また」
え、まってまって。なんかほとんど一方的だったぞ。
まぁいいか。とりあえず。
異世界生活の始まりだ―――――!
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