第19話 紅蓮

部活では、俺はそれはもう熱心に練習に打ち込んだ。

俺が入部したテニス部で、俺と同学年の赤堀という男がいた。

赤堀は中学時代、テニスの中学生都大会で、ベスト4まで進んだ男だ。

この男は極めて庶民的な感覚を持った優男で、俺のようなはぐれ者にも気安く声をかけてくるような男だった。

俺は赤堀からテニスの技術を盗もうと思った。

俺はこの世界のあらゆる能力は模倣で習得できると考えた。

皆この狂った社会でピエロを演じる劇団員でしかない。

いかに自分が優れた表現力のあるピエロであるかを競っている。

哀れな光景さ・・・。

正気を保っていられるのは、サーカスの胴元だけさ。


俺と赤堀は、身長もそう変わらない。体は普段から鍛えていた。

俺は赤堀に教えを請い、着いて学ぶようになった。

お人好しだった奴は、心から親切に俺にテニスを教えてくれた。

奴の指導は、顧問が俺たちに語る根性論の何倍も具体的だった。

教師など取るに足らない存在だという事実を、俺は幼少期から知っていた。

俺は奴らを信用しちゃいなかった・・・。

俺は順調に実力を付け、一年の中じゃ、赤堀の次に強くなっていた。

周りの奴らは甘すぎた。

奴らは学校生活というものを、お遊びとしか考えていないのさ・・・。

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