用語解説第5章分 & 動植物類まとめ

■■■ 用語解説第5章分 ■■■


【麹菌の単離】

 参考にした書籍

 『灰と日本人』 小泉 武夫 (著)  中公文庫

 なお本文中の方法は書籍に載っていたものと比べると若干簡略化しています。


【エビ養殖場】

 今回主人公が真似たのはインドネシアで行われていた伝統的な養殖方法のひとつ。

 本来は、

  ① 養殖池は天然のマングローブ林等の植生を残した形、元からある窪地を使ったり堀を掘って堤防を作ったりして造成する。

  ② 満潮時に水門を開いて海水とともに入ってきた魚やエビ等を一定期間池の中で成長させ収穫する。餌やり等は特に行わない。

  ③ 収穫は干潮時に行う。網を設置した後水門を開き、排水しながら網でエビや魚を捕獲する。途中何回か網を引き揚げ選別する。

といった方法で行われる。


■■■■■ 動植物 まとめ ■■■■■


■■■ 植 物 ■■■


●● シダ植物 ●●


【ヘイゴ】

 この付近で一般的な樹木とされるシダ類の一種。地球上のヒカゲヘゴに近いが不定根は目立たない。幹(維管束)部分は太く頑丈で高さ最大で15m程まで成長する。

 なおヒカゲヘゴは沖縄にも生えている巨大なシダ。若芽の毛をむしって皮を剥げば食べられる。また芯の部分は煮ると大根に似た味になるとされる。


【トルデア】

 ヘイゴに似ているが更に湿気た場所を好むシダ類の一種。ヘイゴより原始的な種とされている。葉がやや幅広く短い事、新芽の形がヘイゴと異なることから見分けがつく。樹高もやや低く10mには達しない程度。

 用途はヘイゴとほぼ同じ。


【オーラム】

 汽水域の泥地に生えるシダ類の一種。ヘイゴやトルデアより樹高がかなり低く高くても5m程度まで。葉はヘイゴより幅が広く厚みもあり、一見しただけで違うとわかる。

 惑星オースにおいてマングローブ的な役割を果たす植物のひとつ。汽水域に適応し塩分を独自に排出する機構を持つ。食用にはならない。

 地球上にあるミミモチシダ類と同様だがより原始的な種。


【サツテソク】

 内陸部の湿地に生える大きくても全長2m程度のシダ。

 出てきたばかりの若芽(ワラビに似ている)を食用にする。

 


【セテリム】

 乾燥に強いシダ類の仲間。地球上で言うところのトクサに近い。なおスギナはシダ植物門トクサ綱トクサ目トクサ科トクサ属。

 


●● 裸子植物 ●●


【ビアルネイパ】

 この付近で一般的な雑草。地球上で言うところの裸子植物。

 なお地球上でこれに近いとされたウェルウィッチアはグネツム綱に属する裸子植物。和名サバクオモト。アンゴラ及びナミビアのナミブ砂漠に分布。


【クァバシン】

 俗に木豆とも呼ばれる。雌雄異株。地球的分類では原始的な裸子植物で、地球のソテツに近い。ヘイゴやトルデア等より乾いた半日陰の場所を好む。

 なお地球上のソテツも実を食べたり幹の芯部分からデンプンをとる事が出来る。ただし水溶性の毒があり、それなりの処理をする必要がある。


【テジャネ】

 俗に蔓芋とも呼ばれる。雌雄異株。グネタムと遠縁くらい(目は同じで科が違う程度)の蔓性の樹木。根の部分に栄養分をため込む性質を持つ。

 現在の地球上には似た植物はないが、種類としてはグネツム属に近い。


【グネタム】

 小麦代わりに栽培されている蔓性の樹木。雌雄異株。元はベルファス大陸内陸部が原産地だが、現在では惑星オース全般に広まっている。品種改良されており、元は温暖な地の作物であったが現在は寒冷地まで広く栽培されている。


 畑では藤棚やブドウ畑のように棚をつくり栽培されている。ヒラリアでは夏の終わりにピーナツくらいの実が20個くらい、ブドウの房のようについて実る。


 実は最初は緑色で成熟するにつれ黄色、赤色と変色する。

 種子部分の成分は硬質小麦に近く、粉にされ小麦粉代用品として広く流通している。

 また実の他、若い葉も野菜として食べられている。


【グノトム】

 グネタムと近縁種。成分がやや異なり、こちらはもっぱら酒用として作られている。外見やその他の特徴はグネタムとほぼ同じ。

 

【アルカイカ】

 アローカの近縁種。アローカと比べて実が大きいがなる数は少ない。

 乾いた風通りの良い場所ではクァバシンより優勢で、付近の日当たりが良く風通しの良い尾根等はこの木が多い。


 地球でいうところの裸子植物で松に近い植物。雌雄異株。いわゆる松の実と同じように、球果の中の種子部分を食べる事が出来る。

 また葉を乾燥させた後粉末にして、煎じて茶の代わりにも出来る。


【アローカ】

 アルカイカの近縁種。本来はアルカイカよりやや寒い場所の種だが、穀物代わりに栽培されたものが各地に広がっている。

 やはり地球でいうところの裸子植物で松に近い植物。雌雄異株。種子部分の大きさと形、味が米に似ているらしい。


 実は小さいが数多くなるので穀物代わりに栽培されている。種子部分の味も大きさも地球上の米と似ている。

 残念ながら主人公の土地には自然には生えていない。


●● 被子植物 ●●


【キーンヌカ】

 本来はやや寒冷な地域の内陸部に分布する高さ50m以上になる樹木。

 ただし樹液から砂糖をとる為に品種改良が繰り返され、現在は樹液の量及び糖度が高い矮性品種が温暖な場所を中心に栽培されている。

 ヒラリア共和国ではリアベルガ島北部内陸地域、シルベルザ島北部が主な栽培地。


【グローラ】 

 半陰地を好む常緑樹。樹高概ね15m程度。早春に細長い花弁を持つ花を咲かせる。花は甘い香りがあり精油を取る事もある。葉や実は毒があり食用にはならない。


 被子植物のうちごく初期の植物で、地球におけるモクレン科に近い種類。


●● それ以外 ●●


【クロショロ】

 キノコなので厳密に言うと菌類。アルカイカの林をよく見ると生えている事が多い。食用になる。見た目と味はトリュフに似ているらしい。



■■■ 爬 虫 類 ■■■


【アルパクス】

 中型の肉食爬虫類。概ね全高80cm体長200cm程度、体重40kgまで。2足歩行で前肢には3本の鋭い鉤爪が生えている。アルケナスと比べると細いが獰猛。

 地球に存在した中ではヴェロキラプトルに似ている。身体は鱗ではなく灰色の羽毛に覆われている。


 なおヴェロキラプトルは原鳥類に含まれ骨格的には鳥に近い。主人公がアルパクスを捌いた際も基本的に鶏と同じ方法で行う事が可能だった。


【アルケナス】

 中型の草食爬虫類。概ね全高80cm体長220cm、体重80kg程度まで。4足歩行。地球の中生代後期にいたプロトケラトプスに似ている。

 身体は黄緑色の鱗で包まれている。


【ミルロケナス】

 小型の草食爬虫類。概ね全高30cm体長70cm、体重7kg程度。 基本的には2足歩行だがアルケナスと近い種。主にソテツの森等、比較的乾いた森の中にいる。

 地球上の白亜紀後期にいたミクロケラトゥスに似ている。


【デルパクス】

 小型の雑食爬虫類。概ね全高30cm体長70cm、体重6kg程度。

 大きさはミルロケナスと近く頭の形以外は似ているが、系統としてはアルパクスに近い種。ミルロケナスより温暖な場所に分布している。

 ミルロケナスと違うのは特定の季節に繁殖するという習性がない事。卵をとるにはこの方が便利なので多く飼育されている。

 卵も肉も(食べる分には)地球の鶏とよく似ている。


【イルケウス】

 小型の雑食爬虫類。最大で体長40cm体重10kg程度。恐竜より大トカゲといった雰囲気の動物。

 地球上ではムカシトカゲが最も近い。アルパクス等とは同じ爬虫類であるが系統的には遠い種。

(イルケウスとアルパクスより、鳥類とアルパクスの方が系統的に近い)

 アルパクスと違い鶏と皮や骨格等がかなり異なる為、主人公もさばき方をまだ試行錯誤中。


【ダルサラス】

 小型の半水生爬虫類。体長最大で80cm程度。淡水域~沿岸部に生息する。魚食性。主人公は水上から見てイルカに似ていると思ったが、実際はあまり似ていない。

 地球上に存在した生物ではダラサウルスに形状が似ているが、種としてはムカシトカゲに近い。

(形態はかなり異なるが系統的にはイルケウスに近い)


■■■ 魚類 ■■■


【シプリン】

 全長最大1m以上になる硬骨魚。幼生時は木の葉状の形をしている。沿岸部および汽水域に生息。

 地球上のイセゴイに似た魚。


【スコンバ】

 全長最大80cmになる硬骨魚。沿岸域および大洋浅海に生息。フライにして食するが生でも可。毒は無い。

 地球の魚では、絶滅したパキコルムス科に近い種類。


【ハピタ】

 全長最大1m近くになる硬骨魚。沿岸域および大洋浅海に生息。スコンバと近い種類だがスコンバより身の赤みが強い。食べられる。

 スコンバもだがガーパイクのような固い鱗を持つ。


【レジペイド】

 汽水域~沿海域。主に砂泥底にいる。最大で1m以上。雑食性。食用可能。形は違うが下のゴヌールと種の系統は近い。

 地球のネズミキスと似た魚。


【ゴヌール】

 汽水域~沿海域の底に近い部分に生息。最大で1.5m近くまで成長する。雑食性。レジペイドの近縁種。地球のサバヒーに近い魚

 サバヒーは別名ミルクフィッシュとも呼ばれ、単一の魚種では世界一の養殖量とも言われている。東南アジア諸国では一般的な食用魚。


【ノータス】

 汽水域~淡水に生息。全長1メートル程の硬骨魚。ガーパイク的な見た目。鱗は固いが熱で剥がしやすくなる。白身で主にフライにして食する。


【アメラ】

 汽水域~淡水の湖等に生息。全長50センチ程度の硬骨魚。ドジョウを大きくしたような見た目。崩れやすい白身でやはりフライ用。


【トリアキス】

 流れの穏やかな内海に生息。全長80センチ程度までの軟骨魚。日本のドチサメに近く色も白と茶色。バター焼きにすると美味しいが生でカルパッチョもいい。


【サイパ】

 内海や湾内に多く生息。最大で全長25センチ程度までの軟骨魚。頭と胸ヒレが大きい不格好な魚。白身で案外美味しいらしいが街には出回らず、海辺でのみ消費されている。


■■■ 節足動物等 ■■■


【プラワナ】

 エビの一種。汽水域や沿岸域の底が泥質の場所に生息。1年~3年生で最大20cm以上になる。雑食性で藻類や貝類、多毛類などを食べる。



【ムカデ】

 30cm定規位あるらしい。胴が黒色で足はオレンジ色で気持ち悪い。


【蜘蛛】

 脚を伸ばして測定すると全長50cm近い。黒色に黄色い模様。

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