心理ゲーム
@sorano_alice
第1話 送られる手紙
生徒会室。高校三年生には4組、A、B、C、Dクラスが存在する。特にクラスはランダムだったがAクラスは正統派の人物が多い。Bクラスは近寄り難い人物が多い。Cクラスは人望が厚い人物が多い。Dクラスは変な生徒が多い、と勝手に決めつけられていた。
生徒の評価的にはA、C。その次にB、最後にDクラスと順位付けもされている。その中でもオレンジのロングの髪をした彼女は正統派、Aクラスの生徒会長。柏木日華(かしわぎ ひゅうか)だ。
夏休みも過ぎ、生徒会室で文化祭の資料を見て困惑していた。
「はぁー?」
「どうしたんですか生徒会長」
「ただでさえA組とC組の出し物は演劇で体育館ステージ争いしてるのにそれもどのクラスにも伝えたのに知ったうえでB組も演劇するってさ、D組の屋台しか決まってないよ」
「A組とC組に対する嫌がらせでしょうか?」
「降りようかと思ったけどA組はA組なりに譲れないものがあるしさらには降りたところでB組も参戦してきたからね」
「別にそんな小さいこといいんじゃないかな?共同で」
「D組は決まってるから好きに言えていいよね、そう簡単に行かないでしょ」
悩まされるA組生徒会長の日華だった。
金の瞳はとらえた、その矢を。青髪の短髪をした生徒。もう退部したが元弓道部部長、C組の春日部羽衣(かすかべ うい)。後輩たちを温かく見守っていた。
「あ、春日部先輩、お疲れ様です」
「お疲れ様ですね」
彼女は無口なクールで男女下級生問わず慕われている。しかし、Cクラスの学級委員というわけではない。あまり争いを好まない彼女は文化祭の出し物を演劇から変えたかったがCクラスの学級委員の意志が強かったのか一歩も引かないでいた。ただ、A組とC組の対立、その光景を見つめることしかできなかった。
その日の総合の時間。話し合い、この時点で異変は起きていた。B組の学級委員、真島雄希(ましま ゆうき)。彼は黒いフードを身にまといゲーム部に所属している。しかしそもそもこの学校にゲーム部など存在しない。正式に認められてない上に所属人数も謎だ。
B組の文化祭の出し物は教室でお化け屋敷、の予定だった。しかし雄希によって打ち消され演劇にしてみないかい、と言い始めた。
「はぁ?なに言ってんだぁ?演劇はAとCで揉めてんだろ?」
「僕を何部だと思っているんだい?ゲーム部だよ。ゲームで解決しまえばいいじゃないか」
「まだお前くだらねぇこと考えてたのか」
「一位が演劇二位と三位と四位はそうだな、B組が勝手に決めるのも悪いから僕が一番わからない人にでも頼んでおいたよ。その三つから二位の人から選べるようにね」
同じくB組。赤髪ロングの彼女は話さない。小柄だが一匹狼のような存在。そんな彼女の手元に手紙が入っていた。中身を空けてみる。
第一希望、演劇(体育館)
第二希望、空白
第三希望、空白
第四希望、屋台(学校玄関付近)
「はぁ…?」
天上砂奈(あまがみ さな)。彼女はとりあえず思ったように第二希望と第三希望を書いてみた。
第二希望に演奏(音楽室)
第三希望にレストラン(家庭科室)と。
裏にはこう書かれていた。先生から大事な話がある。土曜日、必ず体育館に来るように、と。
砂奈は帰宅部だ。行く必要などない。しかし相談する相手もいない。家にいても暇だ。暇つぶしに行ってみてもいいか、と砂奈は思うのだった。
学級委員ではないがDクラスの白いロングの少女、成瀬美白(なるせ みしろ)は文化祭の出し物が決まっている。賭け事が好きな彼女はDクラスの学級委員と金をかけて成瀬の屋台か学級委員の演奏か、を決める賭けに勝利した。ついでに金も学級委員から奪っていった。Dクラスには変な生徒が多いと言われるがその理由のだいたいが美白にある。
「今日は誰落とそっかなー」
休み時間、B組の雄希と出会った美白。雄希は悔しそうな眼と挑戦的な目で美白を見ている。以前、雄希は美白との賭けに自分の作ったゲームで負けている。5000円かけた3戦で2勝したほうの勝ち。雄希は0勝。だがもう5000円上乗せして5戦勝負にするも0勝3敗。完全敗北している。
「雄希じゃん、今日も美白とやる?」
「くっ…D組はいいね、AとCは演劇で争っているようだからBも争わせることにしたよ」
「いいじゃんそれ、美白も混ぜてよ、ゲームっしょ」
「君なら簡単にD組を操れるんだろうね」
雄希はさらに生徒会長のA組の日華に会った。彼女には生徒会長の座を取られたという意味で敗北している。
「メンバーは美白と日華と…」
Cクラスにはみんなの輪の中心にいる人物がいる。春日部羽衣だ。雄希は彼女の座に憧れた。雄希はこの人物をもっと知りたいと思った。
「羽衣、そして僕がルールを知っていて参加しては何の意味もない」
Bクラスで机に寝そべる一匹狼、彼女は第二希望と第三希望に何と答えたのだろうか。
「砂奈で決まりだね」
Dクラスはトラブルが多い。特に友達もいない美白は自由翻弄だ。目的のためなら人を利用し、騙し、偽り、手段を択ばない。Dクラスが悪い評価を受けていることも気にしたことがなければ悪口を言われていても気にしないだろう。
「学級委員長ー、美白さー、演劇部やってみたいんだけどー」
「美白、あんた馬鹿なの?AクラスとCクラスが演劇で争っている中でせっかく私に勝って屋台にしたのに今度はAとCに喧嘩売る気?」
「美白に負けたのは誰だったかなぁー?」
「あんたねぇ…」
「そういえば学級いいんちょDクラス馬鹿にされるの気にしてるんでしょ?ならいいチャンスじゃん?叩き潰す?」
「勝算はあるの?」
「うちを誰だと思ってるのかなぁー」
成瀬美白に言葉で勝てる人間はまずいない。ゲームですら雄希は敗北している。ギャンブルの類になると止まることを知らない。
美白により洗脳されていくDクラス学級委員長はA、Cクラスに反撃の狼煙を掲げた。
放課後の生徒会、Bクラスの文化祭の出し物が演劇と3クラス同じ事態にまたしても恐ろしいことが起きた。次の資料にはDクラスは屋台取り下げ、演劇希望とDクラスまで演劇となっている。頭を抱える日華。
「はぁ…Dクラスは何がしたいの、ねぇ、君たちのクラスだよね?」
「そうですけど、あれ、屋台のはずだったのに。資料を触れるのは学級委員長だけなんですけど…」
「もう暗くなるわ、ちょっとどうしようかなこれ…」
難問を抱えたまま日華は生徒会室を出る。
「生徒会長、手紙を落ちてますよ、ラブレターですか?」
「誰かの悪戯っぽいけど」
中身を見てみる日華。
どのクラスが演劇をするか明日の土曜日、体育館で決めよう、と書かれていた。
「9時に体育館ねぇ…生徒会の誰かが書いたのかぁ?」
「生徒会長、どうしました?」
「別に、何でもないよ!」
気を取り直して物は試しに行ってみようと思った。
羽衣は、家に帰るとかばんから見慣れぬ手紙が出てきた。そこにはこう書かれていた。
助けてください、明日体育館に来てください、と。
羽衣は非常に人思いな人物。見て見ぬふりなどできない性格。今からでも行ったほうがいいのでは、とも思ったが明日と表記してある。明日何かされるのかもしれない。もちろん羽衣は行く覚悟をした。
雄希から情報を聞く。
「ふーん、なるほど。明日の9時に美白が体育館に行けば生徒会長と羽衣と来るかはわからないけど砂奈が来るんだねぇ?来なかったらどうするか考えてるの?」
「僕と砂奈は同クラスだ、来なければ最悪僕が出よう、自分の作ったゲームで負けるわけにはいかないけど僕は分かってしまってるから出れないな」
「美白に臆しちゃったかー、弱くなったねぇ。でも砂奈か、確かに読めないね。それに一対一ではない。そうなると生徒会長やましてや協力戦なら羽衣の人望も生きてくる。なら賭ける?美白が一位になったら5000円、それ以外なら支払うよー」
「今回は砂奈という全く読めない人物もいる上にルールもわからないよ。それでもいいのかい?」
「美白がこの手で臆すと思う?」
「思わないな、じゃあ一位以外なら逆に僕に支払うといいよ」
「そんなもの迫力に欠けるね、2万だよ、君と日華と砂奈と羽衣の四人全員に支払うよ」
「君は負けを知らないな…好きにするといいよ」
「さーて、どんなゲームかなぁー。利用するか、騙すか、偽るか。それ以外だったりねー」
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