放蕩息子の帰郷

キャバレヲン

放蕩息子の帰郷

母ちゃんこの目を閉じないで

嘘か真か

見ねぇとならねぇこの目玉


両手を広げて

母ちゃん俺を抱きしめてくれ

湖に架かる橋の真ん中で

俺の帰りを出迎えて

根掘り葉掘り聞いてくれ

俺がどんだけふざけてきたか

あらゆるもの

ありとあらゆるものをどうやって信じなかったかを


垂らし込んだ女をどうやって捨て去って

垂らし込まれた女にどうやって捨て去られたかも

湖に架かる橋の真ん中から

母ちゃんと俺たちが住んでた橋のたもとまで

あの山々さながら積もった話し


母ちゃんと親父が映った写真

白黒の

母ちゃんと親父と兄ちゃんが映った写真

モノクロの

そして母ちゃんと親父と兄ちゃんと俺とが映った写真

色褪せたオールカラーの


その写真に映った俺の綺麗な目玉

片方の目には希望の希

残りの目には希望の望

瞬きするたび世界が廻った



だから母ちゃん

俺のこの目を閉じないで

嘘か真か見定めなくっちゃ

すっかり汚れっちまった俺の目玉が

こん次瞬きするのは

母ちゃん

懐かしいあの世で俺が母ちゃんにどやされる時




この世から

神さまから逃れて

親子水いらずで

俺に瞬きさせてくれ

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