第25話
迎えた卒業式当日。
式には制服で参加。色々あったけれど、学院を卒業出来たと思うと、とても感慨深いわ。ファーム薬師長のおかげね。
久しぶりにクラスメイトと会い、話に花が咲いたわ。色々と積もる話もあったけれど、卒業パーティーに向けてまたね、と一旦王宮寮の我が家に戻る。
「トレニアお嬢様、今日はばっちり着飾りましょうね!」
そう言ってローサは私をピカピカに磨き上げ、ファーム薬師長から頂いた濃紺で金糸のレースをあしらったドレスを着せてばっちり濃いメイクを施す。こんなに素晴らしいドレス、着た事が無いわ。
ファーム薬師長、ありがとうございます!
「ローサ、ありがとう。何だか私じゃないみたいだわ」
ローサは自慢気に腕を組んで、
「トレニアお嬢様は地はいいのです。着飾らな過ぎるのですよ。まぁ、あの家族がそうさせていたのですが。トレニアお嬢様の自己評価が低いのもあの家族のせいですからね!」
ローサは怒りながらそう言っている。まぁ、自己評価が低い事に間違いは無いので何も言えないわ。
ローサと待ち合わせの場所である王宮馬車乗り場前に向かうとナザル薬師が髪をきっちりセットした濃紺のタキシードで待っていた。
「トレニア嬢、なんて美しいんだ。是非僕にエスコートをお許し下さい」
うやうやしい態度で手を差し出されたわ。
「ナザル様もとても素敵ですわ。本日のエスコートを宜しくお願い致します」
そう告げてナザル様の手を取り馬車へと乗り込む。ローサは涙を目に浮かべながら馬車に乗り込む私達を見送ってくれた。
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