えっちなほん、すきなんでしょう?
「おい、上川もこっち来いよ!」
珍しく声をかけてきたかと思えば、
「どうしたの、これ?」
「スカした顔しやがって。タコさんからの寄付だって。お前だって、こういうの好きだろ?」
ニヤつく大國。本当に良い性格をしている。そして、近所のアニキ、タコさん。だから彼女ができない――とはあえて言わないけれど。
俺が言葉にするより早く、にゅっと顔を覗かせたのは雪姫だった。そりゃ、そうだ。ずっと手を繋いで行動する俺達だ。俺が視線を向けたら、雪姫もそれは同様に気になるワケで。
「上川は
大國がにやつく。メイド服の子が、縄で縛られている。ある意味、この手の雑誌には珍しく、耽美的な姿の被写体。雪姫が雑誌を見やりながら「むむむ」と唸って――うん、イヤな予感しかしないね。
「冬君も、こんな風に私を縛りたいの?」
真っ直ぐな眼差しで、そんなことを言う。まさに爆弾発言だった。
「「「「「「はぁぁぁぁぁっ?!」」」」」」
「ちょっと、雪姫ちゃん? 高校生は清き美しいお付き合いというものをだな!」
「大國君は清いの?」
「ん、んぐっ」
真っ直ぐな眼差しで完全封殺。
「お、おいっ! 上川! ダメだぞ、こんなこと。破廉恥だ! 雪姫ちゃんがの純粋さを逆手に取るような真似を――」
純粋というか、好奇心旺盛というか。それこそ、文芸部の女子は腐女子のレベルがレベル感とす気味であるのだが。大國の先入観を壊すのも、あまりにも可哀想な気がして。
だから俺は、話題転換といわんばかりにツンと雪姫の鼻頭を指で弾いた。
「雪姫、ダメだよ。そういう話は二人っきりの時にね?」
そう耳元で囁いて――何故か、周囲の女子軍団が騒がしくなった気がしたが、とりあえずスルー。攻められたら弱い、赤面する雪姫さんの手を少しだけ強引に、俺の方へと引き寄せた。
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なお大國君が、彼を慕う後輩の女の子に折檻されたのはまた別の物語。(密告者 by 真冬)
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