君は待ってくれない

 ――わざわざ待ち合わせしなくても、現地集合で良くない?


 呆れている? そう思うけれど、君は全然イヤそうな顔をしないんだもん。時々、ワザとかな? って疑いたくなってしまう。


 いつもの4人、公園でストリートバスケ。その前の特別な時間。君は分かってないだろうなぁ。4人で過ごす時間はかけがえがない。でも理由をつけて、君と過ごす時間が大切なんだ。


 それは待つ時間もふくめて、全部ぜんぶ。


 これからバスケットボールをするんだ。オシャレなんかできない。でも、ちょっとした変化をアクセントに。今日は君が買ってくれたヘアピンをつけて――。







「お待たせ。お? やっぱりそのヘアピン可愛いじゃん」

 鼓動が落ち着くまで、君は待ってくれない。





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毎月300字小説企画

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