57話 甘えん坊モード嫁とイチャイチャ



 社員旅行を終えた俺は、駅で待ってくれてた真琴まこととともに、自宅へと帰ってきた。


真琴まことさんよ」


「なんだいお兄さん?」


「家に着いたんで……そろそろ腕を放してくれませんかね?」


 俺の真横には、黒髪清楚な美少女、真琴まことがいる。


 部活帰りだからか、ジャージにポニーテール姿だ。


 ニコニコと上機嫌に笑いながら、俺の腕をぎゅっと抱きしめている。


 ……再開してから今の今まで、ずっとこの状態だ。


 電車に乗るときも、乗ってる最中も、家に帰るまでも……真琴まことは腕にコアラのごとくひっついていた。


「いやでーす♡ ただいま真琴まことさんは、充電モードなんです~♡」


 トテモうれしそうに、真琴が笑いながら言う。


「充電とは?」

「1日あえなくて、お兄さんが不足してるんだ! だからこうしてくっついてるの」


「離れるとどうなる?」

「お兄さんが足りなくて……どがーん! ってなる」


「それは大変だ」

「でしょー。だから放しませーん」


 ふふっ、と真琴がぎゅっと俺の腕を抱きしめる。


 1日会えないだけでさみしかったのか。

 まったく、可愛いやつめ。


「でもそろそろ腕がしびれてきたんだが?」


「じゃー……とりゃー!」


 真琴がジャンプして、後ろから俺に抱きついてくる。


「このまま……おんぶ!」


 ぎゅーっ、と俺の体に抱きつく真琴。

 ジャージの薄い布のむこうで、ぐにゅりと大きな胸が押しつぶされる。


「いやおんぶって……」

「リビングまででいいからさ~♡ おぶってってよ~♡」


 ねーえー、と真琴が甘えた声を出す。


「なるほど……甘えたいんだなおまえ」

「そうだ! ぼくはお兄さんに、いーっぱいいーっぱい、あまえたいのだー!」


「まったくしょうがねえな」


 俺は真琴をおんぶしたまま、廊下を歩く。


「ゆけー、ぼくのポケモーン!」

「悪いな、俺はおまえの旦那だ」


「えへー♡ 知ってる~♡」


 つんつん、と真琴が俺の背中をつついてくる。


 すんすん、と俺のうなじのにおいをかいでくる。


「ん~♡ お兄さんのにおい~♡ だいすき~♡」


「髪の毛なんてにおいかいで楽しいのか?」


「もっちろん! お兄さんだって、ぼくの髪の毛の匂いすきでしょー?」


「たしかに~」


 そうこうしてると、俺たちはリビングに到着した。


 ソファに真琴を下ろす。


「やーだー! もっとおんぶしてよぉ~う!」


 じたばた、と真琴が足をばたつかせる。

 この間も真琴が、俺の腕をつかんでいた。

 どうやら本気で、片時も離れたくない様子。


「だめ。疲れた」

「けちー……。じゃっ! はいココ座って! 隣座って!」


 ぺんぺん、と真琴が、ソファをたたく。


「いや夕飯の準備とか……」

「今日は出前! ずぅっとイチャイチャするのっ! ご飯食べてる暇ないよお兄さん!」


 まあ俺も真琴を触れていたいから、いいんだけどさ。


 俺は真琴の隣に座る。


「お兄さんっ! 膝枕! 膝枕してー♡」

「あいよ」


 俺の太ももの上に、真琴が仰向けに寝る。


「ちょんまげが……じゃま!」


 真琴がシュシュをといて、髪の毛をストレートにする。

 

 ころん、と仰向けに寝ると、両手を突き出してくる。


「ちゅーして♡」

「はいはい」


 俺は真琴の顔に覆い被さり、唇を重ねる。

 ぬる……と真琴のみずみずしい唇の感触に……俺は陶酔とする。


 俺が顔を上げると……。


「わんもあっ♡」

「あいよ」


 ちゅっ、ちゅっ♡


「もういっちょー!」

「はいはい」


 ちゅっ、ちゅっ、ちゅー♡


「真琴……そろそろ腹減ったんだけど」

「じゃあマコちゃんたべちゃうー? 食べて♡」


 笑顔でそんなエロい提案をしてくる。


「丸一日がまんしてたから、もうたいへんだよ? もう爆発しそうだよっ♡ 今にも押し倒しちゃいたいくらいだよぅ♡」


「あとでな」


「がまんでーきーなーいー!」


 ぱたぱたぱた、と真琴が足をばたつかせる。

「風呂もメシもまだでしょうに」


「むぅ……たしかに。じゃあまずご飯にしますかなっ」


「ですな。なにがいい?」


「んーっと、ピザッ!」


 真琴が手を上げて即答する。


「その心は?」

「片手が空いてれば、食事中もずぅっとお兄さんと手をつないでられるからねー♡」


 にこーっと真琴が笑う。

 本気でずっと一緒に居るつもりらしい。


「子猫かおまえは」


「おっ、猫コスえっちをごしょもうですかにゃー♡ いいよ~♡ にゃんにゃん♡」


 くいくい、と真琴が手を曲げて猫のポーズをする。


「そういうマニアックなのはちょっと」

「えー。いいよぉべつに。猫耳つけるしー、お尻にしっぽもー」

「それ以上はイケナイ……!」


 どこに何を入れるつもりなのだ貴様!?


 そんなふうにアホ話していると、注文したピザが届く。


「ほいじゃ、取ってくるから」


「おっけー♡」


 俺がソファから立ち上がると、真琴が腰にしがみついてくる。


「さぁゆこう! れっつらごー!」

「お、おま……この状態で出前のひとに会うのかよ……」


「多分こう思うでしょう……バカップルと! だがそれがなんじゃー! 馬鹿上等! こちとらお兄さん不足で、爆発するのがまんしてたんだからねっ!」


 どうやら1日離れてたのが、そうとうこたえたらしい。


「真琴さんや、離れてくれ」

「だめっ! このままごー!」


「……わかったよ」


 俺は真琴がひっついた状態のまま、玄関へと向かう。


 ピザの出前のお兄さんが、俺の背後に真琴がくっついてるのを見て目を丸くする。


 料金を支払って出て行くまで、真琴をずっとガン見していた。


「お兄さん……あのひと、ぼくを狙ってたね」


「あほ。おまえが妙なことやってるから目立ったんだよ」


「お兄さんはぼくが他の男に取られたらどーすんのさっ」


「ばかやろう。誰にもおまえのことを渡すつもりはない」


 ……って、あ。

 しまった、これ……たぶん言わせようとしてたんだな……。


「ぬふふ~♡ んも~♡ お兄さんってば~♡ 独占欲まるだしなんだからーんも~♡」


 真琴が俺から離れると、また腕にぎゅーっと抱きつく。


 頬にチュっ♡ とキスをする。


「ぼくはお兄さんだけのものだよっ♡」


 ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ♡


「ありがとよ。ほら、ピザが冷めるから、さっさと戻るぞ」


「えー! なんでぼくだけに言わせるのさっ! 真琴はおれのだけのものだぜ……って、言ってー!」


 真琴が俺を見上げて、わくわくした様子でいってくる。


「んな恥ずかしいこと言えるかよ……」


「言って言って言ってぇ~! 言ってくれなきゃいーやーだー!」


 駄々っ子のように真琴が叫ぶ。


「はいはい……真琴は俺だけのもんだぜ。これでご満足?」


 真琴はにへーっ♡ とだらしない笑みを浮かべる。


 そのまま俺の体に抱きついて、ちゅっ、ちゅっ、ちゅー♡ と頬にキスしてくる。


「お兄さんだいすきー♡」


「奇遇だな。俺もちょー好き」


「じゃあぼくちょーちょーちょー好きっ!」


 うれしそうに笑うと、真琴がまたコアラみたいにひっついてくる。


「今日は随分とわがまま嫁さんですな」


「今日は一晩中甘えるって決めてるからのぅ~♡」


 すりすりすり……と真琴が俺の腕にひっついた状態で、頬ずりしてくる。


 ほどなくして、リビングに到着。


 テーブルの前に真琴がすわり、正面に俺が腰を下ろす。


「じゃ♡ ごはんたーべよ♡ もちろんっ、あーんしてもらうからねっ! あーん♡」


 そんなふうに甘えられるのが……非常に心地よい。


 彼女のかわいらしいわがままなら、ずっと聞いていたいくらいだ。

 

「ほら、あーん」

「あーん♡ んへへへ~♡」


 そんなふうに、夕飯の時間は、まったり過ぎていったのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【★カクヨムコン挑戦中です】


フォロー、星などで応援していただけますと嬉しいです!


モチベになります!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る